海底八幡宮

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 49
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309019376

作品紹介・あらすじ

国を追われ故郷を奪われ来歴を消され名前を奪われ真実を消されて千五百年。じわじわと囲まれていないことにされた海洋華厳王国の逞しき精霊。自髪の作家が千葉の建売で見た…真夏のミル・プラトー千五百年史。

感想・レビュー・書評

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  • 恥ずかしながらずっと長いこと本が読めなくなっていて、ようやく読めた一冊でした。
    装丁から惹かれたのもあるし、好きなツイッタラーの方が絶賛してたので。
    明治の国家神道に染まる前の神道が好きな私にはストライク。
    嫌う人はとことん嫌うと思う。
    なーんか。でも、好き。
    物語ではないのかもしれない。これはなんなのだろうと海にひらひらたゆたいながら読む感覚。
    でもそれくらいの読書が今の私に必要だった。
    ありがたい。また読める。
    書き散らしてるように見えて、文章の端々、きれい。
    いいなあ、太古の神さまと通じるの。
    黒尼?がめちゃくちゃ怖かった。
    早く読めば良かったな。これから著作全部あたります。

  • 批判と諧謔に満ちた良書。

  • 意外と難しかった。『金毘羅』がとても好きだったから、系列としては好きなんだけど、『金毘羅』よりも私小説濃度が高いせいか、印象が散漫になってしまった部分もある気が。論争の相手以外にも、いろんな妖怪がいるんですね(苦笑)笙野さん、敵が多すぎ。加えて老猫の病など、しんどい事情が多すぎて、だからこその亜知海の登場(召喚)となるのだろうけど。神道、仏教、古代日本史に加えてドゥルーズ(千のプラトー)などの知識も必要になってくるので壮大すぎる。勉強しなおしてから再チャレンジしたい。

  • はじめての笙野頼子。

    難解だった。二百回忌あたりから入りなおしたい。

    キーワードに則ってすごく自意識のままに書いているという感じ。

    売れているんだろうか。(需要があるんだろうか)

    私はおもしろいと思うが。

  • とんでもねえなこれは。筒井御大以来の衝撃。甚だ乏しく偏った読書体験しか持たないわたくしではあるが、こういう作家は迷わず天才認定することにしている。何かしらどんよりとウーハーな通奏低音が響く中、金比羅として覚醒した私と天孫によってその座を収奪された宇佐八幡の王・亜知海(あちめ)の対話によってこの国の歴史を貫く権力と徴税の仕組みが暴き立てられる。死期の近い愛猫の看護、母の葬式、締め切りに追われる執筆、気の進まぬ講演といった日常に、絶えず現れて理不尽な干渉を繰り返すのは、亜知海に言わせりゃ天孫による徴税に他ならない。物わかりのいい諦めは相手の思う壺、と海の底から警鐘を鳴らす。権力による徴兵の手を逃れてリゾームを跋扈する現代のノマドに託宣はあるのか──と意味不明に滑りながらスペクタクルに捏造したくなるほど、神がかりのエクリチュール。初期作品から全部読んでみようか。

  • あちめー

  • これほど美しい言葉たちが劣化しないでいられることはすばらしい。
    星ひとつのマイナスは、これから自分で考えるために。

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著者プロフィール

笙野頼子(しょうの よりこ)
1956年三重県生まれ。立命館大学法学部卒業。
81年「極楽」で群像新人文学賞受賞。91年『なにもしてない』で野間文芸新人賞、94年『二百回忌』で三島由紀夫賞、同年「タイムスリップ・コンビナート」で芥川龍之介賞、2001年『幽界森娘異聞』で泉鏡花文学賞、04年『水晶内制度』でセンス・オブ・ジェンダー大賞、05年『金毘羅』で伊藤整文学賞、14年『未闘病記―膠原病、「混合性結合組織病」の』で野間文芸賞をそれぞれ受賞。
著書に『ひょうすべの国―植民人喰い条約』『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』『ウラミズモ奴隷選挙』『会いに行って 静流藤娘紀行』『猫沼』『笙野頼子発禁小説集』『女肉男食 ジェンダーの怖い話』など多数。11年から16年まで立教大学大学院特任教授。

「2024年 『解禁随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

笙野頼子の作品

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