書き出し「世界文学全集」

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制作 : 柴田 元幸  柴田 元幸 
  • 河出書房新社 (2013年8月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309206301

書き出し「世界文学全集」の感想・レビュー・書評

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  • カバーイラストが可愛い!本がその作家の「おうち」のようで、思わず手にとってしまった1冊。

    翻訳家・柴田元幸さんひとりプロデュース・翻訳の「世界文学全集」。文字どおり直球勝負で、クラシックな文学作品の書き出しがひとくさりずつ訳されている。すべて柴田さんが好きな作品、翻訳にチャレンジしたかった作品のはずなので、いろいろ他に書いちゃいたいところだろうと思うけれど、そこを極力排して、シンプルに仕上げられている。

    すべて、「いやあ、やっぱり柴田さんの訳だわあ!」という、すっきりと品よく、軽やかな筆致で訳されているのを読むのは楽しい。でも、シビアな見かたをすると、通して読んでいくうちに、「この作品は柴田さんの訳と合ってる」とか、「たぶん、ほかのかたの訳のほうがいいかも」というポイントが見えてくるような気がする。たとえば、ただ自分の初読の邦訳に引きずられているだけだと思うけれど、イギリス純文学や『アンナ・カレーニナ』の訳では、荘重な華麗さがもう少し欲しいような気がする。その一方で、英米児童文学はどの訳もとてもキュート!特に、『ウィニー=ザ=プー』は、石井桃子さんの訳に恐縮なさらずに、ぜひ目いっぱい訳していただきたいと思う。エミリー・ディキンソンの章は、趣向が効いていてそれだけで美しく、もとの文をぜひとも探ってみたくなる。

    個人的に面白かったのは、原著が英語以外の文学作品の英訳をさらに日本語に訳している「重訳で読む世界文学」篇。『源氏物語』の『桐壺』が異なった英訳者で3パターン訳出されており、それぞれに英訳者の持ち味が違って、何を訳で伝えようとしているかの差がよくわかる。そういえばサイデンステッカー英訳の『桐壺』、高校の古文の時間に資料でもらったなあ。この訳でも結構正確だと思ったんだけど、最近出たタイラー訳の、それを上回る正確さには正直驚いた。原文に沿う翻訳、というのは日本語訳界隈では常に話題の中心となっているが、他の世界の翻訳者さんも、同じ方向を向いているということにあらためて気づかされた。視野が狭いな、私!

    フランス語の「デギュスタシオン(試飲、試食)」という単語を思い出す、とても魅力的な世界文学全集。ここでつまみ食いしたのち本編に臨むのも、さも読破したように大いに語るのもよろしかろうと。

  • ‪タイトルや著者は知っているのに読む機会が少ない海外文学。読みづらくて途中で諦めてしまったり、これだ!と思える本になかなか出会えなかったり。そんな悩みを抱えていた時に出会ったのが、柴田元幸さんの「書き出し『世界文学全集』」。書き出しだけを73冊分も掲載している太っ腹な本。しかも全部柴田さんのコメント付き。内容は本の説明だったり時代背景だったり本にまつわる思い出話だったり。柴田さんの訳が好きな方、本を読むか読まないかの判断材料は書き出し!という方にオススメ。ちなみにわたしは8冊読みたい本が見つかりました。‬

  • 私は猫 に微笑。
    確かに英語では I am a cat
    吾輩は猫であるの方が趣が好みだけど、私は猫もなんだか少し可愛く思える。

    作者の言うとうり、日本語は細部まで微妙なニュアンスまで表現しようとする言語だけど、英語は表現の幅が日本語より狭い分、ニュアンスの違いは想像でカバーするのかな。
    だとしたらすごいな。

  • 続きが気になる!名前は知っているけれど読んだことない本が多かった。外国文学はどこか敷居が高くこれまであまり手に取ってこなかったが、冒頭読んだだけでも興味をそそられた。外国文学を今まで避けてきたのは間違いだった。今まで踏み込めなかった一歩を後押ししてもらったこれを機に読んでみよう。

  • とにかく面白かったの一言に尽きる。気になってはいたが、なかなか手を出せずにいる作品をかじれるのがありがたい。源氏物語の英訳の重訳が一番印象的だった。日本語の普通の源氏物語より、何倍もわかりやすい!ちょっと感動した。また積ん読増えそうだけど、著名な本は読んでおきたいのでこの際気にしないことにする。編者・翻訳者の柴田元幸氏のポール・オースター押しに思わずクスリ。どんだけ好きなんだこの人(笑)文学全集なんて読んでしまったという人でも新しい発見があるのではないかと思う。

  • ◆文学で世界をめぐるのもカッコいいかも…◆
    「今更読みたいとは思わない古典文学だけど書き出しだけなら楽勝かも」などと思って手に取るときっと後悔します。だって読むのは大変だったから。
    それでも紹介しようと思ったのは、前口上にある「愛の指さし」という著者の目的に感じるところがあったからです。それに、短いけれど各作品に加えられたコメントは間違いなく面白い。柴田先生大好きです。

  • 題名そのまま、「書き出し」集。挙げられているのは名作ばかりだけど、あんまり読んだことないな…。自分は読書好きと思ってたけど、そんなでもなかったみたい。いくつかとても面白そうなのがあったので、次の機会に読んでみたくなった。

  • 重訳を読むとなるほどおもしろいものだなぁと感心した。
    「赤毛のアン」シリーズ以外はどの本も読んだことはなくて、映画化しているものなど映画でみて知った気になってしまう。
    そんな私からすると柴田氏のコメントは本がお好きなのだなということと、作品や作者をよく知る楽しさみたいなものが伝わってきて、素敵だなぁと羨ましく思う。

  • 申し訳ないようにも思うけど、名作の書き出しより何より、柴田さんが各作品について語った短い文章の方がずっと面白い。もっとたっぷり語ったものを読みたかったなあ。そういう企画の本を出してくれないかなあ。

    「源氏物語」の英訳から重訳したものが三つ並べられていて、これは面白かった。やっぱり研究と理解が進むせいか、新しいものの方が格段に原典の雰囲気をよく伝えている。「吾輩は猫である」の重訳もすごく新鮮。こういうよく知られた作品の重訳というのももっと読みたい。

    全作柴田さんによる新訳なのだが、「嵐が丘」とか「赤毛のアン」とか、若い頃読んでもう心に刻み込まれている作品は、どうしても「ちょっと違う」という気持ちになってしまう。これはまあ、どっちがいいというものではないのだけど。ただ一つだけ、カフカ「変身」でザムザが見るのは、やっぱり「気がかりな夢」でなくっちゃ!

  • 請求記号:908.8/Shi
    資料ID:50072571
    配架場所:図書館1階東館 め・く~る

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