ムーア人の最後のため息

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制作 : 寺門 泰彦 
  • 河出書房新社 (2011年2月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309205595

ムーア人の最後のため息の感想・レビュー・書評

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  • もの凄く重厚な小説、ルシュディは国際的に活躍しているのでインド系作家というのではないかもしれないが、南米やインドの系譜の作家は、マジックリアリズムが吹き荒れる「特濃」の饒舌な作風に驚かされる。面白くて止まらない一方で、遅々として進まないので読み終わらないんじゃないかと思ったくらいだ。
    インドの近現代史+偉大なる母を中心とした悲劇的かつ豪族の一族のクロニクル+大河ロマン+美術小説+犯罪まみれのサスペンス&ミステリー、語り部は一般人の二倍速く老いる奇病を背負った一族最後の男子・・・これだけの要素を詰め込んで重層的に語り、読ませる。
    インドへの理解不足により宗教や近代史の部分にはやや混乱した。作家はムスリム(だったと思う)、母オローラはキリスト教徒、ネルーとも親交がある。父はユダヤ人にして財閥のドンとなり、狂気にとらわれた恋人はヒンズー。
    非常に個性的で優れた作家、ボンベイ3部作の他の作品も読みたい・・・が体力と覚悟が必要だ。

  •  すべての信心深い非キリスト教徒とすべての信仰とは無縁なキリスト教徒に宛てて書く。人生そのものが磔刑だと。結末を語ろう。過去ともうないかもしれない未来を語ろう。私の凋落の物語を語ろう。まず胡椒壺を寄越してくれたまえ。インドに求められたのはスパイスで、胡椒は断トツの商売道具だった。これが秘密のすべてだ。私の秘密はこうして釘付けにされた。

  • 資料ID:21101538
    請求記号:

  • 胡椒の香りに鼻の奥がひりつくような、そしてそれぞれの場面が映像としてくっきり立ち現われてくるような、嗅覚も視覚も総動員される濃密な読書体験。

    登場人物の一人の言を借りれば、まさしく「凄まじい、凄まじい」一族の物語なのだが、一族各々の、我欲むき出しの生き様には圧倒される思い。

    それでも、語り手であるムーアの恋人ウマの空恐ろしさに比べたら、これらの人々の生への情熱の傾け具合いが、まっとうにすら見えてくるから不思議だ。

    ムーアの大伯父アイリッシュ・ダ・ガマが新婚初夜、手付かずの花嫁をベッドに残したまま、彼女の花嫁衣裳を身にまとい、恋人である若者のこぐ舟で河を下って行く姿が、おぞましくも美しいシーンとして妙に印象的だった。


    The Moor's Last Sigh by Salman Rushdie

  • 胸焼けがしそうなくらい濃厚な物語。
    読み終わるのに結構時間が掛かってしまった。
    イベリア半島でのレコンキスタの頃に端緒を開いたと思ったら、
    一転ボンベイへ。
    民族、宗教、家族、一族のカオス。
    「悪魔の詩」の作者としての漠然としたイメージしか持っていなかったが、
    筑波大学での悲しい事件をも踏まえて、
    今後もご健康で、ご活躍いただきたいと思った。
    そしてまたまたまた「訳者あとがき」。
    既刊の作品多数の粗筋を丁寧に披露されている。
    これを是とするのはなぜ?
    異議を唱える私がおかしいのか?
    もういやだ…。

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サルマン・ルシュディの作品

ムーア人の最後のため息の作品紹介

才気溢れる芸術家にして絶世の美女オローラと、祖母の呪いにより倍の早さで年老いていくその息子モラエス(通称ムーア)。二人の幸せな関係は、運命の美女ウマの登場とともに終わりを告げ、ムーアはボンベイの暗闇に堕ちていく。第二次大戦前のインド独立運動から民族の対立が激化するテロの時代まで、「乳と蜜の流れる大地」の近代化を背景に綴られる魔術的物語。『ムーア人の最後のため息』と題する二枚の絵画の行方はいずこ?ホイットブレッド賞受賞作。

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