- Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309020686
作品紹介・あらすじ
恋する想いは、今も昔も変わらない。みやびな20首の"恋うた"から生まれた、現代の恋物語。『ハニービターハニー』の加藤千恵が贈るせつなさあふれる恋愛小説集。
感想・レビュー・書評
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紫式部、和泉式部、藤原定家、在原業平、菅原道真などが生み出した美しい一編の和歌。それらの和歌を題材にして、現代の恋愛模様を紡ぎ出した22の短編恋愛小説。
恋をする・恋をしていた登場人物たちの日常の短いひとコマを切り取った物語はどれも妙にリアリティがあります。恋に悩んだり苦しんだりする彼らの心情は痛いほど分かるし、自身の過去の恋愛をつい重ねてしまいます。ハッピーエンドこそ少ないですが余韻を残すような終わり方は、彼らが日本のどこかで、グルグルした感情を抱えながら仕事をしたり料理をしたり友だちと会ったり――そんなごく普通の日常を営んでいるような気持ちになりました。
和歌と物語と、それぞれの締めに掲げられた著者の和歌。今も昔も恋愛にまつわる感情は普遍的。辛いことも苦しいことも多いけれど、恋愛って良いなぁと改めて感じられます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新古今和歌集をモチーフに現代の恋愛を描いた短編集。
予約したのがだいぶ前だったので、現代小説は思わず…
時代物かと勝手に思ってました。(ちょっと残念)
著者もあとがきに書いてあるけど、1000年ほど昔の雅な方たちも、
今と変わらずこんなに恋に悩んでいたのね。
その心情は、現代に置き換えても全く違和感ないし、
言葉の響きが美しく情緒があってむしろステキです。
ちょっと短編の内容がばらばらすぎて、あんまり頭に入ってこなかったけど、
和歌の余韻はよいですな。 -
この作品は、『新古今和歌集」に収められた和歌かあら連想された現代の恋物語を作り、それに歌人でもある加藤千恵さんが自作の短歌を添えるという形式で、全二十二話のショートストーリー集になっている。古典文学の世界と現代との間に通じる人間の心を読み取る。
(『中高生のための本の読み方』大橋崇行 p. 35 古典を面白く読むには? より) -
良かった。
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ある雑誌の、著名人や一般読者がオススメの本を紹介する特集で見かけて、読んでみたくなった本です。
新古今和歌集から20種の短歌を基に、物語と作者自身の短歌が書かれています。新古今和歌集は1000年近く前に書かれたものなのに、そこに詠まれている想いは、現代人と変わらないように思います。
ただ、新古今和歌集には悲恋や別離の歌が多い。美しい言葉で綴られた物語は、切なくて、儚くて、悲しかったです。 -
短い中にきゅっと詰まっていて、すきだと感じたりハッとしたりするものが二十作品中三作品程あったけれど、読み終えたらわからなくなってしまった。儚い。わたしの問題とも思うけれど、融けてしまう雪みたい。淡さと不意に胸の奥まで届くところが良かった。著者の作品の雰囲気がすき。特に中高生目線の話は、良い意味でその年代の子が書いたみたいで、瑞々しいという言葉ではわざとらしく感じるくらい、自然。
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昔の短歌を今風にするとどんな情景でどんな言葉になるのかっというのを集めた短編集。想いに気がついてもらえなくて、いっそ忘れたいやそれでも想って欲しいと思う感情は環境でいえば当時と比べたらいつでも想いを伝えれるはずなのに変わらないんだなぁっと思った。短い言葉に濃縮された気持ちを読みなおしてもう一度味わう感じ。
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この想いは千年経っても変わらずに。
新古今和歌集の短歌に,著者が物語と新たな歌をつけた。百人一首やそのほかの古典の歌を読んだときに思うけれども,千年前に詠まれた歌でも,今でも共感できるものがたくさんある。ここで取り上げられた歌も,現代にぴったりくる,現代でもある気持ちを歌ったものばかり。恋愛って,本質的なところでは不変なのかも。 -
以前、Eテレ『青山ワンセグ開発』内の企画で映像化されていたことから知った作品。
新古今和歌集の短歌をもとに、現代風にアレンジされた短歌と掌編小説の詰め合わせです。
そしてその恋物語がまた、せつない。(もちろん、別れの話ばかりではありませんが…)
また、再現ドラマで流れていた、せつない挿入曲は、大貫妙子さんと坂本龍一さんの『UTAU』というCDを使用しているようです。
Eテレ『趣味どきっ!』の「恋する百人一首」内の再現ドラマでも使用されていて、何度も聴いて、すっかりお気に入りの曲になりました♪ -
歌人である加藤千恵さんが新古今和歌集の短歌を20篇引用し、そこから短編を膨らませ、最後に自分で詠んだ1句を加えた作品。こうしてみると大昔の人も、今の人も考えていることはあまり変わらないんだなーと思った。加藤さんの些細な日常を切り取る描写のうまさ、大好きです。加藤千恵さんの作品はおかざき真里さんが装画を手掛けているものが多いなぁ。2012/523