- Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309226613
感想・レビュー・書評
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誰のどんな言葉であってもやはり戦争というのは悲しいものなのである。
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第二次世界大戦時、ドイツ国防軍の将兵などが故郷へ送った手紙をフランス人が紹介したもの。
ちなみに、一番興味深かったのは、兵士のものではなかった。
フランスを占領した軍に続いて、ドイツの中央銀行からパリに派遣された銀行員の手紙。支配者として贅沢な生活を満喫していると家族報告している。
著者の説明によると、この手紙の主は、その後一兵卒としてソ連軍との戦いに徴兵され、行方不明になったという。
さて、この本は膨大な手紙の中から著者が取捨選択しており、収集した手紙を分析した統計なども無いので、これで戦争の真実がわかる、というような性格のものではない。
ただ、戦場での暮らしなどを淡々と報告する手紙が多くて、政治とか、戦意に燃えているような手紙は少ない。意外とそんなものかもしれない。ヒトラーは普通に尊敬されてるけどね。
あとは、スターリングラード攻撃の途上や、Dデイ当日の手紙があって、かなり深刻な状況のはずなのに文面は深刻さが無く、情報がなかなか入ってこない現場の視点はこんな感じなのかな、と面白かった。 -
「Lettres de la Wehrmacht」の翻訳(2016/03/20発行)。
本書は、ドイツ第三帝国の正規軍である国防軍(ヴェアマハト)のヘーア、ルフトヴァッフェ、クリークスマリーネに所属した兵士達と警察兵が書いた約百通の書簡を取り纏めた書籍です。
本書に掲載されている手紙は基本的に軍の検閲を受ける野戦郵便で郵送された手紙のため、兵士たちの任務やNSDAP(ナチス)のイデオロギーに即さないことは書かれていません。 そのため、著者の狙いである「ドイツ兵=戦争マシン」と云うフランス人(?)の概念を崩すことが出来たのかは疑問ですが、今までスポットの当ることの無かったドイツ兵の信念や苦悩、喜び、精神状態がどのようなものであったか等について知ることが出来たのは良かったと思いました。
只、著者がフランス人でホロコーストについて研究している研究員のためか、レジスタンス神話を崩したり、フランス人のホロコーストへの協力についてなど、フランスに都合の悪い手紙は見当たりません。 又、訳者がドイツ語に詳しくないためか、本来「ヴァルター」と訳されていなければならないモノが「ワルター」に、「山岳猟兵」と訳すべきモノが「ピオニエ」と訳されていたりしていた他、軍事用語についても一部微妙な感じな注釈もあり、残念なところが幾つか見られます。
個人的には期待していた程の内容では在りませんでしたので評価は★★ですが、特に悪い本ではありません。 素直に第2次大戦中のドイツ兵は、家族や知人とどのような手紙のやり取りをしていたのか知りたいとお思いの方であれば、本書はお薦めではないかと思います。
ちなみに本書は97章に分けドイツ兵の手紙を掲載していますので、邦題にある「100通の手紙」は100に満たないのでおかしいと思われる方もいるかもしれません。 しかし、実際には100通を超える手紙が掲載されていますので、100通未満と云うことはありませんのでこの辺は安心して良いでしょう。 -
日本人の戦時中の手記というものは博物館や『きけわだつみのこえ』などで読んできたが、ドイツ国防軍兵士の手紙を読んでも、大きな差異があるようには思えなかった。そこにあるのは国家プロパガンダに掻き立てられた戦意と、敵への恐怖、そして家族や恋人など愛する者への愛情である。
戦争というものは、誰かの夫と誰かの息子が殺し合うものであるということを感じる。
現代でもなお、凄惨な侵略戦争が起きてしまっている以上、この構図は今も変わらないのだろう。 -
ノンフィクション
戦争