カツラ美容室別室

  • 河出書房新社
3.12
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本棚登録 : 883
感想 : 214
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309018409

作品紹介・あらすじ

こんな感じは、恋の始まりに似ている。しかし、きっと、実際は違う。カツラをかぶる店長・桂孝蔵の美容院を舞台に淳之介とエリ、梅田さんたちの交流を描く各紙絶賛の最新作。

感想・レビュー・書評

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  • 高円寺に暮らし始めた若者と、高円寺にあるカツラ美容室別室に関わる大人たちの群像。

    そこでは付き合ったり、二股があったり、恋したり、嫉妬したり、
    遠くへ引っ越してしまったり、色んなことが起こる。

    高円寺という街が教室で、カツラさんの元に集まるひとたちが仲の良いクラスメイトみたいな感じがした。

    大人になっても、こういうことできるのってうらやましいなと思った。

    ”オレは他人によってなんとか自分の形を保てている”というのは、人間社会のどうにもできない性質みたいなもので、その通りだと感心したし、

    男女の友情についてのくだりも素晴らしかった。

    山崎ナオコーラさんは新聞のテレビ欄をつくる仕事が好きなのかな、と思い、読みながら笑ってしまった。

  • 物語にすっと引き込まれていき、児童書でもないのに一気に読んでしまった。
    人間模様も自然で読みやすかった。

  • 男女でも友達になれるってことなのかな。
    同性同士とは、ちょこっと違うのかもしれないけど。

  • 昔は読まなかった、あるいは読んでも「?」としか思わなかったであろう類の作品。

    大学4年間で、中・高の何倍もの経験(それが薄いか濃いかは置いといて)をしたことで、登場人物の心情が理解できる物語的想像力が身に付いたのかな。

    時々言動がぶっとんでいて、「え」となることもあったけど、まあなんとなーく読めた。人の脆さというのか、素直さが綺麗事抜きでダイレクトに描かれているなあと。

    こういう類の本を読む時、たいてい
    (主人公が)どうせこの女の子をすぐ抱くんだろなーとか、なんだかんだで結局身体の関係なるんでしょ、みたいな偏見じみた、冷めた眼鏡をかけてしまう自分がいる。

    経験に基づく色眼鏡といえばそうなんだけど、偏見はよくないな、と(笑)
    だから、その点ではこの作品は安心しました(笑)


    引用部分、すごく共感。

  • 男の人の、女の人にタイするめんどくさーーーな感じが
    納得できて面白かった。
    いいなって思っても、あぁめんどくさ、とか揺れ揺れなんだね。

    男の人はどう感じるんだろう?共感できるのかな?

  • 導入ですでにぐっと心をつかまれてしまったんだけど、エリの立場や性格がなんというか苦しすぎて、ものすごくリアルで同情的になってしまう自分がいやになった。

  • 彼女の文体好きだなぁ。
    特に大きな事件も起こらない。なんでもない日常を切り取って、本にしてみせる。そんな感じ。

  • 山崎ナオコーラはやっぱり恋愛を書いたほうがいいですね。
    しかも男の子が主人公のほうがいい。
    男らしくいたいという理性と、子供みたいな欲望が
    絡み合ってごちゃまぜになって
    情けなくてかわいー。


    あーあ。エリと一回ぐらいセックスしてみたかったな。今となっては、夢の中でもしそうにねえな。


    恋になるのかならないのか
    その絶妙なゆらゆら感がおもしろくて
    最後にこれですよ。
    なんかダメで素直でかわいいなぁ。

  • 普通のサラリーマン青年である佐藤淳之介が高円寺に引っ越し、小卒の自由人で友達の梅田さんに誘われ散髪に行った桂美容室別室。そこの店長は桂さんと言って、カツラをかぶっています。TPOによってカツラを着替えたりも。美容室には店長の他にふんわり穏やかそうででも世渡り上手な子と人づきあいが得意でなく不器用なところのある子とふたりの女性スタッフが働いて居ます。ストーリーはあることはあるけれどそれほど重要ではなく、梅田さん、淳之介、カツラさん、そして女性スタッフたちの、愛情めいた友情のようなものが徒然と描かれます。あっという間に読み終わってしまいましたが不思議な余韻の残るお話。梅田さんは読んでいてリリー・フランキーさんのイメージがちらつきました。おもしろかったです。

  • 家と大学を往復する間にさらりと読めました。
    ナオコーラさんって「年上の人」を魅力的に描くの上手だなあと思う
    子どもの頃って(今も子どもやけど)30歳の人は「30歳の中身」を、
    50歳の人は「50歳の中身」を兼ね備えていると思ってたけど
    そんなわけないよね。機械じゃないもの、人間だもの。 ←

    カツラさんははじめ寡黙で落ち着いていて、
    エリちゃんと桃井さんを見守るすっごくダンディーな店主!
    と思ってたけどそうじゃない。
    淳之助とエリは恋愛関係になる!
    と思ってたけど特にならない。
    取り立てて大事件は起こらず、皆わりと淡泊(?)なように感じられるけど
    それこそ「なにも見えていない」証拠なんやなー。

    周囲の人たちによって形を保っている、周りとの関係が一切なくなったら
    俺はジェル状になる、みたいな淳之助のせりふがあって
    なるほどー、と思った。
    一人でいるのと、一人になるのは違うってことですね。
    (『NANA』の中で、ヤスも言ってた! 笑)


    淳之助とエリの関係があるからこそ、説得力のあったこの言葉。

    ――― 男女の間にも友情は湧く。湧かないと思っている人は友情をきれいなものだと思い過ぎている。友情というのは、親密感とやきもちとエロと依存心をミキサーにかけて作るものだ。ドロリとしていて当然だ。


    ある意味で、友情って恋愛よりむずかしかったりして。

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著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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