- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309019376
作品紹介・あらすじ
国を追われ故郷を奪われ来歴を消され名前を奪われ真実を消されて千五百年。じわじわと囲まれていないことにされた海洋華厳王国の逞しき精霊。自髪の作家が千葉の建売で見た…真夏のミル・プラトー千五百年史。
感想・レビュー・書評
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批判と諧謔に満ちた良書。
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意外と難しかった。『金毘羅』がとても好きだったから、系列としては好きなんだけど、『金毘羅』よりも私小説濃度が高いせいか、印象が散漫になってしまった部分もある気が。論争の相手以外にも、いろんな妖怪がいるんですね(苦笑)笙野さん、敵が多すぎ。加えて老猫の病など、しんどい事情が多すぎて、だからこその亜知海の登場(召喚)となるのだろうけど。神道、仏教、古代日本史に加えてドゥルーズ(千のプラトー)などの知識も必要になってくるので壮大すぎる。勉強しなおしてから再チャレンジしたい。
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はじめての笙野頼子。
難解だった。二百回忌あたりから入りなおしたい。
キーワードに則ってすごく自意識のままに書いているという感じ。
売れているんだろうか。(需要があるんだろうか)
私はおもしろいと思うが。 -
とんでもねえなこれは。筒井御大以来の衝撃。甚だ乏しく偏った読書体験しか持たないわたくしではあるが、こういう作家は迷わず天才認定することにしている。何かしらどんよりとウーハーな通奏低音が響く中、金比羅として覚醒した私と天孫によってその座を収奪された宇佐八幡の王・亜知海(あちめ)の対話によってこの国の歴史を貫く権力と徴税の仕組みが暴き立てられる。死期の近い愛猫の看護、母の葬式、締め切りに追われる執筆、気の進まぬ講演といった日常に、絶えず現れて理不尽な干渉を繰り返すのは、亜知海に言わせりゃ天孫による徴税に他ならない。物わかりのいい諦めは相手の思う壺、と海の底から警鐘を鳴らす。権力による徴兵の手を逃れてリゾームを跋扈する現代のノマドに託宣はあるのか──と意味不明に滑りながらスペクタクルに捏造したくなるほど、神がかりのエクリチュール。初期作品から全部読んでみようか。
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あちめー
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これほど美しい言葉たちが劣化しないでいられることはすばらしい。
星ひとつのマイナスは、これから自分で考えるために。