明治メディア考

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  • 河出書房新社 (2008年12月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309244600

明治メディア考の感想・レビュー・書評

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  •  1930年生まれの社会学者と1932年生まれの文学・文化史研究者による伝説の対談集。1980年に中央公論社から刊行された本の復刊だが、初出がエッソ石油のPR誌だったことを知り、少々驚く。全篇を貫く「日本人論」ふうのエッセンスは、そうした媒体との関わりにもよるのだろう。

     改めて読んでみると、研究者としての前田愛は〈19世紀〉の人だったんだなあ、と実感させられる。文字のコミュニケーションと口話的なコミュニケーションのズレや輻輳、葛藤の状況を手がかりに、日本における〈19世紀〉を単なる〈近代化〉とは異なる位相において把握していく。加藤と前田は、日本における〈近代〉は事物への驚きから始まった、と言っているが、その立場は、「和魂洋才」のバリエーションのようでいて、その実、非=西洋圏における〈近代〉との出会いの一般性と差異性を考える重要な視点にもなると思う。まずモノとして何が輸入され、何が国産化=国内化されたか。そのモノを買いこむために、何が輸出可能なモノと見なされたのか。同じことを朝鮮で問うてみたら――、とさまざまに問いは膨らんでいく。

     日本のアカデミズムでは、歴史も文学も、「江戸時代」と「明治時代以降」は截然と分かれてしまっていて、「19世紀」をトータルに把握できる論者がきわめて少ない、という印象がある。前田愛の仕事をほんとうの意味で継承することは、もう不可能になってしまったのだろうか。

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