- Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309019574
作品紹介・あらすじ
突然の夫の失踪。残された石の塔。十数年にわたる魂の彷徨を経て、妻がたどりついた永遠の真実とは?呪縛から解き放たれた女の生き方を、あふれる生命力とエロスの中に描く感動作。
感想・レビュー・書評
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待つ女。
仕事に恵まれ、人に恵まれ、周りから見ればうらやましいような一人の女。
だが、庭だけでなく心の中にも重く建っている石の塔ソル・ソンブラ(光と影)は、姿を消した夫の呪縛。
作品の最終行、《もう火は赤々と熾きていた。》は、待つ女から卒業した佐和の輝きのようだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もっと多くのひとに読んでもらいたい。
友だちにも薦めたい。
この人の持っているものがとてもすき。 -
房総の古い屋敷の庭に、光と影という名の塔を建て、突如失踪した建築家の晴人。
残された妻の佐和は、娘ふたりを抱え途方に暮れるが、やがて塔のある家で草木染めをはじめ、新しい人生を歩みはじめる。しかし塔の影は付き纏い、佐和も次女の明日香も、何か吹っ切れないものがある。
この物語にはわかりやすいドラマや都合のいい展開はない。
ただ当惑し、それでも生き続ける女の心模様が淡々と描かれているのみだ。
派手さはなく、わかりやすいストーリーに慣れた自分には曖昧すぎるようにすら感じるが、この温度の低い感じが魅力なんだろうな、と思う。 -
文芸2010年春号より