一一一一一(イチイチイチイチイチ)

著者 :
  • 河出書房新社
3.21
  • (4)
  • (15)
  • (20)
  • (5)
  • (4)
本棚登録 : 185
感想 : 24
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309020716

作品紹介・あらすじ

三歩さがって二歩さがる。壮大な一次元へまっさかさま!三一一以降の世界にくすっと響く、再生の物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 饒舌に語る側とその話に応える側がいる。
    語る側は相手に対して投げかけ問いただしながら話す。それに対して受けて応える側は「ええ」「そのとおり」「たしかに」「そうですね」「そうです」「おっしゃるとおり」「おそらくは」といった具合に基本的には否定しない合いの手の一言を返し続ける。
    この投げる・受けるのやり取りが延々と続く。

    受ける側の合いの手の言葉は同じような異常と思える頻度で続くので読み飛ばしたくなるわけだが、ただ我慢してこのやりとりを目で追っていくと、応える側に対してなんかこんな人もいるよなとふと思わせる効果がある気がした。
    饒舌に語る側のほうが具体的なことを述べているのだが、語る側よりも応える側の方にリアリティを感じる不思議なゾーンに入る。
    そして応える側の「ええ」「そのとおり」「たしかに」「そうですね」「そうです」「おっしゃるとおり」のあまりに無味乾燥な言葉の一つひとつの裏に、応える側の書かれていない心の声が実はあるのではないか?と頼まれてもいないのに勘繰る自分があらわれる。書かれた言葉よりも書かれていない言葉を思いながら書かれた言葉を目で追い続けるということになる。

  • よく分からなくて、2度読んだ。
    でも、やっぱりよく分からなかった。
    一か所で、こうすると死んでしまうからねと言っていたが、そこで死んだことになっている?記述が出てきて、そこだけが矛盾するので混乱している。
    自転車屋さんが、誘拐されたのか、警察から尋問を受けているのか?など細かい部分もよく分からない部分もある。

    そして、趣旨もなんだろう?
    二度目に読み直すと、第一章の部分は、社会に出る学生達へのメッセージなどが込められているようにも思うが、読み終わるとただの会話調で、「そうですね」などの一方が限られたバリエーションの返事で会話を進めるという実験的な手法を試しただけのような気もする。最近は、自我の崩壊により文の主語が途中で変わっている文学が流行っているらしいが、それに近い違和感。私は、好きでない。

    最初から最後まで、よく分からない。すっきりしない感は残るし、やや繰り返しや理屈っぽさにしんどさは感じるが、何かは感じたので、★3つ。

  • 今までこんな小説を読んだことがない。対話形式で物語が始まるのだが、しばらく読んでもまったく内容が理解できない。誰が何についての会話をしているのか悶々とした気持ちで読み進めると、あるところで霧が晴れたように物語の道筋がみえてくるのだ。その時のなんとも言えない爽快感をぜひ味わってみてほしい。

  • 帯が円城塔さんでタイトルもなんだか分からない。
    そんな分からなさに引き寄せられて目に留まった一冊。

  • なんだこれ…

  • ダメだ。今は読み通せない(頭ついてけない)。会社においてしかるべきタイミングで再挑戦だな。

  • なんだこれ…。語り手が勝手に語りだす物語を、定型的な「ええ」とか「そうなんです」などの簡単な言葉が返ってくるやりとり。その返事は決まっているわけでは無いのだが、雰囲気は一緒。短編が関係ありそうでなさそうな笑える奇妙な感じが、ラーメンズのコントを連想。装丁も美しくて良い。

  • とりあえず読み切ったけど、よく解らなかった。とりとめがない感じ。
    ただ、表題や章題や、頁、奥付は凝りまくっている。

  • 読後、素直に「あー、おもしろかった」と笑える本。

    わかりにくいはわかりにくいが、円城塔のわかりにくさ(←もちろんこれは褒め言葉!)よりは、単純化した文章なのでわかりやすい。

    落語の掛け合い場面のような会話体の文章に、読者の方が乗せられてしまう快感がある。

  • こういうのってどうなのさ。正直に言うとよくわからないんだな。なんかこう、評論家が一生懸命研究していろいろ頭を悩ませて論じて、それで結局実はショートコントでした、みたいなさあ。そういう感じになりそうじゃん。

    会話ですべてのお話が進行していく。会話といっても、一人は完全に相槌で、相槌を打っているほうの人生をなぜかよく知っているらしい語り手が、話を脱線させたりさせなかったりしながら話を進めていく。その情報から、読者は相槌を打っているのが、親友を追いかけて卒業旅行中である女の子であったり、自転車屋の男であったりすることを知る。

    「つまりこういうことなんでしょ」「はい」「●●なわけだ」「そうです」みないな、かたっぽが決めつけて追い詰めるみたいなやりとりが続くわけなのです。そこで私は、この言い回し何かを思い出すなあ、と思った。そうだ・・・・









    AV男優っぽい!






    愚かなるかな私の脳みそ。
    だけどまあ、普通に楽しめました。知らない世界(相槌を打っている人はみんな旅をしているんです)に連れ出されるような不安さと聖性みたいなものも感じたぜ。なんといってもタイトルかっこいいしね。あ、巻末の奥付はもっとかっこいいっす。本を手に取った人はぜひ、裏表紙から開いて奥付見てみて。かっこいいよ。あれは確信犯だな!

全24件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

福永信(ふくながしん)
1972年東京都生まれ。京都造形芸術大学中退。
リトルモアの第1回ストリートノベル大賞を短編「読み終えて」で受賞し、1998年にデビュー。
菊地信義によるアクロバティックな横組みの装幀で話題となった短編集『アクロバット前夜』(リトルモア)、
人間ならぬ存在も含む小さな物語集『星座から見た地球』(新潮社)、
知り過ぎた聞き手による対話篇『一一一一一』(河出書房新社)などの小説集のほか、
執筆・構成を担当した展覧会図録『絵本原画ニャー! 猫が歩く絵本の世界』(青幻舎)といった編著も。
2015年早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。

「2019年 『しんじゅのこ 【限定版】びわ湖真珠 ひとつぶ付き』 で使われていた紹介文から引用しています。」

福永信の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×