サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

  • 河出書房新社
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  • / ISBN・EAN: 9784309226712

感想・レビュー・書評

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  • これまた喉から手が出るほど?読みたかった本
    さっと読んではもったいないのだが、先が気になり駆け足してしまった
    なので再度イチからしっかり読み込んでみた

    なぜホモサピエンスが生態系の頂点に立って威張っているか(笑)、なぜこのような世界に生きているか…それを解き明かそうとする人類史

    我々サピエンスは、架空の物事について語ったり、信じることができる
    もちろんほとんどの動物は何らかの意思疎通がはかれるのだがホモサピエンスだけの特徴として…
    ・噂話ができる、存在しないものについても情報を伝える能力
    〜誰と誰が仲が悪い…なんて野良猫の集会では話さない
    ・さらに大きな集団での協力は「共通の神話」を信じること(宗教、国民、国家、お金、人権、法律、法人など)ができる
    〜要は目に見えない実態が曖昧なものだ
    キリスト教の猿なんていないしお金を持つ馬もいない
    ・遺伝子や環境の変化なしで行動を変えられる
    〜会社の後継者は、自分の子孫じゃなくても成り立つ

    このような社会的協力が生存と繁殖のカギになり、発展していった

    農業革命が起き、余剰食糧+輸送技術=都市への密集 という展開に
    これにより大規模な協力のネットワークの構築が必要となる
    想像上の秩序や神話を共有化を利用
    これらを信じさせるために偉大な神々あるいは自然の法則によって生み出された客観的実態と主張する
    生活スタイル…例)個人主義であれば、プライベート空間や独立した子ども部屋を設けることで認識
    消費主義…幸せになるためにはできる限り多くの製品やサービスを消費しなくてはならない
    など
    また想像上の秩序は共同主観的であるため、一個人が信念を変えても、死んでも影響はない
    例えば自分1人がアメリカという国家の存在を否定しても何の影響もない
    これを変えるには、これに代わるより強力な想像上の秩序(政党、イデオロギーに基づく運動、カルト宗教など)が必要になる
    すなわち想像上の秩序から逃れる方法は無い!のである

    そしてこの想像上の秩序は、ヒエラルキーを成す架空の集団に分けられた
    あらゆるヒエラルキーは人類の想像力の産物であるのだが、まんまと差別という罠にどっぷりはまる
    カースト制、奴隷制、男女の格差などが当てはまる

    そして人類は、史上最強の征服者「貨幣」によって国家間のボーダレス化が進み、良くも悪くも帝国主義を経て統一へと向かう…

    著者は「認知革命」により歴史が始動し、「農業革命」により歴史の流れが加速、そして「科学革命」により歴史に終止符を打ちまったく異なる展開を引き起こす可能性があるとしている
    下巻はこの恐ろしげな「科学革命」が中心となる


    歴史のお勉強で最初のアウストラロピテクス、ネアンデルタール人…
    メソポタミア文明、ハンムラビ法典…
    この辺りってつまんないなぁ〜ってずっと思っていた
    が、この本を読むとあ〜ら不思議!
    面白いでは無いか!
    ちょっと角度を変えて、背景を上手に付け足して下さると急に歴史に息吹が…、色が…(笑)
    上巻は端的に言うと、「なぜホモサピエンスがピラミッドの頂点に君臨したか」
    なんだけど、サピエンス誕生から様々な例やユーモアを加え丁寧に歴史が描かれている
    これがたまらなく人々の知的好奇心と我々のルーツや神秘性をかき立てられるのである
    ハラリ氏の脳内の凄さをゾクゾクと感じることができる

    反面、サピエンスは想像上の秩序や虚構に取り憑かれ、振り回され、逃れられない
    もう二度と元に戻る事はできない
    多くの得たものと失ったもの…
    考えさせられることが多々ある

    下巻の展開がとても楽しみだ


    ◎キリがないがどうしてもの備忘録◎

    ・「種」とは繁殖力のある子孫を残す者同士が同じ種となる
    例)
     馬とロバ…このラバーに繁殖能力なし(別の種)
     ブルドックとスパニエル…(同じ種‼︎ 見た目ではない)
    ・火を使い調理が可能になったことで消化時間が短縮し腸が短くなった そのため大量のエネルギーを巨大な脳に集中できるように
    ・ホモサピエンスはあらゆる生物のうちで最も多くの動植物種を絶滅に追い込んだ
    生態系の連続殺人犯である
    ■狩猟採集民の豊かな暮らし
    ・労働(資料)時間は短く、家事もない豊かな暮らしを送っていた
    ・必要な栄養素も確実に手に入れられ健康であった
    ・家畜などから感染するであろう感染症も少なかった
    ■農業革命がもたらした悲劇
    ・労働時間が長く自由な時間が激減
    ・重労働によるヘルニア、関節炎などの疾患
    ・畑のそばに定住化し移動の自由がなくなる
    ・栄養面の低下
    ・少ない種の栽培により、自然災害が起こると生命存続の危機にひんした
    ・家、畑、家畜守るものが増え部族間の暴力が多発
    ・出生率の増加により食糧への依存増
    ・より良い暮らしを求めてがむしゃらに働くが、楽にならないという現代社会と同じ悪循環に陥った
    ・その日暮らしで多くの心配事が免れた狩猟採集民に比べ農耕民は生産及び消費する以上に蓄えを残すようにするため、未来に対する不安が常につきまとうように
    ・革命の犠牲者たちは家畜化、牧草化された動物たち(オスの去勢はもちろん肉体的、精神的な虐待による残酷な方法が紹介されていた)
    ・余剰食料によって暮らすのは支配者であるエリート層(歴史書に名を残す人物たち)
    ・最初期の文書は退屈な実用文書
    古代シュメール人が2種類の記号を組み合わせ多くのデータを粘土版に刻んでいた
    このように文字が生まれ、コンピューター処理の二進法「0」「1」が生まれた
    そしていよいよ人工知能は二進法の書記体系に基づいた新しい種類の知能を生み出そうとしている(ターミネーター、マトリックス)
    ・想像上のヒエラルキー
    生物的区別はほとんどないのに、神のせいにし様々な差別が生まれる
    なぜこのような差別が生み出されたのかを歴史的な出来事や事情、力関係を学ぶしかない
    ・差別の悪循環
     a.黒人は能力が低く穢れている
     b.この偏見が定着
     c.ホワイトカラーの職に就けない
     d.ホワイトカラーの職に就けない黒人の多さ
     e.黒人が劣っていることの証拠
    ・貨幣のおかげで見知らぬ人同士の交易が展開し経済関連のネットワークがグローバル化、しかしながら、人の価値や親密な関係を損なう代償も多々
    ・帝国主義の大多数は権力維持のため、迫害と戦争を繰り返した「悪」とされるが、今日の文化の大半は帝国主義の遺産 完全拒否はもはや不可能

    • やまさん
      ハイジさん♪こんにちは。
      コメント♪有難う御座います。
      私も、この雑誌を見て、最初に載っているのは「なすのキムチ炒め」ですが、さっぱりし...
      ハイジさん♪こんにちは。
      コメント♪有難う御座います。
      私も、この雑誌を見て、最初に載っているのは「なすのキムチ炒め」ですが、さっぱりしたものと、私なりに簡単なものを探しました。
      そうすると、ハイジさん♪と同じく1番が出汁浸し、2番が焼きナス、3番がなすの味噌炒めでした。
      それと、キュウリを買って来ると1本か、2本は、傷めて捨てています。
      この雑誌には「凍らせキュウリもすごい」として「きゅうりとわかめのきんぴら」が少し書いて有ります。キュウリを買ってきて、すぐ使わないものは冷凍していいのだったらと思っていたので、これを試してみようと思っています。

      「きゅうりとわかめのきんぴら」
      心地よい歯触りを残しながらも、程よくしんなり。
      夏らしく爽やかな味のきんぴらは、冷たい麺類のお供にも。
      2020/05/04
    • やまさん
      ハイジさん♪こんにちは。
      ご存じと思いますが、参考までに…。
      この雑誌には、以下のように材料は書いています。

      材料(つくりやすい分...
      ハイジさん♪こんにちは。
      ご存じと思いますが、参考までに…。
      この雑誌には、以下のように材料は書いています。

      材料(つくりやすい分量)
      なす8個(640g)
      A
       だし カップ2
       みりん 大さじ2
       しょうゆ 大さじ1
       塩 小さじ1/2
      みょうが・青じそ(各せん切り) 各適量
      [常備品]塩
      保存:冷蔵庫で5日間
      2020/05/04
  • 「ホモサピエンス」にやっと取り組むことができた。
    大変面白く興味が尽きない上巻だった。
    まずこの本で感じたことは固定概念に縛られずに、多方面から、つまり立場を変えて見て考えるということ。
    そうすればこの本の言おうとすることがよく理解できる。コロナ禍以前の出版だが、この本を踏まえてコロナ禍の各国の対応や、cop26のことを考えてみるのも意味のあることと思う。

  • 2016年を代表する本として各所で絶賛されているが、確かにこれは凄まじく知的好奇心を揺さぶってくれる。

    イスラエルの歴史学者である著者が明らかにするのは、ホモ・サピエンスという生物種がなぜ他の生物種と異なり、地球でここまでの文明を作り上げることに成功したのかという問いへの答えである。そのカギを握るのは、「認知革命」・「農業革命」・「科学革命」という3つの革命であった、というのが骨子となる。

    上巻では、歴史学者としての丁寧な史実関係叙述と不確実な事柄はそのまま不確実さを伝えるという真摯なスタンスにより、「認知革命」と「農業革命」についてが解説される。

    「認知革命」は、ホモ・サピエンスが言語を発明したことや、言語により相互のコミュニケーションが可能になったということではなく、「虚構」を生み出すことにより、様々な共同体を組成できるようになったこと、そしてその共同体とは虚構、別の言葉を用いれば幻想の存在であるということこそが革命の主たるポイントとされる。例えば、宗教や国家、引いては我々の多くが所属する企業に至るまで、あらゆる共同体は「その構成員全てが、会ったことがない他の構成員に関して自らとの同一性を感じ、何らかの協力体制を構築できる」というのが特徴になるが、共同体とは自ら触れて確かめることができないにも関わらず、その存在が疑われないという点で、一種の虚構性を帯びる。

    「農業革命」について刮目すべきは、「人間は小麦などの作物を農業に適した形で栽培化することで、狩猟採集よりも安定的な生存基盤を獲得できた」という考えが実は誤解であるということが明らかにされる点にある。事実はむしろ逆で、「人間は小麦により家畜化され、小麦という種が世界にその遺伝子を残すべく繁栄することに成功した」、つまり人間は小麦の利己的遺伝子を残すためのビークルとして利用された側であるという。これは我々が通説的に考えている狩猟採集社会から農業社会への移行のバックグラウンドの言説を覆す説であり、非常に面白い。

    本書の面白さは、例えば「認知革命」だけを例に取れば、おおむねその主張はベネディクト・アンダーソンの「想像の共同体」で語られていることと軌を同じくしていると思うが、そのスコープが農業、科学など多岐に渡り、なおかつ時間的・空間的な広がりを持っている点において、この一冊で広範な人類の活動の謎を全て知ってしまえるのではないかという奇妙な錯覚を与えてくれる点にある。引き続き下巻へ。

  • なんじゃこりゃぁ!こんな今風で面白い人類史なんて見たことない!
    現代的で気さくで分かり易くてすいすい頭に入る歴史学術書は初めてです♪作者が若いので採り上げている材料も身近かですねぇ。
    これならば堅苦しくもなく老若男女みんなが気軽に人類史を学べるし理解しやすい。
    我が人類が如何に不遜で秀でて姑息な存在だったのかを知りました(笑)
    下巻にも期待を繋げつつ読了しました。
    久しぶりに乏しい知的好奇心をぐいぐいと擽られました(笑)

    • ありんこさん
      めっちゃ読んでみたくなりました
      めっちゃ読んでみたくなりました
      2020/07/07
  • 読んでいる間、わくわくする気持ちが止まらない。現代社会は決まりごとだらけである。既存のものが当たり前すぎて、違和感など感じない。それを、地球を丸ごと見下ろすような広い視野で、客観的に見ているのがユヴァル・ノア・ハラリ氏だ。彼はとんでもない人物である。本書を読むと世の中の捉え方が変わる。

  • この本は、私に幅広い視点を与えてくれた!

    今直面している問題や、将来の不安、人間関係のもつれなどがちっぽけに見えてくる。

    なぜかというと、自分と関係のある人は、一種の動物であり、一人のホモサピエンスであると認識できたからだ!

    これが歴史を学ぶ一つの大切な理由なのかもしれない。

    この本のジャンルは人類史であると思うが、次の下巻はもちろん、これを機に学生時代とても苦手だった日本史も学ぼうと思うようになった!

    学びが学びを産む瞬間を味わえてとてもワクワクしながらこの本を読んだ。

    歴史を学ぶって面白い!

  • すごい!おもしろい!
    今まで話題になっていたのにずっっと手を出せずにいましたが、もっと早く読んでおけばよかった、いや、読み始めてよかった、と思っています。
    不思議な感覚なのですが、文章を読んでいると映像(妄想)の中で猿人たちやサピエンスたち、ボノボたちが動き出すんです。
    今まで自分が何も知らずうだうだと想像していたことをスパッと落ち着いた語り口で言い切ってくれる感じ、読んでいて爽快です。
    下が気になることはもちろんのこと、人類や歴史のことをいろんな切り口から覗いてみたくなる、知的好奇心を刺激してくれる本でした。

  • 久しぶりに小説では無い本を読みました。以前から気になってた本です。これも図書館で借りました。

    人類と呼ばれるのは250万年前のアウストラロピテクスが最初で、今の私たちの歴史は、およそ7万年前のホモ・サピエンスという種に属する生き物が作り出した文化から始まるらしい。

    私たち、人間の祖先が素晴らしく優秀だったから今日隆盛を極めている、というのは正しく無く、様々な人類(ホモ・なんとか)の中で、どうやら言葉の発達や認知力の発展により虚構、現実には存在しないものについての情報を伝える能力を得たからだ、ということのようだ。

    確かに、今の世の中も現実には存在しない作り事やルールに従って、みんな生活している。誰も根本的におかしい、などとは言い出さない。そんな事言ってる本人が、おかしいのでは無いかと逆に思われてしまう。

    存在しないものを信じる力が生まれた結果、他人を信じることが生まれ、集団はその数を大きく増すことになる。もともとは遺伝的に信頼できることが備わっている血族やその近辺だけの集まりだったのが、全く知らない第三者を信頼できるようになるのだから、飛躍的に数は増えたのだろう。そこから大分経過してから、想像物として最強の貨幣が生まれる。

    その後、農業革命が起きた。狩猟生活には小さな子供はたくさんは維持できない。そのため人口増も抑えられ、身の回りの食料が尽きることは無かった。(人の身体の仕組みとしても食料の欠乏する時には妊娠しにくくなるようだが)

    農業を基盤とする生活になり、小麦の採れ高がどんどん増えると、人口が増加し始めた。人口が増加した分、さらに小麦を作らなければならない。無限ループの罠にここからはまった。

    本来、生き物としての人間に刻み込まれている情報以外の多くの虚構にまみれて生きている、ということを思い知らされた。何が正しいのか、慎重に考える必要がある。

    下巻も楽しみ♪

  • 言語が虚構を産み、虚構が神話を産み、神話が共同生活を産み、共同生活が書物を産み、書物が帝国を産み、帝国が貨幣を産む。
    人類進化の著作は多々あれど、物理的な変化や文化の痕跡を語るにとどまるものがほとんどだが、
    本書は過去、何が起こりどう変わったのか。具体的事例を豊富に人類史を物語として語る。

    例えば『農耕生活より狩猟生活の方が楽な生活であった』というのは昨今よく聞く話だが、
    本書は具体的に農耕が100人の豊かな生活から全てを奪い、気づいたときには1000人を苦しめる生活に至る論理を語る。

    そうして人が集まるところに神話がうまれ、もしくは神話があるところに人が集まり。
    人の集まりは備えと蓄えを必要とし、もしくは備えと蓄えが可能なところに人が集まり。
    備えと蓄えは過去と未来に強く依存するという必要性から、書記体系がうまれる。
    もしくは書記体系が存在するからこそ、効率的に備え蓄えることができるようになる。
    かように原因と結果が相互に影響しあい、サピエンスの発達は猛スピードでなされてきた。

    今や国家の威光は隅々まで届き、貨幣が存在しない地域は数える程度しかない。
    合わせて進化した数々の制度は、もはやメリットとデメリットを比較するまでもなく、変えることはできても引き返すことはできない。
    人類史は始まったときから全て、贅沢品を必需品にして新たな苦楽を生じさせるということを繰り返しているにすぎない。
    だが、積み重なっているものはある。
    科学と市場経済は、この螺旋に終着点を見出すことができるのか。
    下巻に続く。

  • 本書「サピエンス全史」の上巻は、3部構成となっている。
    第1部 認知革命
    第2部 農業革命
    第3部 人類の統一     である。
    「認知革命」の章では、「虚構」が見知らぬ人同士が協力することを可能にし、それがホモ・サピエンスの繁栄を招いたとする。
    「農業革命」による農耕生活は、実際には狩猟採集社会よりも過酷な生活を人類に強いたが、それでも、トータルとしては人口の増大をもたらした。さらに「虚構」の一種類である「貨幣」の登場により、効率的な社会を築くことに成功した。
    上巻の最後の部分では、太古からの「帝国」に焦点をあてる。帝国は、他民族の支配により成立するわけであるが、人類を統一する方向に向かわせていると、筆者は主張する。「将来の帝国は、真にグローバルなものとなる。全世界に君臨するという帝国主義のビジョンが、今や実現しようとしているのだ。」とも主張している。
    以降、下巻に議論は譲られている。

    本書は大ベストセラーであり、最近では、最もよく読まれ、影響を与えた本の1つだと思う。原書の発行は2011年、日本での翻訳の発行は2016年なので、けっこう古い本だ。以前から読もうと思っていたのだが、これまで読む機会をつくれなかった。
    内容にものすごく期待して読んだが、私自身は、あまり面白い本だとは感じなかった。冗長で読みにくいとすら感じた。
    下巻になるとエキサイティングになるのかもしれない。それに期待して。

  • さすがに目からうろこの面白さ
    なるほど、合点の連続。

    目次
    第1部 認知革命
     第1章 唯一生き延びた人類種
     第2章 虚構が協力を可能にした
     第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし
     第4章 史上最も危険な種
    第2部 農業革命
     第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇
     第6章 神話による社会の拡大
     第7章 書記体系の発明
     第8章 想像上のヒエラルキーと差別
    第3部 人類の統一
     第9章 統一へ向かう世界
     第10章 最強の征服者、貨幣
     第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン
      
     

  • 印象に残っているのは、
    絶滅の話
    ホモサピエンスが生息する範囲を広げていったとき、そこでは必ず他の種の絶滅があった。それはマンモスなどの多くの絶滅動物だけの話ではなく他の人類種ネアンデルタール人、フローレシエンシスなども例外でない。ホモサピエンスによって絶滅させられた人類種や動物は二度とお目にかかれない。

    農耕の話
    人類が農耕を始めたって事は文明の起こりで、素晴らしい発展の基礎となったって認識だったが、どうもそういう見方だけじゃないらしい。要は、人類は小麦やイネ、ジャガイモに支配されてるんじゃない?って事で、穀物のせいで人類は一つ処に縛りつけられ1日の大半を世話に追われる生活になった。加えてそれまでの雑食の食事から穀物に変わった結果ビタミンやミネラルの摂取量が乏しくなったし、飢饉や菌の感染で1度に大量の犠牲を出す事にもなった。そして富めるもの、飢えるものの差も産み出した。

    人類の認知革命は虚構によってもたらされた。
    これは、なるほどなと思った。プジョーの話しとか。長くなるのでもう書くのやめます。

    読んで損なしサピエンス全史。

  • ホモ・サピエンスがなぜここまで繁栄したのかを読み解いている

    宗教だけでなく人権や平等までが「虚構」であり「虚構」のおかげで見ず知らずの人と協力し、文化は発展しホモ・サピエンスは食物連鎖の頂点に君臨したという内容。

    今まで気候変動で巨大生物(マンモスなど)が絶滅したと思っていたが、人類の移動によって絶滅したというのは初耳である。
    また進化心理学でなるほどと思った内容が否定され違う考えが記されてあったり、物事を多角的に捉える機会になった。

    人類を美化せず、生物として様々な角度から紐解いているところがおもしろい。

  •  この本は、とにかく面白い!
     ホモサピエンスとネアンデルタール人が、違う種類だと知らなかった私でも、興味深く読めました。
     ホモサピエンスは、嘘(虚構)を信じる力があったので生き延びたらしいです。
     たしかに、「仲間」や「国家」などは、みんなの頭の中にしか存在しなくて、みんなが同じように信じているから成り立っているんですよね。 
     「お金」もそうですね。
     この「嘘を信じる力」があったから、最弱生物「人間」が、恐竜などにも勝利!して「地球最強」になったそうです❗
     めちゃくちゃ面白くて、ワクワクする話ですが、、、本当に「嘘を信じる力」があったから、最強になれたのかな???
     とても知的好奇心を刺激されます(笑)

  • ホモサピエンスだけが何故、ここまで発展できたのか、3つの革命と、宗教、貨幣、帝国が
    大きな要因である事。
    また、それは全て虚構が人類の共通認識として、
    出来上がる事でより大きな集団として活動できるようになったという事。
    以上がわかりやすく説明されていてとても良かった。
    一部、人文書であるために仕方がないが
    著者の思想や、根拠に基づいているのか読み取れない部分はあるものの良書である事には違いない。

  • 人類の歴史を俯瞰して読み解こうという試みを持った「エッセイ」本。教科書風の文体ではあるがこれは教科書ではない。
    歴史の素養を身につけた方にとってはすでに知っている内容も多いかもしれないが、エッセイの視点で読むと面白い表現や鋭い視点などが散りばめられているので、価値ある本である。

  • ホモ・サピエンス、賢い人。
    とても主観的で傲慢さがある。

    人は同じ種を滅ぼし、沢山の種を絶滅に追いやってきた。昔々の更に大昔の認識から覆された。

    なんでこんなに非力なのか、大きな脳の代償も面白い。

    認知革命。
    七万年前に、虚構、フィクションを築けることで、他の種より多い集団で行動できるようになる。この能力が現在の我々の置かれている状況までの根底になる。これが特殊だなんて想像もしていなかった。

    しかも多くの虚構を信じ、そして新しいモノにアップデート出来る。国に属し、会社に属する。一致団結して同じ活動が出来る。

    農業革命。
    一万年前にいつくかの動植物の生命操作を行うようになる。ただ、これは幸せであったかは定かではない、人口爆発、格差の拡大、戦争、偏った栄養、不衛生。小麦の奴隷になったは、面白い。

    統一へ向かう世界。
    貨幣の誕生、一神教で、多様性から大きな意味での統一へ舵が切られる。100人レベルから地球全体の話で虚構を信じている。そしてイデオロギーを信じ、征服や侵略があっても、状況によって良いと判断したものを取り入れて行く。

    そして現在の社会はグローバルに完全な独立はなく、駆け引きはあっても相互にチェックしあう。ネットワーク型のより複雑な社会に思える。いわばブロッチェーンのよう。暴走は許されず、皆がオッケーと言わなければならない。

    なんか凄い。

  • Audible Studiosにて「聞く読書」。

    ウオーキングしながら、そして夜寝る前に聞き通した10時間の素晴らしい読書体験だった。

    品格あふれる和村康市氏の朗読に導かれ「読破」することができた。

    我々人類「サピエンス」の壮大な歴史を、ありとあらゆる視点を駆使しながら語り尽くす。

    エルサレムのヘブライ大学で歴史学の教鞭を執る筆者の多彩な論説のグイグイ引き込まれていく。

    「サバンナの負け犬だったわれわれサピエンスが今の繁栄を築いたのは妄想力のおかげ」

    「認知革命」が神話を生み、サピエンスは集団行動が可能になる。

    農業と神話による社会の発展。

    そして、最強の征服者「貨幣」。

    その先端を進んだ「帝国」のメカニズム。

    征服者の言葉と文化で生きていく民衆。

    正義と悪。
    支配者と非支配者といった単純な二元論では、歴史の分析もできないし、未来への道標も見えてこない。

    世界には、知ってるつもりで知らないことばかりだと改めて気がつく。

    命つき果てるその瞬間まで、学び続けるのが「サピエンス」の在り方だ。

  • 憲法、宗教、道徳、その他いろいろな取り決め。そんな
    フィクションを発明したことがサピエンスの現在を作っている。我々はフィクションによって成り立っているノンフィクションの世界を生きているのですね。

  • ユヴァル・ノア・ハラリによる人類の歴史に関する野心的な再解釈の本。
    上下巻の上巻。

    とても面白かった。
    種としての黎明期の人類に関する考察がとても印象に残った。
    集団で生きるということと、現代の個人主義との関係について色々考えさせられた。

  • ホモ・サピエンスが誕生して、ネアンデルタールやその他動物をも淘汰し、農耕をはじめて狩猟生活よりも過酷になり、さらには統一へ。その先に貨幣制度が生まれる。これらは全て「虚構」にあり、わたしたちvs.彼らとして生きてきた道のりがある。
    上編を読んだ現時点では地球にとっての悪者でしかない。
    267冊目読了。

  • 【感想】
    正直、読んでいてあまり興味が湧かなかった・・・
    歴史には興味があるが、人類史となると、どうしても仮説先行になるので信憑性が薄く感じてしまい、そこまで興味を持てない。

    あと、(こう言っては元も子もないが・・・)長くて読むのに抵抗感を感じた。
    自分のあまり興味の湧かない分野の長編物語は、読んでいて地獄だ。

    不確定要素の多い人類史ではなく、歴史モノを読んでいこう!


    【引用】
    p22
    女性はさらに代償が大きかった。
    直立歩行をするには腰回りを細める必要があったので、産道が狭まった。

    赤ん坊の脳と頭が比較的小さく柔軟な、早い段階で出産する女性が生き残る。
    他の動物と比べて人間は、生命の維持に必要なシステムの多くが未発達、未熟な段階で生まれる。
    これが馬や猫などとの大きな違い。

    この事実が人類の社会的能力と独特な社会的問題の両方をもたらす大きな要因となった。


    p45
    プジョー(会社)は私たちの集合的想像が生み出した虚構だ。
    物理的世界とは本質的に結びついていない。
    法律家はこれを「法的虚構」と呼ぶ。
    法的な主体=法人としては確かに存在するが、有形の存在ではない。


    p70
    石器時代は確かに平均寿命は短かったが、それはあくまで生まれてすぐに亡くなる子どもが多かったから。
    80代まで生きる人も少ないわけではなかった。


    p100
    ・農業革命
    食糧の総和は確かに増やす事ができたが、より良い生活には結びつかなかった。
    平均的な農耕民は平均的な狩猟採集民よりも苦労しているのに、見返りに得られる食べ物は劣っていた。
    階層なども生まれるなど、農業革命は史上最大の詐欺だったのだ。

    この革命で人類は繁栄と進歩への道を歩み出したと主張する者もいれば、地獄行きにつながったと言い張る人もいる。

  • ようやく読みました。

    現在の研究では「ヒト」は太古からの進化の過程で
    6種に枝分かれしていました。

    しかしその中の現生人類=ホモサピエンスだけが、
    生き残り、現在地球上の王者として君臨しています。

    なぜホモサピエンスだけが繁栄することができたの
    か。

    その理由が本書では明確に示されています。

    最初のキーワードは「認知革命」です。

    現代にも神話や宗教に関わる物語が残されている通
    り、ヒトは概念を共有することができます。

    これはよく言われる人間と動物の「思考能力」の違
    いとするよりも、もっとシンプルで本質的な回答に
    なっています。

    貨幣も一つの認知です。「これだけの価値があるよ」
    と皆が認知しているからこそ貨幣経済が成り立つの
    です。

    次のポイントは「農業革命」です。

    実は麦という種が人間を操り、世界中に栽培させて
    という解釈がされています。

    「私たちを育てれば飢えることはないですよ」とい
    う脅迫観念の元に、人類は農耕を始めたというので
    す。

    そして3つ目は「化学革命」

    現代ではテクノロジーの進化と捉えられますが、こ
    レは直近500年くらいで劇的な進化を遂げています。

    そして現代の人類の立ち位置を予見した人は過去に
    誰もいなっかたのと同様に、今後のヒトの未来の行
    く末の可能性を示しています。

    この内容が衝撃的です。

    過去を振り返ると共に、予言の書となりうる一冊で
    す。

  • 【総評】
    ・人類史という壮大なテーマを解像度高く描く大作だが、内容の骨太さに比して読みやすいと感じた
    ・ゴリッゴリの教養本カテゴリながら、楽しみながら読めた。ただ、冒頭の「ホモなんちゃら」が続くパートは少ししんどかった。途中から面白くなる。
    ※肝心なところは「分からない」との記載が多いが、消化不良感はない


    【自分的要約】
    1.認知革命
    ・ホモサピエンスが他の人類や動物に勝って地球を支配できたのは「超大人数で協力できる能力」ゆえ
    →その源泉は「虚構(共同幻想・神話)」
    ※根源的には「言葉」の存在がカギ
    →「神話」を変えることで、あっという間に現実を変えられる点も強み(例:フランス革命)。他の動物と違い、DNAに規定されない認識、行動ができる

    ・それを可能にしたのが「認知革命」。アダムとイブが「知恵の実」を食べた的な、突然変異的な出来事。何が原因で起きたかとかは著者も知らん。突然変異的なものとしか。そらそうだ。

    ・人間は生物種において最悪のシリアルキラー。人類ゆくところ、大型生物中心に絶滅の嵐

    -------
    2.農業革命
    ・「農耕の開始」の最大のメリットは、養える人口を飛躍的に増やして人口爆発を支えたこと
    →1番の認知革命による超大人数coop能力との掛け算で人類クソつよ状態へ。余剰食料が「食べ物を取らなくて良い人」を生み、後々の学問・科学の発展などにも役立った

    ・学校だと農耕開始のデメリットは「貧富の差が生まれた」「戦争が生まれた」くらいしか教わらないが、そんなもんじゃない。
    →「定住、家畜との同居による感染症の増加」「人口増加で旱魃など不作時のリスク増大(カロリーのポートフォリオが一極集中)」「栄養偏る」「終わらない労働」「戦争に負けても逃げると生きていけないから、戦わざるを得ない」「未来を思い悩む癖」など
    →サピエンスという種としては個体数が増えて大勝利だが、一人一人の人生の質は下がった。
    ※牛や鶏などの家畜も同様の構図

    (引用)数人の腹を満たし、少しばかりの安心を得ることを主眼とする些細な一連の決定が累積効果を発揮し、古代の狩猟採集民は焼け付くような日差しの下で桶に水を入れて日々を過ごす羽目になったのだ。
    → サピエンスが小麦を家畜化したのでなく、小麦がサピエンスを家畜化した。

    -------
    3.ヒエラルキー
    ・時の為政者や権力者は自分の立場を安泰にするため、ヒエラルキーを作りだす。恣意的なものではなく、神話や自然科学に由来するものだと捏造しアピールする。

    ・ヒエラルキーは、最初は偶然の出来事から始まるが、自己強化のメカニズムを含んでいることから、偶然の歴史的状況が、硬直化した社会制度に変化する

    ・男性が女性に比べて常に社会的に優位に立ってきた理由は色々考えられるが、結局分からない
    ※潔いがここはもう少し踏み込んで欲しかった

    -------
    4.人類史において普遍的な秩序をもたらした3つのもの
    →貨幣、帝国、宗教

    〈貨幣〉
    最も優れた相互信頼の制度。どんな文化の間の溝も埋める。見ず知らずの人同士でも、効果的に協力できる。
    ※貨幣論については個人的に特段新しい気づきはなかった

    〈帝国〉
    定義:
    ①アイデンティティと領土を持った別個の民族を支配している
    ②変更可能な境界と無尽の欲(膨張)

    ・帝国は殺戮や重税の歴史事実と結びつきやすく、絶対悪と見做されがちだが、それは一面的な見方。帝国主義が様々なローカル文化の坩堝として人類の発展にプラスの影響をもたらした点は認識すべき。

    〈帝国のプラスな側面〉
    ①莫大な利益と繁栄が、文化的業績のベースとなった
    ②統治のための標準化が、副次的に思想や人々、財、テクノロジーの伝播を促進した
    (事実、元植民地の国々は、西洋の帝国文化がもたらした人権や自決の原理、資本主義などの要素を受け入れつつ、自国風にアレンジすることで今日の姿に至る)

    ※純粋な文化などというものは遠い昔に地球上から消え失せている

    凄いところで上巻終わり。下巻も楽しみだ。

  • 間違いなく最高の一冊です。
    目を背けたくなるような内容もありましたが、我々ホモ・サピエンスがどのようにして生態系の頂点に上り詰めたのか、また、人類がこれだけ多くの集団として機能しているのは何故か、、
    興味深かった部分を挙げればキリがないですが、とにかく分かりやすく楽しく読めました。
    下巻も楽しみ!!

  • 読みどころの多い本です。序盤こそ、さまざまな研究を寄せ集めただけなのではないか? と舐めてかかっていました。ですが、寄せ集めにしてはその量は膨大でしたしそのすべてを十分に咀嚼して自分のものとしたうえで執筆しているのがわかるくらい中身があり読みやすい文章なのでした。

    人類学や考古学や経済学やいろいろな学問分野を横断的に、そしてコンセプトに合わせてくっつけたものを掘り進んでいくかのような読まされ方をする感じです。様々な知見の集め方がまるでAIみたいだし、多くの知見の咀嚼力も本当に強力でそれらがシームレスに構成材料になっています。その集められた知見の量が量だけなこともあって、それらを繋ぐ糸がどう張り巡らされているかを著者が見ていくことで、読者が目にすることになる「今まで見たことのない図形」。そしてこの図形には隠れた本質が宿っているのをやがて知れるのです。

    「歴史の数少ない鉄則の一つに、贅沢品は必需品となり、新たな義務を生じさせる、というものがある」に深く肯きました。全自動洗濯機に冷蔵庫、パソコン、掃除機……、それらがなかった時代の身体的な仕事量と今の仕事量を比べたとしたらどうなんでしょう。家電化して浮くはずの時間が、あらたなコトに消費させられていきます。人はぼーっとしてはいられないんですよね。強迫観念的に、more…more…more……と時間と労力をつぎ込んでいく。浮いた時間でする遊びにだって、流行やらなにやらに強制される義務的な行動としての側面があるような気がしてきます。

    また、矛盾や認知的不協和が文化の推進力になるっていうような話にはなるほどなと思いました。極端に針を振るんじゃなく、その間を揺れ動くことがエネルギーに。これは個人の場合でも似ていると思います。極端な場所に安住しては推進力は得られないという知見は、僕の考え方とも一致するんです。漫画『ドラゴンボール』でなぞらえるなら、矛盾や認知的不協和は、いわば「超神水」なんですよ。

  • やっぱり私小説が好きだわ、、、
    調子に乗って手を出したけど難しすぎた。身の丈にあってない、、
    最後の方が面白い感じだったけど、最初真剣に読みすぎて集中力切れちゃった。。。
    もっと簡単に要約してるやつ読む

  • 「歴史に興味が全くない自分でも夢中になって読めた1冊」

    本書は、歴史に興味がない自分にとってはどの項目も「そのように今につながっているんだ!」という知的好奇心を揺さぶる発見が盛りだくさんでとても興味深かったです。

    きっかけは、ホリエモンさんの著書でおすすめされていたことでした。
    読んでみて、「人類の歴史を学ぶことは、人類がどう虚構を運用してきたかを学ぶことに近い」と感じました。

    特に、人間の次に繁栄した動物、「牛」についての記述は、人間の利益のためにどうしても牛の「動物」としての尊厳を無視しなければならない、そもそも、牛だから「尊厳」があるのか・・ということを考えさせられ、胸が痛くなりました。
    つまり、人間の想像の中では、牛に「尊厳」があるとは簡単に想像できます。
    しかし、牛は人間に意志を伝える言語をもっていないので、「牛にも尊厳を!」と主張するのは、人間の虚構の範囲を出ないのではと考えました。
    また、主張したところで世界の全ての牛が自然に返されるわけがないこと、家畜が野生に戻れるのか疑問であることが容易に想像できました。
    牛は、ホモ・サピエンスが生きるために長い歴史の中で飼われてきた結果、家畜以外の生き方を失ってしまったかもしれないと感じました。

    多くの人が財産だと思っているものは、人間の想像力から作られた虚構が多いことを知ることができ、虚構という視点から世の中を見ることができるようになった点でこの本に出会えてよかったと感じました。
    (世の中には虚構が多すぎて、呆然としそうになりますが)

    学校での歴史は「○年 △が□した」というように、それが現在のどのような状況につながるが見えてこないがゆえに無機質な暗記科目のようなイメージが私にはついていました。
    でも、そうではない、「ホモ・サピエンスの今まで続く物語」としてのノンフィクション的捉え方があるのだということを本書では気がつくことができました。

  • 夏休みの宿題のつもりで上下巻をチャレンジ
    文章としては難解ではありませんが、理解が進まず、読み切るのに時間がかかってしまった!
    かなり疲れた!!

    目からうろこの内容が多く、自分の認識と違うところが新鮮でした。
    帯のコメント「人類史の常識をくつがえす!」はその通りでした。

    そもそも、本書はいわゆる世界史なのかと思って読み始めたのですが、そこからボタンがかけ違っている(笑)
    いつ何が起きたという歴史の解説本ではなく、生物学、社会学的検知から人類史を掘り下げています。

    本書では、人類が文明を築けた鍵として、
    認知革命
    農業革命
    科学革命
    を上げて、説明しています。

    上巻では、「認知革命」、「農業革命」、そして、「人類の統一」について語られています。

    まずは、「認知革命」
    我々人類が文明を築けた鍵は「虚構」にある
    自分達が信じているモノ全てが「虚構」
    国家、国民、企業、法律、人権、平等、は虚構
    しかし、この虚構が見知らぬ人同士の協力を可能にしてきた!
    とのこと
    これは、驚き。
    脳が大きいとか、道具が使えるとかいう事ではなく、抽象的な事業が扱える「虚構」が一番のポイントとなっています。
    さらにこの時代から、今の人類は、ネアンデルタール人を含めた生物を含めた生態系の変化をひきおこしていることを語っています。

    そして「農業革命」
    農耕社会は狩猟採集社会よりも過酷な生活を人類に強いたということで、史上最大の詐欺と言っています!
    農耕社会は私達に幸福ではなく、不幸をもたらしたと言っています。
    では、なぜ、農耕社会に変わっていったかと言えば、それはDNA
    生物学的な観点からいえば、他の生物同様、種をふやすことが目的。
    なので人間の幸福ではなく、種を増やすことが目的とのこと。うーん、納得。
    ホモサピエンスが小麦、稲、ジャガイモに家畜化された
    とのコメントが衝撃的な発言です

    そして農耕社会が移動生活から定住生活に移行し、政治や社会体制の土台になっていきます。

    上巻の最後「人類の統一」
    全世界を支配する普遍的な秩序として、「貨幣」「帝国」「宗教」について述べられています
    特に貨幣については最強の征服者として語られています。
    さらに、これまで考案されたもののうちで、貨幣は最も普遍的で、最も効率的な相互信頼の精度と定義しています。
    貨幣と宗教の違いとして、宗教は特定のモノを信じる様に求めるが、貨幣は他の人々が特定の物をを信じていることを信じるように求める
    確かに、お金そのものには実態がないのに私たちは信じています。

    そして帝国
    文化的アイデンティティと独自の領土をもった、いくつもの別個の民族を支配していること
    変更可能な協会と潜在的に無人の欲
    を特徴とするモノと定義しています

    この後の展開でも、帝国は重要な位置を占めて語られていきます。

    っということで下巻の方のレビューに続く!

  • 人類の歴史について体系的に学ぶことができる。読み易く、楽しんで読むことができた。人が繁栄できた理由として、虚構、神話、物語等により協力体制を築くことができたことが説明されていたことが印象深かった。

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著者プロフィール

歴史学者、哲学者。1976年イスラエル生まれ。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻し博士号を取得。現在、ヘブライ大学で歴史学を教授。『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21 Lessons』。

「2020年 『「サピエンス全史」「ホモ・デウス」期間限定特装セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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