ヘタな人生論より万葉集----「生きる」ことへの素直な訴え、叫びから何を学ぶか?

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309019192

作品紹介・あらすじ

仕事、苦境、恋愛、家族、別れ…の歌に込められた真理とは-万葉人たちの「赤裸々な心象」が、いまを生きる私たちの心に深く響く。

感想・レビュー・書評

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  • 現代に置き換えた解説が面白い。上司と部下の思惑違いは今も昔も変わらないんだなとか、出世願望や平穏を求める気持ちなど、世知辛さも時代を超えてじんと胸に伝わる。失恋の歌も、憎まれ口が等身大で伝わることが、人間の感情に時代差はないと思わされる。何度読んでも、どの歌も入魂の作で、力強さや情熱が溢れていて感動する。

  • 貧乏を嘆いた歌や防人の歌など、万葉集の歌と詠み人の気持ちの解説、これに対する著者のコメントが書かれている。

    シリアスな歌が多いのかと思っていたが、実はそうでもない。
    不倫や片思い等、男女関係の歌が収録されている第3章が読んでいて楽しい。

    「人の見る 上は結びて 人の見ぬ 下紐開けて 恋ふる日ぞ多き」

    この歌は、「人の目に触れる上着の紐を結んでいますが、人の目に触れない下着の紐は結ばずに、あなたを恋い思う日が多いのです」という意味だ。
    つまり、「あなたを思いながら1PLAYしてます」ということなのだろう。
    なんとういう歌を残しているのか。
    凄い、凄すぎる。万葉集恐るべし。

    もうひとつ、面白い事実を紹介。
    夫婦が死別した場合、嫁が先に逝ってしまったことを悲しむ夫の歌はいくつかあるらしいのだが、その逆は無いそうだ。
    昔からそうだったのかと思うと、非常に悲しくなる。

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著者プロフィール

山口大学教育学部教授。著書『大伴家持と奈良朝和歌』(おうふう・2001)、論文「研究の現状と教材化—『万葉集』山部赤人「不盡山」歌を通して—」(『山口大学教育学部論叢』第64巻第3部・2015)など。

「2016年 『おかしいぞ! 国語教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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