廊下に植えた林檎の木

  • 河出書房新社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309202525

感想・レビュー・書評

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  • 残雪はどれも破茶滅茶だが、その中にも玉石あるのはなんとなく感じる。昨日見た夢をそのまま垂れ流し出るんじゃないか?と思ってしまうのもあれば、なにか深層的なイメージの共有を感じる場合もある。それでいうと、この表題作は後者。ただ、だからといってそれは理解できることを意味するわけではない。この語り口は残雪の中でも分かりにくい部類ー黄泥街ほどではないーに分類されるだろう。

  • 残雪の作品集。
    短編と、表題の中編。
    どれも生死のあいまいな世界と、苦痛と汚物と家族の呪いに満ちている。
    溶けた母親、夢遊病のふりをする息子、魔術で生まれた娘と天井を這い回る婚約者、父親は無人寺に逃げ出し、家の食べ物を盗みにくる。それぞれの視点と夢の話までもがぐるぐる混ざって行く。支離滅裂なようで、ある箇所では驚くほど明快で、これがあるから残雪は天才なんだと納得できる。

    面白い文章である事はまちがいない。

  • 中国という巨大な大陸で文化大革命を経験した作家が世界文学と出会った時。
    唯一無二であり模倣不可能な文章。ひらひらと輝く言葉が終わることがなく降り積もっていく。これは夢のような事か、それとも恐怖か。決して消えることのない雪。
    笙野頼子・松浦理恵子・倉橋由美子が好きな人に是非お薦めしたい。

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著者プロフィール

1953年中国生まれ。文革期を思わせる長編『黄泥街』でデビュー。邦訳作品集に『蒼老たる浮雲』『カッコウが鳴くあの一瞬』『廊下に植えた林檎の木』『かつて描かれたことのない境地』『最後の恋人』がある。

「2020年 『突囲表演』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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