ヒロシマ・モナムール

  • 河出書房新社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309206622

感想・レビュー・書評

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  • 愛とその忘却について。スクリプトというよりはプロット。

    初めての、その悲劇的な愛さえも、その記憶にどんなにしがみついても忘れていってしまう。しかし、ただ一夜の新しい愛(愛と恋は彼女には同じもの)を前にして彼女はささやかに抵抗する。彼女はその愛に名付ける。「ヒロシマ」と。彼女の最初の愛のように、憎しみや悲しみ、恐怖と共にある愛の方がより記憶に残るから。

    そして本当は忘れていくことも、愛することだと彼女は気が付いているのだ。

  • あなたの手を見ていたの。眠っているとき、動くのね。
    テクストの中で溶け合う人々、触れられそうで触れられないそのあわい…何を見て、何を見ていないのか、何が見えなくて、何が見えるのか。何も見ていないのか。

  • 映画も面白かったけど、本も面白かった。映画では選択されなかった台詞やト書きが書かれた脚本は文章と映画との違いを感じさせる。映画を見ていて様々な境界線を越えていくような感覚は本として読んでいるとより一層強く感じた。

  • 新訳。

    「訳注/一九四四年六月、連合軍のノルマンディ上陸作戦の前後に当たる春から夏にかけて、敵方の男性と通じた助成を丸刈りにするという懲罰がフランスで広まった。」(p. 13)

    ヒロシマと対になる地名、フランスのヌヴェール。
    ドイツ人の恋人に通じた女が丸刈りにされた場所と時間。

    丸刈り、
    ただれた肌(ただし映画用のフェイク)とキズのない滑らかな肌、


    身体の表情の記憶がくりかえし現れる。

    「フクシマの後で」という問いには、被災者のひとりとして抵抗を覚えつつ、福島には、ここにあるような身体の表象がともなっていないことに思いいたる。

  • 名画『二十四時間の情事』の母胎となったテクストを四十四年ぶりに新訳。「フクシマ」後のいま、五十数年前のデュラスの「ヒロシマ」、ひと夜の愛の物語が、新たな意味をもって迫ってくる。

  • 「二十四時間の情事」だ!
    ヒロシマをフクシマに替えて、チェルノブイリ出身の人と、、、換骨奪胎してみる?

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    http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309206622/

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著者プロフィール

仏領インドシナのサイゴン近郊で生まれる。『太平洋の防波堤』で作家としての地歩を築き、『愛人(ラマン)』はゴンクール賞を受賞、世界的ベストセラーになる。脚本・原作の映画『ヒロシマ・モナムール(24時間の情事)』、『モデラート・カンタービレ(雨のしのび逢い)』、『かくも長き不在』は世界的にヒット。小説・脚本を兼ねた自作を映画化し、『インディア・ソング』、『トラック』など20本近くを監督。つねに新しい小説、映画、演劇の最前線にたつ。
第2次大戦中、ナチス占領下のパリでミッテラン等とともにレジスタンスに身を投じ、戦後も五月革命、ヴェイユ法(妊娠中絶法改正)成立でも前線にたち、20世紀フランスを確実に目に見える形で変えた〈行動する作家〉。

「2022年 『マルグリット・デュラスの食卓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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