- Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309207285
感想・レビュー・書評
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異形、というと高級感すらあるが、ゲテモノ、見世物芸人、不適応者、エグい、どうしょうもない、といった重層的意味を持たせているはずだ。
(オタク、マニア、といったニュアンスはまだなかったころの小説だ。)
「存在しているだけで稼げる」という素晴らしいアイデアから畸形を作り上げる、という奇矯な家族小説からスタート。
フツウを見下すという価値の顛倒。囲いの中でのマジョリティとマイノリティ。
やがて カリスマへの傾倒が始まる。
躰の歪みだけでなく、家族の兄に対する/フツウのフリークスに対する傾倒という精神の歪み(内面のフリークス)でもある。
ここにおいて話は家族を超えて集団心理を描き出す。
その反面、語り手オリーのうちでは、愛される、から、愛する、へ思考が変容していく。
彼女だけは家族小説を醸成し続けていたのだ。
訪れる悲劇。
時間を経て、移動し続ける生活から、定住生活へ。
最後には娘を思う母、兄を卑小に再現する女から娘を守りたい、という家族小説に、見事着地。
奇想と構成の奇跡的な融合が、この素晴らしい小説を成立させた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とても長かった。アメリカでの著名人が愛するカルト的な問題作が復刊。ここにてそれなりの感想をたやすく書けばいいのだろうが、自分の一番の感想は長かっただ。見せ物サーカス夫妻の経営するテントの中で、わざと奇形に産まれ育った兄弟達。がっちり外の世界からガードされ、より多く人に見た目で賞賛されるかが、一家のヒエラルキーとなる世界。どの部分で反応し感じるか、個人によっての本への捉え方が大きく変わるので、そういった意味での貴重さはある。
最後の主人公から自分の娘への手紙はない方が良かった。それが愛だとワシは思うのだ。 -
これ読んで運命が変わった、人生が変わった、と言えるのが正しいツウだろうと思うんだけれど、私は変わらないかな。
もちろん面白いし強烈に家族愛だしロマンチックでもあるんだけれど。
なんと言っても「真のフリークは作れないのだから。真のフリークには生まれつかねばならないのだ」から。 -
魂のさけび
異端 -
カルトの傑作という評価も頷ける。
ひどい拒絶感の一方で、抗えない魅力もあり思わず読みきってしまった。共感できないと思いたい、でも、まったく共感できないとはいいきれない。
衝撃的なラスト、でも、あの怒りはうつくしかった。そんな風に思ってはいけないのかもしれないけれど。 -
すげーすげーとは聞いてたものの、オイラが知った時にはペヨトル工房は既になく…河出がまずすげーわ。愉楽とかも相当ヤバいと思うけど、よう次から次へとこうどっかから怒られそうなんを出すわ。エラい。
で、中身。フリークス小説の金字塔みたいな話は聞いてたけど嘘やなかったなぁ。愉楽よりだいぶ古いけど古さを感じへんし過激さでも負けてへん。 -
最初から終わりまで、哀しすぎて読むのが苦痛だった
また読みたい -
狭い世界の中で、異形であることに誇りを持って育った家族のつよい愛と歪みは生々しく、胸焼けするような美しさと哀しみを混在している キッチュなどではない