バイナル・カスライン 上

  • 河出書房新社
4.00
  • (0)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 27
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309204680

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 近代エジプトのとある一家を舞台にした物語。

    この家は、父親であるアフマドが独裁者のように振る舞っている。家族は(尊敬を含んだ)恐怖の下に暮らしているのだ。子供たちはもちろんだが、最大の受難者は妻アミーナであろう。もはや自由意思がないのではないかというところまで制限されてしまっている。このように家内では厳格なアフマドも、家の外では放蕩三昧である。歌、酒、そして女(イスラームでは、飲酒と不倫はタブーである。音楽もダメだとされることがある)。

    と、あまりにも悲惨に見える。しかし、読んでいてさほど暗さは感じられなかった。それは、克明な心理描写によるところが大きい。

  • エジプト文壇の巨匠、アラブ圏初のノーベル文学賞受賞作家。バイナ・ル・カスラインとは「2つの城の間」という意味で、エジプトに実際に存在する2つの城の間をつなぐ通りの名前。その通りを中心に、ある一家の物語を綴った本。実際にエジプトやアラブ世界を追体験できるかなりリアルな「現地事情」でもある。エンターテイメント性は皆無に近く、イスラム世界を知らないと理解に苦しむ内容かと思うけど、日本人にとってはまだまだ謎に溢れるアラブ・イスラム世界の現実社会を覗き見ることが出来る傑作のひとつだと思う。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

(Naguib Mahfouz)1911年、エジプト・カイロ生まれ。主な小説作品に、『ミダック横町』(1947、本書)、『蜃気楼』(1948)のほか、『張り出し窓の街(バイナル・カスライン)』(1956)、『欲望の裏通り』(1957)、『夜明け』(1957)の「カイロ三部作」、『渡り鳥と秋』(1962)などがある。1988年、ノーベル文学賞受賞。2006年逝去。

「2023年 『ミダック横町』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ナギーブ・マフフーズの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×