南仏プロヴァンスの昼下り

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309203447

感想・レビュー・書評

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  • 「プロヴァンス・エッセイ3部作」(と帯に書いてあった)3冊め。

    『南仏プロヴァンスの12か月』が1989年。
    『南仏プロヴァンスの木陰から』が1991年。
    そして『南仏プロヴァンスの昼下がり』が1999年。

    8年ぶりなのは理由があり、前2作が引き起こしたプロヴァンスブームにより、プロヴァンスの観光地化が起こったと批判もされたという著者。それも一因だったかもしれないが仕事の都合でアメリカで4年間暮らし、プロヴァンスに戻ってきたところから今回の3作めが始まっている。

    そういった事情もあるのか、移住してきた外国人という距離感がちょうどよかった前2作に比べると、観光ガイド感が増しているというか、プロヴァンス紹介エッセイ感が強めでした。

    原文のニュアンスがそうなのか読みにくい漢字が使われていたり訳もやや固め。

    それでもフォアグラ、オリーヴオイル、トリュフにワイン、あいかわらず料理がおいしそうなのと料理に対するプロヴァンスの執念がおもしろい。

    ロクシタンがプロヴァンス出身の企業だと今さら知りました。

    「自分は永遠の観光客である」とか「大切なのは楽しく生きること」という著者の姿勢は見習いたい。


    以下、引用。

    21
    そのごみ容器に掲げられた役所の注意書きがふるっている。「粗大ごみは毎月最終水曜日の二日後に出すこと」

    29
    シェフは客が商談や打ち合わせではなく、料理が目当てと知っているから、その分、腕によりをかける。嘘ではない。日曜日はいつもより料理がうまい。

    62
    楽しみを目的に旅をするなら、どう気取ってみたところで観光客であることに変りはない。私は自分で永遠の観光客だと思っている。

    88
    ファリグールの深い洞察をもってすれば、映画産業はフランスを狙った文化的スパイ工作の隠れ蓑でしかない。そのくせ、彼は「タイタニック」を観ている。
    感想を訊かれてファリグールは、ぶっきらぼうではあるものの、好意的な批評を述べた。「船が沈んで、乗っている者はほぼ全滅だ。なかなか面白かった」

    136
    学校設立の発起人は、ジオノの生地、マノスクに本社を持つ世界的に有名な生粋のプロヴァンス企業である。ロクシタンヌは匂いを売って名声を築いた。

    145
    何よりも彼女たちを驚かせたのは豊穣の空間である。生涯を東京のマンションで送る身分では、この広さが実感できない。

    226
    誰もフォアグラに触れなかったのは淋しいが、それ以上に大切な栄養素であるジョワ・ドゥ・ヴィーヴル、つまり、ただ生きているという単純な事実に歓びを見出す能力についても彼らは語らなかった。
    家常茶飯のいたるところに、生きる歓びは溢れている。カフェの片隅でカードに興じる男たちの熱気や、底抜けに明るい市場の喧噪、村の祭に弾ける笑いや、日曜の昼、期待を孕んでレストランに漲る空気はみな生きる歓びの表現である。健康な長寿を約束する処方箋がもしあるならば、それはおそらく、食べて、飲んで、楽しく暮すことに尽きるのではなかろうか。わけても大切なのは、楽しく生きることである。

    242
    さてこそ、種には深い秘密が隠されていた。オリーヴの種は、想像以上にオイルの品質にかかわる重要な役割を負っているのである。かつて、意識の進んだ一部のオリーヴ業者が、種を除いて果肉だけを搾った方が良質のオイルが得られるのではないかと考えた。工程が複雑になり、その分、経費も嵩むやり方だった。ところが、この方法で搾ったオイルは長持ちしないことがわかった。種には天然の保存料が含まれていて、これがなければオイルはじきに腐ってしまう。自然に逆らっても無駄だ、とジャン・マリーは言った。何が一番かは神が知っている。


  • ピーター・メイルが4年ぶりにプロヴァンスへ帰ってきた。料理とワイン、オート・プロヴァンスのユニークな教育機関、オリーブ、フレンチ・パラドックスなどについて、興味つきない南仏の生活を綴る。
    原題:Encore Provence
    (1999年)

  • これもおいしいんだろうな〜これから読みます〜

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著者プロフィール

イギリス出身の作家。広告会社を経て文筆業に。1980年代、南仏プロヴァンスに移住し、そこでの暮らしを描いた一連の著作が大ベストセラーに。子供向けのユーモラスな性教育の絵本も多く遺した。

「2020年 『なにがはじまるの?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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