王国

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著者 : 中村文則
  • 河出書房新社 (2011年10月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309020693

王国の感想・レビュー・書評

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  • 前に読んだ「掏摸」の兄弟編。
    木崎という支配者側に立つ人間が出てくる点と、恐らく掏摸の主人公と思われる男が一瞬だけ出てくるところが共通点で、今作の主人公はユリカという美しき娼婦。
    最初はお金のためにホステスから裏社会の危険な仕事を遂行する娼婦に転身したが、その選択が後々ユリカを暗い運命に巻き込んでいく。

    支配者はどこまでいっても支配者で、弱者はどこまでいっても弱者という構図はこの作品でも変わらず。都合の良いどんでん返しは起きないという、ある意味物語的ではない現実が描かれている。
    何か得るものを楽しむというよりは、犯罪小説の“裏”感とダークな雰囲気にひたすら浸れる内容。
    女性が物のように扱われる辺りは同じ女性としては読むのがきつくもあるけれど、その救いの無さがリアルだとも思う。

    最後に木崎が変えた判断は果たしてユリカの救いになったのか考えさせられる。
    世捨て人のような感覚で生きていたのに、いざとなったら“生”に強い執着を見せた彼女は人間らしく、唯一血の通う温かさを感じるような人物かもしれない。

    私には関係のない世界だと思いたい。恐ろしく、暗い。
    こんな“王国”に、私は住みたくはない。
    でもこの国に生きること自体がもう、“王国”にいる、ということなのかもしれない。

  • 絶対的な力を持つ「悪」に対して「美」というあまりにもはかない力でもって対決を挑む一人の女。 誰も信用できない状況の中で「生」への執着のみで戦い続けるユリカに女の強さを見た気がする。 不条理な運命を変えることができるのは、自らの力だけなのだ、と改めて思った。

  • 「掏摸」の姉妹作。
    木崎という謎の男の魅力というかさらなる深い謎に触れられる1冊。
    おもしろかった。

  • 「掏摸」の姉妹本という位置付けになるらしい、確かにその主人公らしき人物は一瞬だけ現れユリカに警告を与えただけで去っていった、だがそれが若干の狂いをもたらしユリカを救うことになったようだ。しかし巨悪の象徴である木崎の正体や組織は一切わからない、こういう設定は伊坂幸太郎作品に登場する悪にも似ているが、いつか木崎の生い立ちを描いた物語は生まれるのだろうか。

  • 図書館で借りた本。
    「掏摸」の姉妹本。今度は主人公は女性。娼婦ではないけども、依頼された男のところへ行って、薬を飲ませて写真を撮ったりものを盗んだりする仕事をしていた。それは、ある病気の子どものために始めた仕事だったが、子供は病気で亡くなり、そのころにはその世界から抜け出せなくなっていた。

  • 「…あなた達は、何なの?」
    「初めにも言ったが、聞かない方がいい。知るということは、深く関わることだ。深く関われば、お前が裏切った時、お前を殺す価値が増すことになる」
    「…それでも、嫌だと言ったら?」
    「仕方ない。我々は譲歩した。メリットはないがお前を殺すしかない」

    『弱みがない。矢田の言葉が残る。それは強さではなかった。人生との距離を表す、孤独と絶望に近い。』

    「この世界が元々そういうものだからだよ。あるのは容赦のない無造作な選択だけだ。」

    「世界は冷たいな。不機嫌に物事を、ただジャッジするだけの世界」

    「でもそんな使い古された言葉はいらない。この世界には、使い古され、誰もが心地いい言葉が溢れていて、わたしのような人間を苦しめる。」

    『他の人はどうか知らないけど、わたしは誰かを好きになっていいか迷う時、大抵の場合、もうその人を好きになっていた。』

  • 2016.12.31
    中村文則2冊目。
    「掏リ(漢字変換できない)」の兄弟作らしいが、知らずに借りたのでそっちはまだ読んでない。

    高級娼婦のふりをして、相手の男を眠らせ写真を撮ったりする仕事を請け負っているユリカ。施設で育ったり大切な人を亡くしたりした背景も描かれる。請け負いボスの矢田と、木崎という極悪な人物の間で、なんとか生き延びようと策を講じるユリカ。最後には全て見透かされていて、木崎に殺されそうになるも、「面白い」という理由で、名前も戸籍も変えて別人になり外国へ逃げることを許される。
    私には縁のないこわい世界だが、とても引き込まれた。ユリカのいろいろ変わる心情も理解できた。「銃」より読みやすいと思った。他の本も読んでみる気になった。

  • 掏摸の絡みもの
    ええね。ただよく出来過ぎなのと、話長い

  • 図書館で借りた本。

    月がよく出てくる。
    主観的な心の動きは良く分かるけど、結局何が起こったかのかは良く分からなかった。

  • 掏摸と対となるもの。ハニートラップ、そんなにうまくいくのかしら、と思ってひやひやした。圧倒的な悪に出会ったとき、どうなるのか、どうするのか。

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王国の作品紹介

組織によって選ばれた、利用価値のある社会的要人の弱みを人工的に作ること、それが鹿島ユリカの「仕事」だった。ある日、彼女は駅の人ごみの中で見知らぬ男から突然、忠告を受ける。「あの男に関わらない方がいい…何というか、化物なんだ」男の名は、木崎-某施設の施設長を名乗る男。不意に鳴り響く部屋の電話、受話器の中から静かに語りかける男の声。「世界はこれから面白くなる。…あなたを派遣した組織の人間に、そう伝えておくがいい…そのホテルから、無事に出られればの話だが」圧倒的に美しく輝く強力な「黒」がユリカを照らした時、彼女の逃亡劇は始まった。

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