サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

  • 河出書房新社
4.29
  • (1277)
  • (943)
  • (348)
  • (56)
  • (16)
本棚登録 : 15199
感想 : 917
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309226712

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み


  • これまた喉から手が出るほど?読みたかった本
    さっと読んではもったいないのだが、先が気になり駆け足してしまった
    なので再度イチからしっかり読み込んでみた

    なぜホモサピエンスが生態系の頂点に立って威張っているか(笑)、なぜこのような世界に生きているか…それを解き明かそうとする人類史

    我々サピエンスは、架空の物事について語ったり、信じることができる
    もちろんほとんどの動物は何らかの意思疎通がはかれるのだがホモサピエンスだけの特徴として…
    ・噂話ができる、存在しないものについても情報を伝える能力
    〜誰と誰が仲が悪い…なんて野良猫の集会では話さない
    ・さらに大きな集団での協力は「共通の神話」を信じること(宗教、国民、国家、お金、人権、法律、法人など)ができる
    〜要は目に見えない実態が曖昧なものだ
    キリスト教の猿なんていないしお金を持つ馬もいない
    ・遺伝子や環境の変化なしで行動を変えられる
    〜会社の後継者は、自分の子孫じゃなくても成り立つ

    このような社会的協力が生存と繁殖のカギになり、発展していった

    農業革命が起き、余剰食糧+輸送技術=都市への密集 という展開に
    これにより大規模な協力のネットワークの構築が必要となる
    想像上の秩序や神話を共有化を利用
    これらを信じさせるために偉大な神々あるいは自然の法則によって生み出された客観的実態と主張する
    生活スタイル…例)個人主義であれば、プライベート空間や独立した子ども部屋を設けることで認識
    消費主義…幸せになるためにはできる限り多くの製品やサービスを消費しなくてはならない
    など
    また想像上の秩序は共同主観的であるため、一個人が信念を変えても、死んでも影響はない
    例えば自分1人がアメリカという国家の存在を否定しても何の影響もない
    これを変えるには、これに代わるより強力な想像上の秩序(政党、イデオロギーに基づく運動、カルト宗教など)が必要になる
    すなわち想像上の秩序から逃れる方法は無い!のである

    そしてこの想像上の秩序は、ヒエラルキーを成す架空の集団に分けられた
    あらゆるヒエラルキーは人類の想像力の産物であるのだが、まんまと差別という罠にどっぷりはまる
    カースト制、奴隷制、男女の格差などが当てはまる

    そして人類は、史上最強の征服者「貨幣」によって国家間のボーダレス化が進み、良くも悪くも帝国主義を経て統一へと向かう…

    著者は「認知革命」により歴史が始動し、「農業革命」により歴史の流れが加速、そして「科学革命」により歴史に終止符を打ちまったく異なる展開を引き起こす可能性があるとしている
    下巻はこの恐ろしげな「科学革命」が中心となる


    歴史のお勉強で最初のアウストラロピテクス、ネアンデルタール人…
    メソポタミア文明、ハンムラビ法典…
    この辺りってつまんないなぁ〜ってずっと思っていた
    が、この本を読むとあ〜ら不思議!
    面白いでは無いか!
    ちょっと角度を変えて、背景を上手に付け足して下さると急に歴史に息吹が…、色が…(笑)
    上巻は端的に言うと、「なぜホモサピエンスがピラミッドの頂点に君臨したか」
    なんだけど、サピエンス誕生から様々な例やユーモアを加え丁寧に歴史が描かれている
    これがたまらなく人々の知的好奇心と我々のルーツや神秘性をかき立てられるのである
    ハラリ氏の脳内の凄さをゾクゾクと感じることができる

    反面、サピエンスは想像上の秩序や虚構に取り憑かれ、振り回され、逃れられない
    もう二度と元に戻る事はできない
    多くの得たものと失ったもの…
    考えさせられることが多々ある

    下巻の展開がとても楽しみだ


    ◎キリがないがどうしてもの備忘録◎

    ・「種」とは繁殖力のある子孫を残す者同士が同じ種となる
    例)
     馬とロバ…このラバーに繁殖能力なし(別の種)
     ブルドックとスパニエル…(同じ種‼︎ 見た目ではない)
    ・火を使い調理が可能になったことで消化時間が短縮し腸が短くなった そのため大量のエネルギーを巨大な脳に集中できるように
    ・ホモサピエンスはあらゆる生物のうちで最も多くの動植物種を絶滅に追い込んだ
    生態系の連続殺人犯である
    ■狩猟採集民の豊かな暮らし
    ・労働(資料)時間は短く、家事もない豊かな暮らしを送っていた
    ・必要な栄養素も確実に手に入れられ健康であった
    ・家畜などから感染するであろう感染症も少なかった
    ■農業革命がもたらした悲劇
    ・労働時間が長く自由な時間が激減
    ・重労働によるヘルニア、関節炎などの疾患
    ・畑のそばに定住化し移動の自由がなくなる
    ・栄養面の低下
    ・少ない種の栽培により、自然災害が起こると生命存続の危機にひんした
    ・家、畑、家畜守るものが増え部族間の暴力が多発
    ・出生率の増加により食糧への依存増
    ・より良い暮らしを求めてがむしゃらに働くが、楽にならないという現代社会と同じ悪循環に陥った
    ・その日暮らしで多くの心配事が免れた狩猟採集民に比べ農耕民は生産及び消費する以上に蓄えを残すようにするため、未来に対する不安が常につきまとうように
    ・革命の犠牲者たちは家畜化、牧草化された動物たち(オスの去勢はもちろん肉体的、精神的な虐待による残酷な方法が紹介されていた)
    ・余剰食料によって暮らすのは支配者であるエリート層(歴史書に名を残す人物たち)
    ・最初期の文書は退屈な実用文書
    古代シュメール人が2種類の記号を組み合わせ多くのデータを粘土版に刻んでいた
    このように文字が生まれ、コンピューター処理の二進法「0」「1」が生まれた
    そしていよいよ人工知能は二進法の書記体系に基づいた新しい種類の知能を生み出そうとしている(ターミネーター、マトリックス)
    ・想像上のヒエラルキー
    生物的区別はほとんどないのに、神のせいにし様々な差別が生まれる
    なぜこのような差別が生み出されたのかを歴史的な出来事や事情、力関係を学ぶしかない
    ・差別の悪循環
     a.黒人は能力が低く穢れている
     b.この偏見が定着
     c.ホワイトカラーの職に就けない
     d.ホワイトカラーの職に就けない黒人の多さ
     e.黒人が劣っていることの証拠
    ・貨幣のおかげで見知らぬ人同士の交易が展開し経済関連のネットワークがグローバル化、しかしながら、人の価値や親密な関係を損なう代償も多々
    ・帝国主義の大多数は権力維持のため、迫害と戦争を繰り返した「悪」とされるが、今日の文化の大半は帝国主義の遺産 完全拒否はもはや不可能

    • やまさん
      ハイジさん♪こんにちは。
      コメント♪有難う御座います。
      私も、この雑誌を見て、最初に載っているのは「なすのキムチ炒め」ですが、さっぱりし...
      ハイジさん♪こんにちは。
      コメント♪有難う御座います。
      私も、この雑誌を見て、最初に載っているのは「なすのキムチ炒め」ですが、さっぱりしたものと、私なりに簡単なものを探しました。
      そうすると、ハイジさん♪と同じく1番が出汁浸し、2番が焼きナス、3番がなすの味噌炒めでした。
      それと、キュウリを買って来ると1本か、2本は、傷めて捨てています。
      この雑誌には「凍らせキュウリもすごい」として「きゅうりとわかめのきんぴら」が少し書いて有ります。キュウリを買ってきて、すぐ使わないものは冷凍していいのだったらと思っていたので、これを試してみようと思っています。

      「きゅうりとわかめのきんぴら」
      心地よい歯触りを残しながらも、程よくしんなり。
      夏らしく爽やかな味のきんぴらは、冷たい麺類のお供にも。
      2020/05/04
    • やまさん
      ハイジさん♪こんにちは。
      ご存じと思いますが、参考までに…。
      この雑誌には、以下のように材料は書いています。

      材料(つくりやすい分...
      ハイジさん♪こんにちは。
      ご存じと思いますが、参考までに…。
      この雑誌には、以下のように材料は書いています。

      材料(つくりやすい分量)
      なす8個(640g)
      A
       だし カップ2
       みりん 大さじ2
       しょうゆ 大さじ1
       塩 小さじ1/2
      みょうが・青じそ(各せん切り) 各適量
      [常備品]塩
      保存:冷蔵庫で5日間
      2020/05/04
  • 印象に残っているのは、
    絶滅の話
    ホモサピエンスが生息する範囲を広げていったとき、そこでは必ず他の種の絶滅があった。それはマンモスなどの多くの絶滅動物だけの話ではなく他の人類種ネアンデルタール人、フローレシエンシスなども例外でない。ホモサピエンスによって絶滅させられた人類種や動物は二度とお目にかかれない。

    農耕の話
    人類が農耕を始めたって事は文明の起こりで、素晴らしい発展の基礎となったって認識だったが、どうもそういう見方だけじゃないらしい。要は、人類は小麦やイネ、ジャガイモに支配されてるんじゃない?って事で、穀物のせいで人類は一つ処に縛りつけられ1日の大半を世話に追われる生活になった。加えてそれまでの雑食の食事から穀物に変わった結果ビタミンやミネラルの摂取量が乏しくなったし、飢饉や菌の感染で1度に大量の犠牲を出す事にもなった。そして富めるもの、飢えるものの差も産み出した。

    人類の認知革命は虚構によってもたらされた。
    これは、なるほどなと思った。プジョーの話しとか。長くなるのでもう書くのやめます。

    読んで損なしサピエンス全史。

  • ホモ・サピエンスがなぜここまで繁栄したのかを読み解いている

    宗教だけでなく人権や平等までが「虚構」であり「虚構」のおかげで見ず知らずの人と協力し、文化は発展しホモ・サピエンスは食物連鎖の頂点に君臨したという内容。

    今まで気候変動で巨大生物(マンモスなど)が絶滅したと思っていたが、人類の移動によって絶滅したというのは初耳である。
    また進化心理学でなるほどと思った内容が否定され違う考えが記されてあったり、物事を多角的に捉える機会になった。

    人類を美化せず、生物として様々な角度から紐解いているところがおもしろい。

  • 人類の歴史を俯瞰して読み解こうという試みを持った「エッセイ」本。教科書風の文体ではあるがこれは教科書ではない。
    歴史の素養を身につけた方にとってはすでに知っている内容も多いかもしれないが、エッセイの視点で読むと面白い表現や鋭い視点などが散りばめられているので、価値ある本である。

  • 憲法、宗教、道徳、その他いろいろな取り決め。そんな
    フィクションを発明したことがサピエンスの現在を作っている。我々はフィクションによって成り立っているノンフィクションの世界を生きているのですね。

  • 夏休みの宿題のつもりで上下巻をチャレンジ
    文章としては難解ではありませんが、理解が進まず、読み切るのに時間がかかってしまった!
    かなり疲れた!!

    目からうろこの内容が多く、自分の認識と違うところが新鮮でした。
    帯のコメント「人類史の常識をくつがえす!」はその通りでした。

    そもそも、本書はいわゆる世界史なのかと思って読み始めたのですが、そこからボタンがかけ違っている(笑)
    いつ何が起きたという歴史の解説本ではなく、生物学、社会学的検知から人類史を掘り下げています。

    本書では、人類が文明を築けた鍵として、
    認知革命
    農業革命
    科学革命
    を上げて、説明しています。

    上巻では、「認知革命」、「農業革命」、そして、「人類の統一」について語られています。

    まずは、「認知革命」
    我々人類が文明を築けた鍵は「虚構」にある
    自分達が信じているモノ全てが「虚構」
    国家、国民、企業、法律、人権、平等、は虚構
    しかし、この虚構が見知らぬ人同士の協力を可能にしてきた!
    とのこと
    これは、驚き。
    脳が大きいとか、道具が使えるとかいう事ではなく、抽象的な事業が扱える「虚構」が一番のポイントとなっています。
    さらにこの時代から、今の人類は、ネアンデルタール人を含めた生物を含めた生態系の変化をひきおこしていることを語っています。

    そして「農業革命」
    農耕社会は狩猟採集社会よりも過酷な生活を人類に強いたということで、史上最大の詐欺と言っています!
    農耕社会は私達に幸福ではなく、不幸をもたらしたと言っています。
    では、なぜ、農耕社会に変わっていったかと言えば、それはDNA
    生物学的な観点からいえば、他の生物同様、種をふやすことが目的。
    なので人間の幸福ではなく、種を増やすことが目的とのこと。うーん、納得。
    ホモサピエンスが小麦、稲、ジャガイモに家畜化された
    とのコメントが衝撃的な発言です

    そして農耕社会が移動生活から定住生活に移行し、政治や社会体制の土台になっていきます。

    上巻の最後「人類の統一」
    全世界を支配する普遍的な秩序として、「貨幣」「帝国」「宗教」について述べられています
    特に貨幣については最強の征服者として語られています。
    さらに、これまで考案されたもののうちで、貨幣は最も普遍的で、最も効率的な相互信頼の精度と定義しています。
    貨幣と宗教の違いとして、宗教は特定のモノを信じる様に求めるが、貨幣は他の人々が特定の物をを信じていることを信じるように求める
    確かに、お金そのものには実態がないのに私たちは信じています。

    そして帝国
    文化的アイデンティティと独自の領土をもった、いくつもの別個の民族を支配していること
    変更可能な協会と潜在的に無人の欲
    を特徴とするモノと定義しています

    この後の展開でも、帝国は重要な位置を占めて語られていきます。

    っということで下巻の方のレビューに続く!

  • 人類の歴史について体系的に学ぶことができる。読み易く、楽しんで読むことができた。人が繁栄できた理由として、虚構、神話、物語等により協力体制を築くことができたことが説明されていたことが印象深かった。

  • 「ジェノサイド」を読んで、
    読むなら今しかない!と積読から手に取りました。
    2016年購入した当時の私は、読み切れないと思ったのか、上巻だけしかありませんでした。笑

    どのレビューを読んでも絶賛、絶賛なのですが。
    そして、前職の社長もこの本を良かったと言っていた(前職場は毎年、感動した本とかみんなの前で発表する文化でした。苦笑)ので、気になっていたのです。

    ホモサピエンスがどのように広がり増えていったのか。
    ネアンデルタール人を滅ぼせたのか。
    認知革命、農業革命、科学革命。
    貨幣、帝国、宗教。

    なるほど、と思うことも多いのですが、
    前半は心が折れかけました。苦笑

    人類が誕生して、広がる最中、
    たくさんの動植物たちを絶滅に追い込んだと。
    理解はするし、受け入れもするんですが、
    著者(訳者?)の語り口がとても厭世的というか、嫌味というか、ネガティブというか。苦笑
    読んでいて「この人、人間が嫌いなのかな?」と思うことが多々。
    そして最後は、あくまで解釈だから本当のことはわからないけどね、みたいに終わる。

    いや、確かにそうだし!!わかっとるけど!!
    何千年も前のことを化石とか残ってるものとかで推測してっていうのはわかるけど!!

    「ジェノサイド」読んだ直後だったので、
    私も人間不信、人間嫌いになりかけていて、
    まじで地球上で邪魔なの人間じゃん、となりました。
    この本の前半を読んで、さらに。苦笑
    宗教、帝国あたりは…頷けることも多いです。

    全ては読解力含め、私の至らなさです。苦笑
    絶賛とあったけど、まあまあ著者の個性が強い気がして、
    途中落ち込みました。苦笑

    ここまで読んだら下巻も読むしかない(辛い)と思い、読み始めてます。
    相性なのか、この本だけなのか、私の頭がポンコツなのか。
    下巻を読み切ったら、改めてほかの方のレビューを読んでみようと思います。(読むの時間かかりそう。泣)

  • 課題図書で読んだけど、一章目から鳥肌が立つほど面白かった!

    私たちの行動は、なにを目的にしてるんだろう。何がゴールだろう?と問いかけていたけど、誰も正解はわからない。それに今考えても、きっと贅沢を経験してしまった私たちはもう狩猟採集社会の暮らしには戻れないだろう。

    けれど、今の私たちの行動ひとつひとつが他の種を滅ぼしていること、地球を破壊していること、そして自分たちの首をしめることに繋がっていることを知っておくことが、今後人間として生きる上で大事だと感じた。

  •  人類史に触れるために読んでみたが、人類の進化について様々な可能性を読者に想像させる一冊だった。
     
     虚構がなぜ生み出されたのか。それにより、詳細な目的を共有した集団意識生まれた。
     また、男女間の格差ひとつとってみても、世界のどの場所でも同じように起こっているが、その理由については明らかになっていない。

     本書は、決して断定することなく、あらゆる角度から疑問点について追及している。革命ごとのつながりが明らかにるので、より興味を引き付けられる。
     また、つながりを明らかにすることは、歴史だけでなく現代の私たちにも十分通じるところがあると思う。

著者プロフィール

歴史学者、哲学者。1976年イスラエル生まれ。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻し博士号を取得。現在、ヘブライ大学で歴史学を教授。『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21 Lessons』。

「2020年 『「サピエンス全史」「ホモ・デウス」期間限定特装セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ユヴァル・ノア・ハラリの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヴィクトール・E...
佐々木 圭一
佐藤 優
ニック・レーン
エラ・フランシス...
スティーブン・ピ...
ジェイコブ ソー...
J・モーティマー...
ジャレド・ダイア...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×