地虫鳴く

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著者 : 木内昇
  • 河出書房新社 (2005年6月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (433ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309017167

地虫鳴くの感想・レビュー・書評

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  • 静かで無駄のない剣客の所作を、そのまま落とし込んだような筆づかい。ちょっとした仕草の一つ一つに秘めた感情を滲ませる、心憎いまでの演出が目を引く。
    一貫して緩むことなくピンと張りつめた筋書きに、読み終えた時は感動と同じくらいの開放感があった。
    『幕末の青嵐』を鮮やかなカラー作品に例えるとしたら、本作品は陰影を巧みに操ったモノクロ映画の趣き。
    悲壮感漂う題字が、物語を引き立てた。

  • 新選組といっても登場する3人の主人公格は無名の人達です。でも、それが狙いなのでしょう。一流でなく、何かしらコンプレックスがあり、どう生きるべきかわからないというのは、数多くいる普通の人ですから。それが、幕末の複雑怪奇な権力闘争の渦中に放り込まれたら?まさに新選組にのシチュエーションです。生き方が定まらないジリジリした感じが伝わってきました。無駄のない筆致で人物造形を描き分け、やたら心に響く名セリフが出てきました。

  • 主に阿部さんと尾形さん視点で進む長編小説です。
    と書くとあっさりしてますが、内容は密度みっしりで読み応えあります。
    どの歴史人物が好きとか関係なく一読み物として面白いです。

    山崎さん好きの私から見たこの作品の山崎さん成分ですが、読み物の山崎さんとしては珍しくこってこての関西弁です。敬語の時も関西弁の敬語です。
    考えれば、大阪育ちの人物の割に標準語が多い小説媒体の方が不思議な現象なんですよね。
    私の読書数が少ないだけかもですが、関西弁の山崎さんはこちらと、司馬遼太郎さんの短編集「大坂侍」でしか読んだことがありません。

    描写としては、食えない万能キャラです。
    私がこの山崎さんだったら絶対新撰組にとどまってない。

  • よく言われるように、歴史上は勝った側が正しいとされている。
    けれど歴史に埋もれた敗者たちにも、それぞれの正義があった。

    伊藤や三木、篠原、阿部の描写では、御陵衛士の行く末を知っているだけにせつなかった。(阿部のことは知らなかったけど)
    伊藤ってずるがしこい嫌な奴なイメージだったけど、こんなにまっすぐで純真で理想を求め、周囲の人間を惹きつけた人物だったのか・・・
    もちろんこの本も多少のフィクションが入っているかもしれないけど。

    新選組側の、山崎や尾形はどちらかというと現代の人間に近い考えなのかもしれない。そんな人たちが最後まで一員であり続けた新選組って、というか近藤や土方の人間性って、どれだけすごいものだったんだろう。。

    尾形とか浅野みたいな人がいないと、やっぱり人と人との結びつきって成り立たないんだと思う。
    阿部みたいな人間って、すごく中途半端だと思うけど、自分は一番近い気がした。自分が何をしたいのかも、何故ここにいるのかもわからない。それでも何か目に見えない憧れみたいなものに手を伸ばそうとしている。
    それだけに阿部の絶望は読んでいてすごく辛かった。

    これは「新選組 幕末の青嵐」とセットで読むべきだと思う。
    最後の最後、少しだけ幸せな気分で終われたのもよかった。
    感動でした。

    あと、「壬生義士伝」であんなに感動した吉村貫一郎が冴えない感じで登場してておもしろかった。

  • 内容は決して明るくはないが、読後感はすっきりとしている。

    新選組を取り扱う小説の中でも、裏方メインという作品は少ない。
    この本では一般的に認知度は低いが、新選組の歴史に欠かせない隊士たちにスポットライトを当てている。
    御陵衛士の視線というのも新しく、また監察という一歩引いた場所から隊の全体を眺めるのも面白い。

    ただ主人公の物語を辿るのではなく、阿部•篠原•尾形を中心に様々な角度から物事を捉え、それぞれの立場や思いが交差して行く。
    思想や派閥は違えど、幕末の大舞台で風となり嵐となり、歴史を担う運命は皆同じ。
    話が進むほどに三者三様の変化が面白く、400ページと読み応えもたっぷり。

    尾形の発言に対する、山崎の台詞にはグっとくる場面が多い。
    客観的な意見で的を得ており、思わずはっとする。
    個人的には阿部にあまり良い印象がなかったが、読み終えてから魅力を感じた。
    最後のシーンは素敵なので、ここにきてキュッときます。

    何度でも読み返したい作品。
    間違いなく、傑作と呼んでいいだろう。

  • もったいなくてじわじわ三年くらい読んでいたが、最近の御陵衛士熱に任せて、残りを一気に読んでしまった。

    阿部十郎を支点にして、新撰組から堕ちていった人たちを語るお話。
    時代に巻き込まれるなかで懸命にもがこうとした人たちのお話でもあるか。

    そういう話なので、幕末の青嵐に比べると、時勢の話が語られる場面が多いし、新撰組以外の登場人物も多いかも。新撰組以外の幕末ものもなんとなく読んだことある人にオススメ。

    当然人はどんどん居なくなっていくし報われない人が殆ど。しかし、最期で、ふわっと気持ちの浮く締め方をしてくれるのは、ホント木内さんさすがです。

    御陵衛士な気分の時にはもってこい。あー、好きだー。

  • 山崎烝!山崎烝!

  • 一集団・組織としての主義や意義があってもそこに集まる人々の
    意識や能力や思惑や背景があり、今も昔も難しいよねと思いつつ、
    現代以上に時勢の流れや浮き沈みが早く、それぞれの思惑が見えず、
    見誤ると命を落とすとは、混沌としたすごい時代だったなと思う。

  • 普通の小説かな?思ったよりはおもしろくなかった。阿部さんが主役の作品なんてきっとこれだけだろうな。でも最後の3、4ページぐらいのその後の新撰組隊士がどうなったかというのは凄くよかった。そこはちょっと泣けてきた

  • 『新選組 幕末の青嵐』の姉妹編みたいな感じ?
    視点が違う。
    わたしはそこまで入り込めなかったなー
    なかなかページが進まなかった。
    でも最後はちょっとにやりとした。

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