- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309019659
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
いつものように
魅力的な 若者たちが出てきてくれる
読んでいるうちに
その登場人物たちの姿、形、性格、動き が
かなりしっかり具体的に思い浮かんできてしまうところが
さすがに小路さんですね
最後の最後まで どうなるんだろう
と 気持ちよく引っ張ってくれます
そして、もう一度 初めのページに思わず
いってしまうのは流石です -
流れるような文章だ。独白調に近いながらも主述関係が瞬時に分かる。それは当たり前のことかもしれないが、この人のそれはやや頭抜けているようだ。語尾で整えられた調子も気持ちよい。すらすらと読める。
文章につられて読み進んだが、内容にはどうも入り込めなかった。青春物ではあるが、主人公は失敗も挫折もしない。そこにあるのは行動ではなく傍観と内観だ。子供とはそんなものかもしれないが、ただ受動的なままきれいに羽化していく主人公に釈然としないものもあった。
登場人物はみなかっこよく現れ、かっこいいまま終わる。主人公もその例に洩れない。自分のピアノの才能や恵まれた人間関係を特別だとほこる様子もなく、むしろそういった世界こそが特別の反対の普通であり、ここから脱却したいと語る。ゴール地点がスタート地点というべきか、そこにどうしてもついていけないものを感じたのは、やはり僕が偏屈だからだろうか。
さっぱりと食べやすいが人を選ぶ本である。 -
2010年8月20日 読了。
物凄い勢いで一気読みした。惹かれる。
大学生活ロスタイムの今じゃなくて高校時代に出会っていたら、十代の自分はどう感じただろう。
『東京バンドワゴン』でも思ったが、小路幸也の描く人間は本当に温かい。激しい起伏はあまりないが、じわじわと込み上げてくるような感動がたまらない。
文章がいまひとつかな……とも思ったが、よく考えたら地の文が高校生である主人公の語りという形を取っているので、もしかしたら故意に多少たどたどしい言葉遣いにしているのかも。
だとすれば文句なし。中学〜大学くらいの男子には是非とも読んでほしい。 -
高校生男子の主人公は何不自由ない普通の男の子。その子が、(たぶん)生涯の友に出会い。“ブロック”って喫茶店に出合い。ブロックで様々な大人に出会い。父という大人の男に出会い。自分自身も大人になると云う時期に出合い。そして、それら全てを残して、新しい出会いに向けて旅立つ話。ゆるゆるでサラサラの話だけど、唯一、父と向き合うシーンが良い。男の子は、ある時突然、父親と話すことができるようになる。それが、男の子が男になる瞬間なのかもしれない。その時、話すことに、多くの言葉は要らない。僅かな言葉を交わすだけで全てが伝わるんだよ。お互いに。そんなシーンが描かれていた。あ〜あ。小路さん描いちゃったね。その瞬間のあの感じだけは、女性には内緒だったのに…。
-
あまり覚えていなかったけど、再読。
私の青春時代と重なる。 -
人を気遣う心を持っている「僕」。
それは優しいからなのか、自分が傷つきたくないからなのか。
たぶん両方なんだろう。
人との距離感を上手に測れる人がいる。
一緒にいても心地いいし、妙な気を使わずにすむ。
それが本作にも出てくる「空気感」なのかもしれない。
傷つくことを知っている人ほど、あたたかくて優しい。
踏み込んでいく勇気もときには必要だろうが、それほど親しくない相手には臆病なくらいがちょうどいい。
「僕」は静かにモカを楽しみながら、徐々に「ぶろっく」に馴染んでいく。
「ぶろっく」で出会った人たち。出来事。そして別れ。
「僕」は少しだけ大人になって新しい場所へと飛び立つ。
あたたかさがじわりと染みてきて、懐かしさと切なさが胸に残った。
小路さんらしい珠玉の物語。
大人になるということ、それはどんなことなのか?
迷いながら傷つきながら、人は一歩前に踏み出していくのだと知ることができる物語だった。 -
ノスタルジックな青春小説でした。ところとごろじんわりします。
父と息子の会話とか。
主人公が何も苦労しないところが、なんとなくシャクですが。
他のかたのレビューにあるように、常連客が魅力的なのでドラマのキャストを色々想像しながら読むと面白そうですね。