計画と無計画のあいだ---「自由が丘のほがらかな出版社」の話

著者 :
  • 河出書房新社
4.02
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本棚登録 : 994
感想 : 142
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309020709

作品紹介・あらすじ

原点回帰の出版社・ミシマ社。単身起業後から、現在に至る5年間のエピソードをつづる。

感想・レビュー・書評

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  • 計画と無計画の間に自由がある。

    愛すべき出版社ミシマ社さんの種蒔き から5年間の物語。 想いの真っすぐさにホロリ、度重なる ハプニングにニヤックスッ(当事者は尋 常じゃない状況だったでしょうけど)が 止まらない。 そして、出版社にとどまらずどんな仕 事にも通じる目の前の世界に対する姿 勢。それをサッカーや野球に例え続け る愚直さがツボ!

    愉快すぎる。足取りが軽くなる1冊とは こういうこと。

    ひとりの人間として、ひとりのあなた を大切にしたい想いがつまった1冊。

  • 著者の三島さんとは寺子屋でお話をしたことがある。出版人であるまえに、企画人。対・大衆ではなく、対・人間の出版をしている。事業計画もない、マーケティングもしない。平均ではなく、合計的な読者をターゲティングしている本作り。このひとのこと、尊敬している。

  • 自分に嘘をつかずに生きている人は素敵だと思った。
    文体にもそれが表れている気がする。飾らないそのままの平易な言葉で綴られた小さな出版社の道のり。ユニークなスタッフのエピソードに吹き出しつつも、すごく大事なことを実践している会社だと思った。入りたい。

    ・自社製タイヤを持つ。タイヤの形になっていなくても、成長していくタイプのタイヤでありさえすればよい。
    ・数字を気にしない
    ・ちゃぶ台を囲んだミーテイング。
    ・宿を決めず、PCを使わない「感じる身体を作る」合宿
    ・野生の感覚を磨く
    ・あらゆることを「100年やるため」という視点から発想する。数年もたせるためのやり方はとらない。
    ・できるだけ小さな規模で運営することにより、一冊に込める熱量を凝縮させる。
    ・「ブンダン主義」
    ・データは重視するが、最優先すべきは、どれだけ面白いか、どれだけ熱くなれるか
    ・入魂する魂の総量が結果の差となる
    ・ものづくりの原点はあくまでも「喜び」を交換すること

    すごく共感した。でも自分にはできていないことばかり。いきなり全部でなくても、少しずつでも変えていきたい。

  • 行きつけの図書館の棚に、普通に並んでいたので借りた本。
    もっと読まれてるかと思ったけど・・・ま、ラッキーという感じ。
    本屋さんじゃまだまだ平積みだけどねえ・・・という本が、図書館では何食わぬ顔で棚にあったりするから面白い。
    (この自治体が図書館資料費にお金をかなり投入しているおかげかも)。

    で、案の定いつも通り2週間では読み切れないから延長しておこうかなと思って区立図書館のweb見たら、予約が3件も入っていた。
    この本の著者が、昨日の朝日新聞土曜日版be「フロントランナー」で紹介されたからだろう。
    すごいね四大紙。
    ということで、倦怠感からくる集中力の欠如から今日は回復していたので、
    この機にささっと読む。

    私がミシマ社という小さな出版社を知ったのは、街場シリーズでおなじみの内田樹先生の著書と、文章表現教育者・山田ズーニーさんのpodcast「大人の進路教室」から。
    ミシマ社代表の三島さんは私と同い年であると知り、同じ時代を体験している者同士として、私は勝手に親近感を持っている。

    この本は、その同時代の三島さんが書いたミシマ社立ち上げから今に至るお話。
    三島さんが体験してきたこと、そこで思ったこと、この先どうしたいか等が、
    予想通り、かなり自分と重なる。
    (分野は違えど、姿勢が、ね)。
    そうだね、私も情熱を軸にして、これからも進んでいきたい。
    計画と無計画の間の「自由」を広げながら。
    人生の燃料をもらいました。

    内容は楽しくユーモア満載、だから固くなく、でも軽くなく、です。
    本当に「やっている」人の文章って、必ずこうなるよな、と思う。
    読んでいて気持ちよかった。

  • 自由を求めて既成の社会を飛び出していける勇気は何も出来ない私の様な人間にとっては読んでいてホントに羨ましく思います。

    ギスギスした社会の中でジッと我慢して生きるのも人生なら、上記のように飛び出して自らの生き方を追い求めるのも人生である。

    いずれかを選べるなら自分自身も後者でありたい、ただそう願うばかりです(願うばかりで何も出来ないが…)。

    自分の生き方を純粋に追い求める勇気をくれる一冊です。

  • 12/01/12。1/20読み始め。おもろい。
    読了後、書名『計画と無計画のあいだ』が意味するものにジンと来るものがあった。
    いつものごとく湯船につかりながら、近くが見えにくくなった眼鏡をはずして読んでいると、『計画』『予算に基づいた執行』『職員の覚悟』を迫る輩や、コンプライアンス、インフォームドコンセントや、『人権』『生命』を盾に、楽しく朗らかに仕事をしたい者を蹴散らす輩とは、やはり共に仕事をするのは無理だと感じた。
    なぜだろか。

  • ひとりの若者が、無謀にも(!)出版社を作る、と決めて
    そしてどうなるか…という物語性もしっかりあるのが
    読者を夢中にさせる理由のひとつ。

    だれもが心のどこかで「どうして、もっとシンプルにできないのかなぁ」と
    感じていることをしっかり体現していて、読んでいてなんともいえず気持ち良いのである。
    なぜって、すっかり常識に縛られてしまっている「大人」は
    「こんがらがったものをシンプルにするっていうのが一番メンドクサイのだよね」と わかっちゃってるからだ。

    「計画」と「無計画」のあいだにこそ、「自由」がある。
    「計画線」を引くことで得ることができるのは、お金や物資など目に見えるもの。
    「無計画線」を乗り越えてしまっては、ただの暴走でしかない。
    その間にこそ自由がある。

    読後、なんともいえず明るくすがすがしい気持になる。

  • 原点回帰の出版社・ミシマ社の社長が、まだ成功したとは言えない設立5年目の時に敢えて書いた、自社の事についての思いをつづった本。正直、最初は「ふうん」くらいの感じで読んでたんですが、途中からはホント心に刺さる言葉のオンパレードでした♪

    マーケティングや事業計画はもちろん大事ですし、理屈や理性に基づいて行動した方が確かにリスクの少ない人生は送れる気がします。少なくとも、暴走は誰も幸せにはしないと思います。ただ、自分の中で湧き上がる感情に対しては嘘をつきたくないし、またその際は、「どうしたら上手くいくか」ではなく、「どうしたら相手が喜んでもらえるか」という問いかけを自分自身に対して行った上で行動していきたいと思います。

  • 再読。原点回帰の意味が改めて突き刺さる。手元においておきたい本。

  • 手の届く範囲をしっかりやるの大事

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著者プロフィール

1975年、京都生まれ。出版社2社で単行本の編集を経験したのち、2006年10月に単身、株式会社ミシマ社を設立。「ちいさな総合出版社」を標榜し、ジャンルを問わず一冊入魂の本を刊行している。現在は、東京・自由が丘と京都市の2拠点で活動。2019年には新レーベル「ちいさいミシマ社」を始動。著書に『計画と無計画のあいだ』『パルプ・ノンフィクション』(以上、河出書房新社)、『失われた感覚を求めて』(朝日新聞出版)がある。2021年10月より書店と出版社をつなぐ「一冊!取引所」の代表もつとめる。

「2023年 『ここだけのごあいさつ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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