ほんとうの中国の話をしよう

著者 :
  • 河出書房新社
3.79
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本棚登録 : 95
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309206073

作品紹介・あらすじ

最も過激な中国人作家が文化大革命から天安門事件を経て現在にいたる中国社会の悲喜劇をユーモアを交えてつづった体験的中国論。

感想・レビュー・書評

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  •  文化大革命から現代社会にかけて、社会の集団幻想から距離を置いた視点で中国社会の矛盾を淡々と語っている。著者は、父親も文化大革命で打倒され、またその時代の暴力を間近で体験した。高校生まで毛沢東と魯迅の著作しか読むことができなかった時代。文化大革命が終わったのが43年前の1976年、現在50歳以上の人はみな記憶にあるのだろう。
     「領袖」、「私は千人の泣き声の中、びくびくしながら笑っていた。」に著者の視点が生々しく描かれている。

  • 14/3/2

    NHK 縮まらない格差腐敗が広がる社会

  • 社会

  • 80%ぐらい筆者の文革時代の実体験的エッセイで、残りが現代中国社会の説明なんだけど小説家だからなのか修飾的、印象的であまり上手な説明ではなかった。文革時代の知識があまりない人は一読してもいいかもしれない。

    全体としては、元々人治主義で社会ルールが統治者のさじ加減だった中国が、さらに文革で過去の文化的歴史的資本を短期間で破壊しつくしたので、中国社会全体が生き残るためにはなんでもありになった、そして大躍進を経てなんでもありの考え方がお金を稼ぐ方向に向いて経済発展(但し役人の水増し報告と無秩序なバブルの可能性大)したという印象を受けた。

  • 作者の目線を通して、ここ数十年の中国をよく理解できます。残念ながら、心中穏やかになることはありませんが、対策は考え続けなければならないという危機感は持つことは出来ます。

  • 文革の中で少年期を過ごした著者が、自身の体験を交えて現代中国を語るエッセイ。帯に「体験的中国論」と書かれているとおり、急激な経済的発展を遂げるのと引き替えに極端な格差を生み出した現代中国の問題を真面目に綴る一方で、ユーモアを交えた具体的な体験談が盛り込まれていることで、読み物としても非常に読みやすく、面白いものになっている。同じく帯にある「中国国内で発禁処分!」というアオリは、解説で当局からの圧力がかかった事実はないと否定されているあたり、販売戦略としてあざといを通り過ぎてえげつないかなとは思う。天安門事件を扱う微妙な話題を含むことから、中国国内の出版社には手を出しづらいというのが実情のようだ。

  • 中国の中国人の見方の一端がわかってよかった。ただ、これが普通の中国の人の物の見方とは、思わない方が良い気がする。

  • 原題は10のワードで読み解く中国みたいな感じで、この日本語題はティム・オブライエンの小説を連想してしまうんだが、中身を読んで、なるほどねと思わないでもなかった
    知識としてなら、この本に書いてあることの90パーセントは多少中国に触れている人ならもう既に知っているだろうし、中国に興味がない人にとっては面白い内容でもないと思う
    ティム・オブライエンの小説は、アメリカ帰国後の元ベトナム戦争従軍兵が、フラッシュバックのように、鮮やか過ぎるベトナムの後遺症に悩まされていたが、著者の書く少年時代の文化大革命も、天安門の回想も、リグレットとして現代の社会から後遺症のように胸をうつ

  • 作家余華さんのちゅうごくにまつわる10の話題のエッセイ。ちょうど年代も同じでわたしも、1980年代にヒッチハイクで中国を回ってから数え切れないくらい中国に行っているので、気持ちがわかります。今の中国を語るなら是非読んでもらいたい。翻訳も素晴らしい。

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著者プロフィール

1960年中国浙江省杭州生まれ。両親の職場の病院内で、人の死を身近に感じながら育つ。幼少期に文化大革命を経験。89年には文学創作を学んでいた北京で天安門事件に遭遇した。80年代中頃から実験的手法による中短篇作品で「先鋒派」作家の一人として注目を浴び、91年『雨に呼ぶ声』(アストラハウス)で長篇デビュー。92年発表の『活きる』(中央公論新社)が張芸謀(チャン・イーモウ)監督により映画化されて話題を呼ぶ。本作『兄弟』は中国で05年に上巻、06年に下巻が発表され、またたくまにベストセラーとなった。他の長篇作品に95年『血を売る男』、17年『死者たちの七日間』(いずれも河出書房新社)、21年『文城』(未邦訳)がある。グランザネ・カブール賞(イタリア)、フランス芸術文化勲章「シュヴァリエ」受賞。作品は全世界で2000万部以上、40以上の言語に翻訳されており、ノーベル賞関係者が中国で必ず面会する作家のひとり。

「2021年 『兄弟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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