降伏の記録

著者 :
  • 河出書房新社
3.75
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本棚登録 : 358
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309026206

感想・レビュー・書評

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  • ーーーひとってどらまじゃないから、どんなことがおこるかわかんないよねーーー

    発売日から読み始めてきょう読了した。
    読み終わりたくなかった。
    読み始めたときからSNSで白いページの箇所が〜という声を何個か聞いていて、白いページにたどり着くのが怖かった。何が書いてあるのか、ドキドキした。
    日々のことを書くのは相当に覚悟がいるし、このひとは潔く気持ちのことも書くので、真似したくとも真似できない。
    面倒くさいくらい女性で、その素直な筆致に溺れそうになる。
    読んでいて、下の娘、えんちゃんの発言にドキリとする部分がたくさんあった。上の娘、くらしちゃんが子どもらしい自我の通し方をする一方で、石田さんを思いやってお泊りに行かないところなんかも大人びている。将来大物になりそう。

    他人である家族と暮らす、生きていくということを、あらためて考えさせられる。
    どんなにうまくいっていて穏やかな夫婦、パートナーであっても、血縁のない者同士が寄り添うことってどういうことなのか。血縁関係にあったってわかりあえないことがたくさんあるのだから。
    わたしの他者たち。
    降伏の記録。
    ひとを惹きつけてやまない書き手さんなので、書いてほしいとおもってしまうのは読者としての我儘です
    でも、いつかまたシミのように残るものがあったらそれを見つめて書いてほしい。

  • また読んでしまった・・・
    読み終わるたびに『もうこの人の本は読みたくない!』と心から思うのに
    忘れた頃にまた、新刊を手にしてしまう。

    今回も彼女の心の中は『わたし』で満員だ。
    どうして思い通りにならないことがあるたびに
    人ばかり頼るのだろう。
    丸ごとの自分を人に預けようとする人がいたら
    私なら全力で逃げる。
    誰といたってどんなに信頼する人がいたって
    人間は基本ひとりだ。
    自分の感情のお守りを人にさせてはいけない。

    でも心をザラつかせながら、
    私はまたこの人の本を読んでしまうのだろう。
    そのくらい彼女の文章には人を惹きつける魅力があると思う。

  • かなわない、家族最後の日を読んで、その作者の三冊目。

    読後感が悪い。今までの三冊の中で 一番悪いかも。家庭環境が自分と同じようなものだから(自分=石田さん)、作者がそう考えてしまうんだろうとか、分かるけど、でもそれはやっぱり、作者は1種の病気何だと思う。

    何でそんなに自分のことしか考えられないのか。相手の気持ちを考える時も考えるのは自分の事をどう思っているかだけ。相手から自分が何をもらえるかを考えているだけ。

    自分が相手に何をあげられるか、相手はどういうことに幸せを感じるのか、どうすれば幸せ
    にしてあげられるのか、などは何も無い。

    作者の写真や本に対する感想も、評価として受け取っているだけに見える。感動してくれたことによる、純粋な喜びが感じられない。

    最後の書下ろしで、やっと発見できた、自分が何をしてきたのか分かったみたいに書いていて、だから「逃亡の記録」何だろうけど、でもこの先もずっと気がついた!分かった!と言い続けるんだと思う。身近な人が、いつもわかったような気になって、また同じところにハマる。その繰り返しをやっているのを見ると、同じだと思う。すでに三冊の中で起きているし。

    余命を宣告されている人に、それも10年過ごした夫に、今なせこれを開示しなければならないのか、まるで理解できない。それは全く自分の都合であり、そこに相手に対する気づかいはまるで無い。

    カウンセラーみたいな人も、夫がなぜそうしていたのか、それは相手=作者に対する思いやりであり、そこで夫が錯乱すること取り乱すことは、破局を招くからだ、みたいな発想がなく、ただひたすら作者を肯定するのは、カウンセリングの常なのかもしれないけど、どうなのか?

    この作者も絶対病気(精神病)だし、そのストレスが夫をガンに追いやった可能はあると思う。そんなことを作者は考えもつかないのだろうか。

  • 青山ブックセンターで平積みしてあって著者のことを知り、夢中になって一気に読んでしまった。読んでいると辛くなり、読んでいない間もずっとこの本のことを考えてしまった。
    ガンの闘病生活を送る家族に対する葛藤を、ここまで正直に書いた人は他にいなかったのではないかとおもう。普通は葛藤を書いても、もっと自分を擁護する言い方をしてしまうから。自分の醜い部分を曝け出す一方、周囲に対する批判が少ないのは、著者自身の懺悔の気持ちからではと思った(そんな自分を認めてほしいという気持ちや、商売上手な方なので、インパクトを狙ったというのもあるのかもしれないけど)。
    それにしても惹きつける文章で、素晴らしい才能の人を発見してしまったという感じ。実際の本人も、きっと人を惹きつける、魅力的な人物なのだろうなあと思う。
    ただ、第三者としてはやはり読んでいてECDが可愛そうになってしまうので、星は3。

  • 2017年刊行。2016年11月から2017年8月くらいまでの期間のことが書かれている。
    夫である石田さんが家にいる期間いない期間を通して、その都度その都度どんなことを感じ、一体著者にとって石田さんはどんな存在だったのか考えていく過程を見せることが本書のひとつのポイントなのだと思う。

    学生時代のエピソードを読むと、目標を実現するための行動力と戦略性に長けている人なのがよくわかる。それと、人とのコミュニケーションの取り方も場数を踏んでいるだけあって、自分なりのやり方が確立できている人なのだと思う。生きる力がすごい。そして、うらやましい。

  • 相変わらず賛否両論ある方。諸手あげて賛!ではないけれど、わかるなーとか心当たりがあるな…という部分結構ある。居ると思うよ、こういう人。あたしは違うけどね。うちの旦那さんもこんな部分持ち合わせてる。文中で石田さんが言ってる「わからないことをわからないままにできない人がいる」からあーだこーだ盛り上がるんだろう。著者本人も自分と同じような、そういう人に向けて書いてると言っているんだし、何より石田さんが彼女をそのまんま受け止めてるんだから良しとしよーよ!ただ、ちょこちょこ本人も心配している、娘たちがこれを読んでどこまで共感したり理解してくれるか…こればっかりはなー。同じ環境で暮らしていたって娘たちも「個」ですから。著者にとって最悪の反応、結果も覚悟はしておかねばねとは思うかなー。これで2冊目、かなわない他も読んでみます。

  • 予想外のラストだった。
    「向き合う」とはどういうことなのか、ずっと理解できずにいる。自分も他人も本当の気持ちなんて一生わからないし、「向き合ってほしい」という気持ちも結局エゴな気がする。から、私は石田さんを責めることができない。
    ほとほと人間と一緒にいるって難しい。めげそう。

  • かなわない、最後最後の日、となぜだか植本さんのことが気になり、一気に3冊読んでしまいました。かなわない、からこの人の一部分をなぞってきて、やっと自分の生きづらさの原因と向き合えるようになったのかな?と思います。足掻いているうちに子供も大きくなり親を助けてくれるようになるし。石田さんのガンはどうしようもなく、退院するのか、と嘆く気持ちも分からんでもないので、この人は率直に人を傷つけ、自分も傷つくことでヒロインになっているのかな?とか、冷静に分析するような気持ちでした。毒親に育てられた人が歩む道を進んでいると思うので、苦しい人は読んでみたら共感できるのではないかなあ?これで、植本さんの本を読むのは終わりかな?

  • 石田さんが何を考えていたのか知りたくなった。石田さんの著書を読もう。

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著者プロフィール

植本 一子(うえもと・いちこ):写真家。1984年、広島県生まれ。2003年、キヤノン写真新世紀で優秀賞。2013年から下北沢に自然光を使った写真館「天然スタジオ」をかまえる。主な著作に『愛は時間がかかる』『かなわない』『家族最後の日』『降伏の記録』『台風一過』『うれしい生活』『家族最初の日』などがある。

「2024年 『さびしさについて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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