内と外からの夏目漱石

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著者 : 平川祐弘
  • 河出書房新社 (2012年7月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021195

内と外からの夏目漱石の感想・レビュー・書評

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  • 秋の夜長に相応しく候。就中、マードック先生との関係性は静かでよい。

    漱石の英作文。
    But although one may find himself endowed with both patience and good sense, he may still fall in doing his task only through lack of time. For those two acquirements―extensive knowledge on one hand and the justness of perception on the other, ―are only attained by years of labour, by close application to culture which, according to Matthew Arnold, insensibly forms the judgment in a fair mind, along with fresh knowledge. Indeed to read with a purpose, to select essence from dregs in search of scattered manuscripts is not the work to be executed in a fortnight or two…

    祐弘訳。
    しかし人間たとい忍耐と良識とを共に持ちあわせていたとしても、なおただ単なる時間の不足によって〔歴史家の〕仕事を達成し得ぬこともあり得る。それというのも該博なる知識と正確なる認識という二つの力量は、長年にわたる労苦を通してのみ獲られるもの、間断なき教養への努力、自己陶冶によってのみ獲られるものだからである。その教養こそが、マシュー・アーノルドも言えるがごとく、清新なる知識ともども、不知不識の間に公正なる頭脳、公明なる心に判断力を養ってくれるのである。実際、目的をもって読書し、各地に散らばっている古文書を探し求めて屑を捨て本質を選び出すという仕事は半月や一月やの時日でなし得る仕事ではない… (本書pp.67-68)

    かたまるや散るや蛍の川の上  -あとがきの句

  • 2012年9月18日読売新聞朝刊で紹介された。
     
    漱石は、外国の主義思想の信奉と、偏狭な国家主義的な反発のいずれにも陥らずに進む道を示したという。

  • 本書の内「夏目漱石の『ツァラトゥストラ』読書」が圧巻。英語訳『ツァラトゥストラ』に漱石自身が英語による書き入れをなしたものを分析しているのであるが、漱石が『ツァラトゥストラ』を読んで感じた内容がそのまま、やや冷静さを欠いたような筆致で赤裸々に示されている。そこには漱石の思考よりも直観が働いているようで、表現は力強く荒々しい。この直観が漱石のなかで冷静さを取り戻し、秩序立てられ具体的な作品に変化していくのである。20世紀初頭に和漢洋の三世界の文化に通じ自在に文筆を揮えるような人は、世界中に漱石ひとりだけだ。

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内と外からの夏目漱石の作品紹介

国民作家を一国文学史の狭い枠内から解放し、国際文化論的な観点から追求する画期的漱石論。

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