呪文

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著者 : 星野智幸
  • 河出書房新社 (2015年9月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309023977

呪文の感想・レビュー・書評

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  • 洗脳って、箱の外からみればその不条理さや整合性のなさが明らかすぎるほど
    なのに、多分その中にいればとてつもない痛みを伴うほど気持ちのいいものな
    のだろうな、とそう思った。
    特に「死」を伴う洗脳は日本人の気質にがっちりと当てはまってしまうのだろう。
    日常の中にある洗脳。もしかすると自分もその中にいるのかも、と思わず震えた。

  • こんな展開になるのかとびっくり。
    どなたかがレビューで「日常の中の洗脳」と表現されていたがまさにと思った。
    商店街再生ストーリーかと思いきや。
    集団心理の恐ろしさ。
    まさに洗脳。
    ここまで転がり落ちるようにいくものかと思うけれど、
    実際はもしかしたらそんなものなのかもしれない。
    人間関係のごたごたもある意味洗脳かもしれない。
    正しく疑うことの難しさをつくづく感じる。
    その後の商店街の行く末が気になる。

    2015年 河出書房

  • 2016.1.23.商店街の活性化の話しがなんでここまで飛躍するの?とついていけなかった。どういう意図で書かれたんだろう。霧生がメキシコでトルタに出会う過程や商店街にみせを出すまではとても面白かったのだが。それはこの作品の前半部分。わけがわからない展開になってしまった。

  • なかなか示唆に富んだ小説でした。
    商店街の若き店主はひょんなことから改革者として注目を浴びて・・・という内容で、展開としてはお決まりの親衛隊設立&独裁者ルートです。
    SNSやまとめサイトで誹謗中傷を受けるものの、それを巧みにコントロールすることで、かえって以前よりも客が増えるというのは、いかにもありそうなこと。
    また、「クズはクズなりに死ぬことで価値があるんだ」という一見めちゃくちゃな論理も、この小説の中では説得力をもって語られている。
    寂れかけた商店街を舞台にしたこの物語は、たしかに今の時代にありそうな話です。

    ちょっと残念なのは、この小説で語られる思想や理念といった肝心なものが漠然としていること。
    カリスマ図領がどのような思想や思惑を持っていたのかはよくわからない。クライマックスで語られる「流れに乗るな、風に逆らえ」という重要なテーマも、具体的に「流れ」や「風」とはなにかがわからない。
    言い換えれば、作者の政治性が曖昧なままというか。
    もちろん、それによって普遍性は高まっていますが、一方でアクチュアリティみたいなものは失われていると思う。
    とはいえそんなことは些細なことで、この小説の白眉はなんといっても7ページから展開されるトルタの調理描写です。こんなにもリズミカルで映像的で美味そうな料理シーンがあっただろうが?
    この場面には確かに「手応え」がある。こんな描写で作られたトルタは美味いに違いない。

  • 柔らかい語り口で、今よくある商店街活性化や地域創生の話をするのかと思いきや、とんでもない展開が繰り広げられ、気味の悪い結末を迎えた。誰も悪くないのだけど、途中からは悪の渦に飲み込まれるような感覚。正直、二度と読みたくないが、それって現実社会から目を背けてる自分を表してるのかも、と思ったり。

  • 1965年ロサンゼルス生まれ
    1988年早稲田大学卒新聞社勤務、メキシコ留学
    1997年「最後の吐息」で、第34回文藝賞受賞。
    2000年「目覚めよと人魚は歌う」
    2003年「ファンタジスタ」で野間文芸新人賞受賞
    2011年「俺俺」で大江健三郎賞受賞
    2015年「夜は終わらない」で読売文学賞受賞

    都心近郊、小さな商店街は小さな店が
    世代交代危機と、運営危機に陥っている。
    若い人が入るも、どんどん違う店になったり。

    そこそこ繁盛してる飲食店の閉店近く、
    会社で部下の度重なる失態の責任を取らされ
    心にどす黒く怒りを溜め込んだものが
    やってくる。そして怒りをぶつけディスラーに。
    ネットを駆使し、動画を編集しあたかも被害者のように
    世間に呪文をばら撒き始める。。。。

    言葉は、命を持たない二次元でありながら
    一度飛び立つと、決して死なない。
    驚くような呪いを発し、怒りと嫌悪の渦を増大させる。。。
    怖い怖い現代社会の事情をたっぷり盛り込んだ
    どこにもあるような、物語が繰り広げられる。
    お化けや、怪物は一切出てこないが
    人間こそが、恐怖を作り上げてるんじゃないか?と
    寝苦しい夜にも、たっぷりひんやりできるような1話。

  • 「俺俺」もそうだったが、中盤から後半に掛けてが急ぎ過ぎという気がする。
    後半、図領が殆ど出てこないのもおかしい。
    何となく浦沢直樹の漫画のように、最初は面白いのに段々混乱して収集が付かなくなるようなきらいがあるような…

    また、これも俺俺と同様、救いの展開があっても良い。
    なので、読み進めているときは湯北の存在にはかなり期待したのだが…

    とは言うものの、その夜の夢に出てくるくらいに気分が悪くなるので、読み物としては決して悪くない。

  • 商店街を舞台にしたディストピア小説。
    店主の高齢化、後継者難、ニーズのミスマッチ、空き店舗の増加…商店街をめぐる問題がよく書き込まれている。あるある!妙に生々しく光景が目に浮かぶ。
    また、まさに現代の日本社会に溜まっているネガティヴなエネルギーも書き込まれているから、のどかな商店街が一変、恐ろしい世界と化す。
    こんなカリスマがいてくれたらなぁ〜という羨望は、半ばからは、なんかおかしい!→ありえないよね…→それだけ商店街の再生は難しい問題なんだよなぁ、という悲しい納得になってしまった。
    面白い作品だった。

  • 寂れていく一方の商店街。
    しかし、ひとりのリーダーを中心に変わり始める。
    活気のある商店街へ。
    縁側のようにのんびりくつろげる場所へ。

    後継者のいない老舗の店に若い後継者を。
    若者に人気のある店を。
    クレーマーに屈することのない断乎とした姿勢を。

    目指したものは明るい未来のはずだった。
    けれど読み進むほどに息苦しさが増す。
    目的のために選ばない手段が、どんどん過激になっていく。
    これはすべて計算のうちなのか。それとも暴走なのか。

    読者が感情移入するために作られたであろう霧生という人物。
    店の経営は上手くいかないものの、商店街改革の熱狂から少し離れて冷静を保っていたはずだった。
    が、彼が取り込まれてしまってから、狂気に加速度がつく。
    最終的にはすっかりおいていかれてしまった私。

    目的に対して視野狭窄だったり、洗脳の恐ろしさだったり、生きがいの持てない人生だったり。
    言わんとすることはわかるけど、共感はできなかったし、できないうえでの納得というのもなかった。
    ただただ、集団的暴力の恐ろしさが迫ってくるのだった。

  • 切腹!

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