晰子の君の諸問題

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 104
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (118ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021232

作品紹介・あらすじ

小説の散文をゆるやかに撓め、時に華麗に韻を踏み、不意に甘やかな口語の科白がとびかう、そしてついには詩を論ずる。この多様な文体を重ねる離れ業に、「君」は、ついてこれるか-。

感想・レビュー・書評

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  • 哲学者ならではの唯一無二の文体は読み辛いが選び抜かれた言葉とリズムは心地良い。私が捉える君、晰子が捉える君、独詩人ツェランと哲学者ラカンが捉える君、そして君へと投げ掛けられる読者。複層する君へのメッセージが絡み合い刺激する。

  • 思想家でもある著者三作目の小説。
    流れるようでとらえどころない中に埋め込まれた強烈に眩しい言葉の断片、て感じ。晰子の天真爛漫っぷりがちょっと眩しすぎる。
    前二作よりグッと読みやすい。装丁が美しい。

  • 多分自分はこの物語を盛大に読み間違えてるんだろうけど、唯一確かに言えることは、料理描写が飯テロなことです。

  • この人の本はいつもよくわからない。物語として読む作品じゃない。今回も、これを小説と読んでいいんだろうか?と思った。これは一編の詩なんじゃないだろうか。アキコはいったいなんなんだろうか。避妊しろよ! と思った。でも文章がうつくしいんである。「ずっと視ていたい」ほどに。

  • 言葉は写真である、とすると、私が日常的に直面する世界とは違う何かを著者は見出しているのだなと感じます。哲学的な小説?小説的な哲学書?散文っていうのか。理解し難い何かに直面した感が強い。理解―それは、いつも通り本を読むという理法のことを言っているに過ぎませんが―しようとする態度をもへし折られるほどの。

    そう言えば、別の著作で「読むっていうのは実は大変なことなんです」的な論旨を展開していましたね。そういうことなんだな。

    独自の筆致がどこまでも続いていました。家で読むときは音読をして楽しんだりもした。
    冒険です。思考冒険。森や山があると行ってみたくなるから。
    イイ意味で混乱したい人にはオススメ。

  • 竜胆寺雄における「魔子」の系譜に、また新たな女性キャラクタがひとり。というとまあアレだろうけれども。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文社会研究系基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野博士課程修了、博士(文学)。現在、立教大学兼任講師。専攻は哲学、現代思想、理論宗教学。論文に「鏡・エクリチュール・アンスクリプシオン」(『東京大学宗教学年報XXI』)、「宗教の享楽とは何か―ラカンの〈享楽の類型学〉から」(『宗教研究』352号)など。翻訳にフェティ・ベンスラマ「冒瀆する羊―『イスラームの名における検閲』会議での発言」(『現代思想』2006年5月号、青土社)、ピエール・ルジャンドル『ドグマ人類学総説―西洋のドグマ的諸問題』(共訳、平凡社、2003年)など。

「2008年 『夜戦と永遠』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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