千年の恋人たち

著者 :
  • 河出書房新社
2.25
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本棚登録 : 24
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309019574

作品紹介・あらすじ

突然の夫の失踪。残された石の塔。十数年にわたる魂の彷徨を経て、妻がたどりついた永遠の真実とは?呪縛から解き放たれた女の生き方を、あふれる生命力とエロスの中に描く感動作。

感想・レビュー・書評

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  • 待つ女。

    仕事に恵まれ、人に恵まれ、周りから見ればうらやましいような一人の女。

    だが、庭だけでなく心の中にも重く建っている石の塔ソル・ソンブラ(光と影)は、姿を消した夫の呪縛。

    作品の最終行、《もう火は赤々と熾きていた。》は、待つ女から卒業した佐和の輝きのようだ。

  • もっと多くのひとに読んでもらいたい。
    友だちにも薦めたい。

    この人の持っているものがとてもすき。

  • 夫が失踪。でもミステリーではない。



    印象に残ったフレーズ

    「僕たちは時間を巻き戻すことなんかできない。…中略

    生き続けている者の側にいるんだから前に進むしかないんだ。…中略

    それが生の原理なんだよ」




    「あいつが捨てたのは、家族じゃない。

    きっと自分自身を捨てたくなったんだ。」



    失踪の理由を探しながら

    力強く生きて行く女性。

  • 房総の古い屋敷の庭に、光と影という名の塔を建て、突如失踪した建築家の晴人。
    残された妻の佐和は、娘ふたりを抱え途方に暮れるが、やがて塔のある家で草木染めをはじめ、新しい人生を歩みはじめる。しかし塔の影は付き纏い、佐和も次女の明日香も、何か吹っ切れないものがある。
    この物語にはわかりやすいドラマや都合のいい展開はない。
    ただ当惑し、それでも生き続ける女の心模様が淡々と描かれているのみだ。
    派手さはなく、わかりやすいストーリーに慣れた自分には曖昧すぎるようにすら感じるが、この温度の低い感じが魅力なんだろうな、と思う。

  • 文芸2010年春号より

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著者プロフィール

1950年、愛知県生まれ。作家。著書『エンドレス・ワルツ』『琥珀の町』『抱かれる』(いずれも河出書房新社)、『ホテル・ザンビア』(作品社)ほか。

「1994年 『自殺者たち 一日一死』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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