飢餓海峡(改訂決定版) 下

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309016931

作品紹介・あらすじ

雄大なスケールの人間ドラマ。飢餓と混乱の敗戦直後、災害と犯罪を結びつけた超大作。昨秋逝去した著者の豊かな遺作。

感想・レビュー・書評

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  • 2021.01.15 図書館

  • あのころ、日本中が飢餓に陥っていたことはもちろん身にしみたのだが、それ以上にちょっとした驚きも発見した。
    どこに行っても同じような名前の旅館があり、同じような寺があり、同じような父母への愛があり・・・という描写にちょっと圧倒された。
    決しておしつけがましい描写ではなく、今の日本はこういう人たちが作ってきたんだ、ということが納得できる。
    犯罪を犯す人たち、貧困、飢餓、信仰心、任務に対する執念、真実を知りたい気持ち、情愛、郷土へ思い、そんなものが今の世の中を作っているのかと思うと、この書の圧倒的な存在感が浮かび上がる。

  • 上下巻読了。
    「過去に強盗殺人を犯し隠蔽し続けて来た男」、「男をかばう元娼婦」、「執拗に男を追及する警察」。それぞれ壮大な人間ドラマを堪能できます。特に元娼婦・八重の純情さが印象的です。
    本作は戦後間もなくの混乱と庶民の貧しい生活が克明に描かれています。犯罪を通して当時の社会問題を描き、犯罪者の心に焦点をあてた傑作と言えるでしょう。

  • 下巻(゜ρ゜)冒頭から一気に引き込まれる展開だった。戦後の苦しい時代を背景にしたどっしりしたストーリーだったと思う。面白くというよりも興味深く読んだ。ただ誤字や時代にそぐわない描写を直した改訂版にも関わらず誤字が気になった(・д・)ノ時子を訪ねた謎の男も結局推測の域を出ないまま終わったのが残念。

  • あきらめない力の勝利
    昭和37の作品で有ることをおもえば
    当時は、背景が理解できたのだと思う、秀作です

  • 下巻の冒頭で八重と犬飼が十年ぶりの再会を果たしたあと、
    物語の主人公は犬飼(樽見)に移って行き
    犬飼(樽見)の過去を探る旅になっていく。

    再び手がかりを求めて犯人を追って行く筋になるが
    今回は犯人が分かっているので、
    最初はややまどろっこしいという感じがあったけど
    犯行手段の手がかりをつかんで過去を追う段階になってからは
    また面白くなって行く。

    上巻で八重の生き様・人間ドラマ、
    下巻で樽見の生き様を描いた人間描写が圧倒的で
    ものすごいものを読んだという読後感。

  • 追う者と追われる者の駆け引きがスリリング。
    犯罪者といえば犯罪者だが、彼には彼なりの言い分があり、一概に悪人とは言えないところが味わい深い。

  • 熱血ゆえの犯罪、というのはこの時代の特徴なのか?新聞連載では未完だったため、かなりの加筆をしたというがそれによって人物がよりくっきりと見えてきた気がする。説明が多いし、何となくこじつけているような部分もあるが読み応えは十分。

  • 東北、下北半島、青森などを舞台とした作品です。

  • 12/2
    名著だ!

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著者プロフィール

少年時代に禅寺の侍者を体験する。立命館大学文学部中退。戦後、宇野浩二に師事する。1959(昭和34)年『霧と影』を発表し本格的な作家活動に入る。1960年『海の牙』で探偵作家クラブ賞、1961年『雁の寺』で直木賞、1971年『宇野浩二伝』で菊池寛賞、1975年『一休』で谷崎賞、1977年『寺泊』で川端賞、1983年『良寛』で毎日芸術賞を受賞する。『金閣炎上』『ブンナよ、木からおりてこい』『土を喰う日々』など著書多数。2004(平成16)年9月永眠。

「2022年 『精進百撰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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