- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309020136
感想・レビュー・書評
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十時間が良かった。
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著者初の短編集。
初出は2003〜2010年と、お話の内容も様々。
何も起こらないのに情景が印象に残る、そんな感じ。
「ぼくは落ち着きがない」の頼子の話が読めたのと、「夕子ちゃんの近道」の主人公らしき人物の話があったのが嬉しかった。 -
短編集。
ありそうな感じの話なんだよな。 -
実に贅沢な装幀。なんと著者のデビュー10周年を祝って(?)の作品とあって、収録されている10の短編それぞれにデザインされた装幀がのカバーに散りばめられている。河出書房新社の売り出しキャッチフレーズは、「男主人公5人VS女主人公5人で贈る、長嶋有ひとり紅白歌合戦」と言うだけあって、まさにタイトルの『祝福』も意識した紅白デザインだ。良く見るとなかなか素敵なデザインで、一冊づつアップで味わいたい感じ。(装幀は坂野公一+吉田友美(welle design))中味も贅沢。短編から中編まで、男女取り交ぜた多彩な主人公を登場させて、まるでバラエティ・ショウのような作品集。著者と等身大のアラフォーの人々が登場するかと思えば、大学生や10代の子供も登場する。いくつかの作品では、ラスト一行に込められた著者渾身のインパクトが炸裂する。個人的に気に入ったのは『マラソンをさぼる』。緊迫感のある中に、そこはかとないユーモアが感じられるのが『噛みながら』。タイトル作の『祝福』も、登場人物の固有名詞がアルファベット一文字に抽象化されていて、逆に身近な人たちのように思えて新鮮な読後感だ。もっと他の作品を読んでみたくなる、長嶋さんの多彩さに目を瞠った。
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拘泥する、ということを考える。
「こだわる」って、漢字で書くと「拘る」となって、思い浮かぶ単語は「拘泥」。いま時分世間一般に広まっている「こだわる」のイメージがそれとは大きく違うことを、日本語の乱れだー、とか言って憂いたりするつもりはないけど、このひとの書く小説はどちらかといえば「拘る」のイメージ。「こだわる」なんて目じゃない。もう気になって気になって、書きたくて書きたくて、っていう瞬間の情景物体感覚感情が小説のなかのそこかしこにひそんでいて、読んでいると思わぬところでつかまってしまう。でもそれがいい、と思う。小説が進んでいくエネルギーになっている、と考える。 -
印象に残る話も全然残らない話もある。
帯に「ダメ男を書いたら、日本一!」と書いてあった。
長嶋さんの作品に出てくる男は、全然ダメ男じゃない!と思ってしまうのは、自分もダメ男だからなのだろうか・・・
ダメなんじゃなくて、物事をいいように割り切れないだけ。
「ファットスプレッド」
普段なんとなく考えたことを、伝える相手がいること、
どうでもいいことなんだけど、これはあの人に教えてあげようと思って、伝えられるっていうのは、考えてみれば、幸せなこと。
自分の場合、
あ、これはあの人に教えてあげよう、と思っても、いざ二人でいるとなんかその話をする気がなくなってしまうということがあったりする。
それって、要するにふたりが合ってないってことなのかな・・・