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- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309204680
感想・レビュー・書評
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近代エジプトのとある一家を舞台にした物語。
この家は、父親であるアフマドが独裁者のように振る舞っている。家族は(尊敬を含んだ)恐怖の下に暮らしているのだ。子供たちはもちろんだが、最大の受難者は妻アミーナであろう。もはや自由意思がないのではないかというところまで制限されてしまっている。このように家内では厳格なアフマドも、家の外では放蕩三昧である。歌、酒、そして女(イスラームでは、飲酒と不倫はタブーである。音楽もダメだとされることがある)。
と、あまりにも悲惨に見える。しかし、読んでいてさほど暗さは感じられなかった。それは、克明な心理描写によるところが大きい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
エジプト文壇の巨匠、アラブ圏初のノーベル文学賞受賞作家。バイナ・ル・カスラインとは「2つの城の間」という意味で、エジプトに実際に存在する2つの城の間をつなぐ通りの名前。その通りを中心に、ある一家の物語を綴った本。実際にエジプトやアラブ世界を追体験できるかなりリアルな「現地事情」でもある。エンターテイメント性は皆無に近く、イスラム世界を知らないと理解に苦しむ内容かと思うけど、日本人にとってはまだまだ謎に溢れるアラブ・イスラム世界の現実社会を覗き見ることが出来る傑作のひとつだと思う。
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