スタッキング可能

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著者 : 松田青子
  • 河出書房新社 (2013年1月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021508

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スタッキング可能の感想・レビュー・書評

  • 今年の初めに「なんかすごいらしい」と耳にしていながらも、読むのがのびのびになっていた本。

    表題作の『スタッキング可能』、最初から飛ばしている。匿名希望のお仕事女子・男子の姿は、ざっくりと類型化されて小説のネタ化され、リズミカルに展開されている。安易な類型化だという向きもあるだろうけれど、正直な話、仕事場というのは(一応ではあっても)そこで必要な一定の能力を備えた人間が採用されるわけだし、能力だけでなくて採用側の「好みのタイプ」も反映されたりするので、外見や思考が似たような人物になる。そこをうまく突いた構成だと思う。しかもこの類型化は職場全体でなくて、個人Aが個人Bを見るときにも「キャラ」「担当」という形で起こる。そういう立ち位置を押し付けられるストレスが内にたまっていくさまを描く細やかさや乾いた毒は、津村記久子さんの作品に通じるものがあると思った。しかも、お仕事女子の読むコージーミステリって、そういう位置づけだったのか!

    『ウォータープルーフ嘘ばっかり!』も、噂にたがわずリズミカルでアグレッシブでイタくて可笑しい作品なのだけれど、個人的には、『マーガレットは植える』の、淡々と植えていく動作の不思議さがまがまがしさにじわじわぞわぞわ変わっていく様子と、その下に隠れた繊細さ(これはもちろん『スタッキング可能』にもある)が胸にきた。こういう、機械的、あるいは記号的に人物や動作を処理していきながら、要所要所でその下の生身がこぼれて見えたり、「ひょっとしてそういうことか…」と脳内で行間をとらえられた(と思った)ときのやるせなさというのは、『もうすぐ結婚する女』でも強烈に感じた。これらの作品はどれもミランダ・ジュライの小説になぞらえて評されることが多いらしいけど、私はどちらかというとリディア・デイヴィスに似ていると感じる。

    何もかもきちんと説明して収束してくれるミステリのように、親切な小説ではないけれど、芯のところはストロングな現代の女子小説だと思う。ちふれの今後ますますのご発展を、心からお祈り申し上げます~。

  • Twitter文学賞国内1位。作家は35歳の女性、美人である。一言でいうと「アラサー女性の生態をリアルに捉えた」となろう。OLが昼休みに男の品定めや合コン話をし、女同士の嫉妬があり、女をお飾りにしか思っていない同僚やわけのわからない上司がいる。ファッションブランドやSNSに関する固有名詞をふんだんに散りばめて「リアル感」を強調する。しかし今のアラサー女性でマイミクはないんじゃない?そういうのが詰めが甘い。
    皮肉が効いていて面白くはあるが、「レベルが低いOLの生態を、ジェンダーの観点から切り取ってみました」という「知的な作家」の上から目線が透けて見えて、やけに作為的に感じた。そして、そのトーンで1冊やり続けられると、鼻につく。2013年出版なのにもう新しさを感じないし、作品の寿命が短かそうだ。

  • まず『スタッキング可能』というタイトルが素晴らしい。会社員達をABCD…と名付け入れ替えたり合わせたりして読めるし、会社にカテゴライズされスタッキングされているようにも、様々に個性があり悩みながらも自制してスタッキングされている姿にも読める気がした。
    『ウォータープルーフ嘘ばっかり』シリーズはとにかく面白かった。文体も内容も大好き!
    『マーガレットは植える』実はマーガレットハウエルだったんですね…。本当にシャレが効いている。内容も仕事や日々の出来事に当てはめて読めてとても共感できた。
    『もうすぐ結婚する女』このお話も人物の名前を独特なやり方で表現していて効果的だった。仕事、結婚、気になる細々した出来事をセンスよくユーモアたっぷり仕上げてくれて一冊まるごと面白かった。

  • 「わたし」とはだれかという問題に今更ながら真摯に取り組んでいるの?どうなの?
    でもとにかく面白いのだ。
    全部が全部OL的視点。
    OL的視点ってちょっとしたエロさみたいのがあるからなんか読んでてドキドキする。
    できれば「マーガレットは植える」みたいな作品をもうちょっと読みたいけど。

  • 久しぶりにどストライクな面白さのつまった本に出会ってしまった。
    本屋で目につき、なんとなく手にとったが大当たり。
    皮肉を描くのがうますぎる。そしてこのリズム。ぐんぐん読んでしまう。ん? と疑問が生まれ数頁戻り、理解しまたリズム良く頁をめくる。
    久しぶりに読書というものを楽しんだ。面白い。皮肉り方とか最高。じわじわくる面白さがたまらない。
    Amazonレビューでこの本を面白くない、つまらない、意味分からないというレビューが多々あったけど、まどろっこしさはあるが、面白くないところがないくらい個人的にはどツボにはまった。
    わたしはこの本を面白いと思うひとと仲良くなれるし、そうでないひととはなにも分かち合えないんだろうな、とまで思った。
    このユーモアセンスにすっかり魅了されてしまった。読み切るのが惜しくて時間かけて読んだほど。
    スタッキング可能もウォータープルーフ嘘ばっかりもマーガレットは植えるももうすぐ結婚する女も全部面白かった。この著者の作品、もっと読みたいです。
    本谷有希子さん、西加奈子さんの毒が好きなひとは楽しめるかも。それよりもずっと読みづらい感じではあるが。

  •  表題作がとても印象的。人生はまさにスタッキング可能であり、とある人の人生の積み重ねとまた違う人の人生の積み重ねが積み重なって日々は良くも悪くも続いていくのだなぁと感じた。また、三人称が全てアルファベットであることも印象的で、会社において個人は代替可能であることが風刺されていると捉えた。という意味では寓話的でありながらリアリティー溢れる作品。表題作以外もとっても面白くて、今後著者を追いかけたくなった。

  • うーん、A山だとかD山だとか、人物がアルファベットで出てくるので、どれが誰だかわかんなくなって、全く入り込めませんでした。
    眠い時に読んでたから余計です。

    仕方なく飛ばして(!)「ウォータープルーフ…」の章だけ読みました。
    これはすごくおもしろかった。

  • いやもう、相当に面白いね。表題も、意味深長なのか意味不明なのか判らないけれども(笑)。
    うっすらと思っていた、ああ思っていましたよ、気づいていましたよ、でも憚ってあえて言わずに来ましたよ、的な本音を、大声で暴露しちゃった、みたいな。

  • 何だこりゃ?!面白いぞ!
    これを文学と読んでいいのか謎だけど、、たいそう共感しまくる私がいる。私はD山さん。私は会長。。

  • Twitter文学賞国内編1位ということで発表会イベントのときに購入。面白かった!けど、その面白さを味わいきったかんじはあんまりしない…レベルが高いのかなあ。でも文章はすごく好みなかんじだったので、他の本もぜひ読んでみます!

  • テンポの良さは実感できるのに、なんだろ、この本に入れてもらえない様な気がしました。この世界観になれるまで少々ページを読み進めなくてはならないという新しい感覚。

    雑誌の本特集なんかでも話題になっていた一冊です。

    いつの間にかシュールな内容に惹きつけられました。ABCD・・・と役名みたいのがあってト書きがある項は、まるで演劇の台本。しかもやっぱりシュールです。

    中でも後半のもうすぐ結婚する女はオモシロカッタ。アラフォー世代に馴染む感覚。読む人によっては全く分からないんじゃないかと、ちょっぴり心配しつつ勢いづいたまま読了。

  • 率直な感想は読み終わって「不思議な感じ」であります。

    この文字と言葉のリズムにハマる人(女性の方に多いと感じます)パズルのピースがはまりそうでなくはまってしまった的な表現が当てはまるのでしょうか。

    30歳を超えた女性にまつわるどうでもよさそうなストーリーが繰り広げられるのですが、リズムよく読んできいると喜劇のようにも感じました。

    6編の小説が記されていますが

    ウォータープルーフ嘘ばっかり!

    ウォータープルーフ嘘ばっかり!

    ウォータープルーフ嘘ばっかりじゃない!

    ※3編のタイトルを抜き出しました。

    とタイトルだけで三段落ちのような
    嘘ばっかりじゃないんかいなと。。。突っ込みたくなるような

    タイトルだけではなく中身のお話は

    スタッキング可能

    このスタッキングが可能ということは同じものでないとスタックすることはできない
    スタッキングできるといことは同じ物の集まり、
    つまり、入れ替えが可能というところにたどり着くのではと感じました。

    これって深く考えると代替えが効くってということは悲しくなってきますが。。。

    読み終わってから作者の名前がなんて読むのか気になったのですが、
    松田青子さん、まつだせいこさん?
    調べたらまつだあおこさんでした。
    実はこの名前もスタッキング可能だったら、笑うしかないです。

    最後には深く考えず
    笑ってください。そんな物語だと思いました。

    以上をもちまして
    軍曹のレビュー終了とさせていただくであります!

  • ざっくり前評判で津村記久子さんっぽいのかと思っていたけど、もっとシュールにして笙野頼子さんを少々まぶした感じ(あんまり誰それに似てる、というのも失礼な話だけど、初読みの作家さんということでご容赦を)。リズミカルな文章が楽しくて、うわ〜あるある!なアレコレにニヤリとし、「ウォータープルーフ嘘ばっかり!」が頭の中をぐるぐる回り。私もちふれに入会したい(笑)不思議な雰囲気の『マーガレットは植える』も癖になる味わいで、こういうのをもっと読んでみたいと思ったけれど、こりゃまた好みが分かれそうだなぁ。

  • 共感できるし代弁してくれた!と思えるところもあるけど他のやり方があるんちゃうか私は津村記久子の方が好きだと思いながら表題作を読み,途中いやいや良いかもと一瞬おもったけどやはり最後は別に小説でやらんでも,という読後感。
    しかしラピュタの影響力はすごいんだな,と再認。

  • 読みづらいし、文のリズムについていけない。
    分裂症の人と話しているような感じに思った。
    こういうのが最近はウケるのかしら?

  • 実験的というか挑戦的というか。言葉運びは面白いが読後「それで?」という気持ちになる。帯の作家陣からの熱いコメントから見てもわかるように玄人好みの作品だと思う。

  • ウォータープルーフ嘘ばっかり!『スタッキング可能』は、カッチリと積み重ねられるくらい同じような形の人達による同じような形のコミュニティが積み重ねてあって、『ちょっwウチらキャラ濃過ぎwww』とか言ってる集団に属する人間のキャラが濃かったことなんて一度もないよねっていう。大抵は他人が一方的かつ乱暴に《私》をアイコン化してくるから、それに抗ってみたり、妬んでみたり。『ウォータープルーフ嘘ばっかり』はそれだけで一冊書いてほしいくらい面白い。書きたい事は沢山あるけど、とりあえずもう三島賞残念。

  • 期待の新人!と複数のメディアで絶賛されていたし、著者美人さんだしで期待して読みました。
    言葉遊びがふんだんに取り入れられ、芥川賞作品ぽい雰囲気を醸し出しつつ、働く女子の共感をさそう作品でした・・・

    ・・・が、わたしてきにはちっとも面白くなかった。
    斬新でシャレと皮肉が効いた小劇場のマニアックな芝居にハマれる才覚が私にはないのです。
    そんな私からみると、この作品はストーリーがないし、言葉遊びは読みにくくて自己満足なだけに感じました。
    そして、女子の共感をさそうはずのエピソードが、あるある!と思えない。
    男性からちゃん付けで呼ばれてそんなに不快に思うの?とか、料理を取り分けることにそんなに抵抗ある?とかね。
    いちいち人の発言や行動に突っかかりすぎる様子が逆に不憫に感じるほどでした。

    うっとおしい作品。
    もう読むことはないですね。

  • 図書館にて。
    話題の本で気になっていたところに、王様のブランチで紹介されているのを見て予約。
    すごい人が現れたな~!この毒のある感じ、大好き。
    表題作、その雰囲気すごくわかる。みんな別々なのに、パターン化されているような、おんなじ恰好してる社内の皆さん。
    また言ってることが笑える。それでいてそれぞれが持つ闇。どんどん展開する世界が独特。
    でもそれぞれちょっとずつ違ったところで、スタッキング=積み重ねは可能ってことなんだよね。ものすごい皮肉。

    『ウォータープルーフ嘘ばっかり』も面白かった。ちふれから苦情は来ないのだろうか?
    『マーガレットは植える』ぞぞー。必死で土を掘り返す女性の姿がすぐそばにいるような恐怖感がある。

    この人にしか書けない非現実の世界。次の作品が楽しみ。

  • 読者を選ぶと思う。
    女性、若い女の子ではないけれど中年と呼ばれるには抵抗がある、という年回りの女性でないとぴんとこないだろう。固有名詞がいっぱい出てくる。

    読み終えて、ヘタウマのコミックに付き合った後と同じ疲労感を覚えた。
    日本語がところどころへん。意図的なものではなく、著者の言語能力によるものだと思う。
    でもそこで本を閉じさせない勢いがある。

    好きではないけど好きな人は大好きだろう、小説ともエッセイとも戯曲ともつかない小品集。

  • あたらしい才能の誕生です。 松田青子さん初の単行本『スタッキング可能』ついに発売! | 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店
    http://www.kinokuniya.co.jp/20130118130820.html

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    「日本社会を皮肉に照射する表題作「スタッキング可能」をはじめ、雑誌掲載時より話題の「もうすぐ結婚する女」など、たくらみに満ちた松田青子初の単行本が、多くの推薦者により贈り出される!
    たくさんの本読みがこの小説を待っていた!
    青木淳悟「なぜ私は私なのか?――あのときの私が誰でもありえたと信じさせてくれる小説。」
    市川真人「匿名と交換可能が溢れる現代を、交換不能な才能の新人作家が描くだまし絵…だまされるな!」
    岸本佐知子「この毒、この笑い、このリズム。みんなも癖になるといいのに。」
    柴崎友香「どんどん書いてください! もっと読みたいです!」
    島田虎之介「ただ書く、のではなく、一歩踏み出して、書く。不意打ちされた。」
    豊﨑由美「センスがよくて、おかしくって、超絶面白い! わたしの中で、松田青子はミランダ・ジュライとスタッキング可能です。」
    長嶋有「『だまっておかしいと思っている人』の思いに圧倒されます!」
    福永信「ぼくらはずっと松田青子を待っていた。いや、松田青子がぼくらのことを待っていたんだ。」
    フジモトマサル「息継ぎもそこそこに、一気に読みました。記念すべき門出に乾杯!」
    法貴信也「すごい! なまえだけで世界が切りとれるような気がしてきた。」」

  • 松田さんのエッセイはおもしろい!と思ったのですが。
    小説は全体的に男社会に攻撃的な印象を受けました。男の人が主役の章でも。それから、登場人物みんなが「仕事」というものを簡単でつまらないものととらえているかんじがしました。いろんな人が登場するのに、物の見方が一緒なかんじと、この会社(社会)は似ている人ばっかりだ、という結末はなんだか残念に思いました。
    でも「ウォータープルーフ嘘ばっかり」は、リズムがよくて頭から離れない。。
    本全体を通してシュールな演劇を見ているようなかんじがします。

  • 本の作りに馴染めず、序盤は混乱して読むのをやめようかなと思いました(笑)

    でも「こういうことか!」とわかってからは、細かい台詞のあるあるがあまりにも多すぎて、楽しくなってきます。特に女性は共感できるところが多いだろうなぁ…よくわかるわかる…

  • 働く人たちの「レッテル」と「スタッキング」。そんなことを繰り返しながら生きていくのが大人。

  • 初松田青子、表紙にひかれて手に取った。この独特なリズム感、言葉遊び、ちょっとめんどい感じ、中年あたりにはグッとくる。マーガレットハウエル→マーガレットは植える!センスフルかつ遊び心満載。

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スタッキング可能の作品紹介

日本社会を皮肉に照射する表題作「スタッキング可能」をはじめ、雑誌掲載時より話題の「もうすぐ結婚する女」など、たくらみに満ちた松田青子初の単行本が、多くの推薦者により贈り出される!

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