消滅世界

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309024325

感想・レビュー・書評

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  • まさに村田沙耶香さんの世界観でした。本当にこんな世界になりそうで怖かったぁ〜。自分が産んだ子を『子供ちゃん』として取りあげられてしまうのは辛いなぁ。
    昔の異常は、今の世の中では正常なのかもしれない...なにが正常でなにが異常なのかわからなくなりそうでした。

  • 雑誌に紹介されていて気になっていました。
    初村田沙耶香さん。
    超好みの話のうえ、読みやすい。
    さくさく読めて一気読み。

    今この日本で起こっていることと地続きなのでは...
    と思わせる絶妙なSF感が素晴らしい。
    若者の草食化、絶食化やお友だち夫婦、二次元愛など、ニュースやなんやを見ていると
    「もしかしたら本当にこんな世界になるかも...」
    と思ってしまった。
    村田さんにしてやられたかも。

    文章はあっさりしているのに、深部に蠢くドロドロが凄そう。
    一気に村田さんファンになりました。

    • 5552さん
      LUNAさん、こんばんは。

      この作品は『殺人出産』と世界観が似ているというか地続きかなー?という感じの作品です。
      けっこうタブーに切...
      LUNAさん、こんばんは。

      この作品は『殺人出産』と世界観が似ているというか地続きかなー?という感じの作品です。
      けっこうタブーに切り込んでますよね(^-^)
      作者ご本人の‘クレイジー沙耶香’っぷりも面白かったです。昔『メレンゲのきもち』というバラエティにゲスト出演してたんですよ。
      一気にファンになりました。
      まだ三作品しか読んでないけどまた読みたいです♪

      コメントありがとうございました。
      2018/02/01
  • 村田沙耶香さんの著書3冊目読破です。
    みんな誰しも妄想というか、違う設定の世界の想像はしたことがあると思いますが、この方の作品はそんな想像でしか存在しないような世界を確実に言語化し、その上描写も細かく、設定はファンタジーのようなのに気味悪いほどの現実味が癖になります。
    今作は特に、刺激的な描写が多く、まだ読破三冊目ではありますが、今まで読んだ2冊との刺激の違いに驚きました。

    「人間が化学の力で繁殖する唯一の生物」となってしまった世界線での物語。「セックス」という概念が消えゆく世の中で、主人公は世界最後のアダムとイブになってしまうのか...。

    物語の中では、歴史の中で起り、今もこれから起きていく『変化』を『グラデーション』と表現していて、ここがとても好きでした。

  • 最高に気持ちの悪い小説
    コンビニ人間もそうだったけど
    この人は現代にある問題をディフォルメして
    独特の世界観を作るのは見事だと思った。

    本当に気持ち悪いと思ってる俺は完全に
    この作者の術中にハマってるんだと思う

    でも、完全にありえない世界とは言い切れないところにまた怖さを感じてしまう…

  • 人間の性が変化するくらいに考えていたが、それだけではなく、夫婦関係や親子関係まで変わっていくことに何か気持ち悪く感じた。
    エデンの中では正常でも、違和感を感じてしまう。
    これからの現実世界では、どうなっていくのだろうか。


    「セックス」も「家族」も、世界から消える……
    中村文則・岸本佐知子氏驚愕! 朝日、読売、東京・中日、週刊読書人他各紙で話題。日本の未来を予言する圧倒的衝撃作。

    世界大戦をきっかけに、人工授精が飛躍的に発達した、もう一つの日本(パラレルワールド)。人は皆、人工授精で子供を産むようになり、生殖と快楽が分離した世界では、夫婦間のセックスは〈近親相姦〉とタブー視され、恋や快楽の対象は、恋人やキャラになる。
    そんな世界で父と母の〈交尾〉で生まれた主人公・雨音。彼女は朔と結婚し、母親とは違う、セックスのない清潔で無菌な家族をつくったはずだった。だがあることをきっかけに、朔とともに、千葉にある実験都市・楽園(エデン)に移住する。そこでは男性も人工子宮によって妊娠ができる、〈家族〉によらない新たな繁殖システムが試みられていた……日本の未来を予言する衝撃の著者最高傑作。

    中村文則・岸本佐知子氏驚愕!
    壮大な世界。でもこれは母と娘の物語ではないだろうか。
    さすが村田沙耶香。この作家はすごい。−—中村文則
    見たこともないほど恐ろしい「楽園」が、ここにはあります。−—岸本佐知子

  • 村田沙耶香さんの作品、初読みです。世界大戦を機に、人工受精での出産が日常的となり、夫婦間での性交渉は近親相姦とみなされ、恋人同士での性交渉でさえ嫌悪感を抱く人々が増える‥そんな世の中で家族によらない出産、子育てシステムが構築される‥。
    なんだか、考えられないような世界だけど、でも有り得る世界‥でも、私はこれ、あったら怖いなぁ〜って感じました!独特な世界観で一気読みしちゃいました。

  • 読後、夜中に夢を見たし、朝起きてめまいがした。
    出生と自我の消滅に伴う私小説たっちの本は怖い。どう言う怖さかというと、我思う故に我あり、我思わなければ我なし。凪いだ目で彼岸を越えたくなるからだ。

  • 雨が降った日の読書はいいですね。
    随分前に新聞で書評を読んでから気になっていたのですが、非常におもしろかったです。
    常に変化し続ける世界は、「正常」と「狂気」の境目すら曖昧です。今の世界は変化の途中。そのスピードは年々速まっています。

    「恋愛」「結婚」「家族」「出産」、私たちが当たり前と思っていたものも、いつしか当たり前じゃなくなっていて。

    例えば、性交でなく、人工授精で子を成す。今や、珍しいことでなくなってきました。ニュースどころか、身近な友人もしていたりする。
    一歩進めば、むしろ人工授精がスタンダードになるかもしれない。あらかじめ障害因子なども取り除くことができれば、よりその傾向は高まるはず。いつでも一定の拒否感を抱く人はいるだろうけど。

    私の世代ですら、若い人を見ると随分違う、と思ってしまう。恋愛をしない人が増え、まして結婚なんてしなくても、と話す人も少なくない。
    人との繋がりは、自宅のリアルタイム配信で手軽に得られる。煩わしさがどんどん排除されている気がします。

    「結婚したいのか」「子どもはほしいのか」自問自答することが多い未婚の私には、考えさせられることも多かったです。
    まるで友達みたいな、兄弟みたいな、恋愛によらない夫婦の形もいいかもしれないですね。今の世界では外に恋人を作る(=不倫)が咎められますが、子どもができてしまうリスクが皆無であれば、心情としてまた違うのかもしれない。

    本書では子どもに焦点が当てられていましたが、少子高齢化が進む中、高齢者(年老いた親)だって「自宅で家族が面倒をみる」という形は風化しつつあります。社会全体で支えていくのが、一般的。
    同じように、生産人口も減り共働きが基本となれば、子どもを預けるのは当たり前に。
    便利な世界では、どうしても煩わしさへの耐性が減るからこそ、それに合わせて世界も変わらざるをえないんでしょうね。

    非現実的だと一笑するのは簡単ですが、私にとっては、今の世界と地続きな部分が多くて考えさせられる1冊でした。

  • 凄く大人向けの小説でした。(エロさを感じさせない描写ですが)

    初めて、村田沙耶香さんの本を読みましたが、
    この世界観に圧倒されます。(どのように生きたら、こんな世界が思いつくのか、と不思議です。)

    ページ数も250程なので、サクッと読めるのですが、没入感はとても大きいです。
    読み終わると、肩の力が抜ける感覚に陥りました。

    リアルなもう一つの世界線を感じたい方にオススメです!

  • 「一番恐ろしい発狂は、正常」、『コンビニ人間』に引き継がれるメッセージを孕んでいた。
    生理的嫌悪を起こす描写が多いのもわざとだろう。初めて生命の誕生の仕組みを知ったときに「エグい」と感じた、その感覚を呼び起こす。
    愛と性欲と家族と他人、お仕着せの概念を一度崩してみたくなった。

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著者プロフィール

村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年千葉県生れ。玉川大学文学部卒業。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。その他の作品に『殺人出産』、『消滅世界』、『地球星人』、『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。

「2021年 『変半身(かわりみ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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