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足ふみ留めて---アナレクタⅠ (アナレクタ 1)

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著者 : 佐々木中
  • 河出書房新社 (2011年3月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309245454

足ふみ留めて---アナレクタⅠ (アナレクタ 1)の感想・レビュー・書評

  • 哲学者・佐々木中氏による講演録や短めの論考を収録した本です。この「アナレクタ」シリーズはこれまで4冊出版されていますが、わたしはこの第1作目がいちばん気に入っている、というかこの本に強い影響を受けています。

    著者は某カルチャーセンターにて長期にわたって講義をもたれています。わたしも一時期、「わかろうと思わないラカン」という連続講義に出席しておりました。平日の夜、仕事が終わった後に新宿まで出かけていくのは実につかれるものなのですが、著者の講義によってものすごいカタルシスのようなものを受け、生きることへの意欲が満ち溢れて帰路についていたことを思い出します。

    本書には、その「わかろうと思わない」宣言がなされた講演録が収録されています。

    "わかってどうするのですか。こうした知と情報をめぐる搾取と恐怖の構造に具体的に抵抗しなくてはならない。たとえ無知を誹られようが、必要ならば自覚的に無知を選び取らなければならないのです。それは政治的な抵抗そのものでもあるはずです"(P.13)

    "でも、それでやっていくしかない。だって、多様な可能性を諦められますか。この統治の仕方が唯一で、もうこれからは別の生や別の可能性はなくなりましたと言って、何もかもを投げ出せますか。それは歴史的事実からして無理なのです"(P.89)

    理由もなくげんなりする毎日、なんともいえないポスト・フェストゥム感ただよう生活のなかで、それでも安易な方向に流されない、逃げない人たちへのエール。勝手な読み込みと言えばそれまでですが、わたしは本書をそういう本として受け止めています。落ち込んだときでなければ近づけない、そういう深遠な真実を覗かせてくれる、素晴らしい一冊です。

  • 読みやすい文章、読みにくい文章が入り混じる。後記によれば、手直しなどは一切なく、その時その時に掲載されたままの文章が載せられているとのこと。

    分からないところもたくさんあったが、節々で納得できる部分がある。文章の後半での、畳み掛けるようなうったえには何回か胸が熱くなった。

    「私のものであった筈のこの死を託す」という考えは、すごく自然に頭に入ってきた。死んだ後も変わらず世界があり続けることに対する希望。『生きてるものはいないのか』という映画を思い起こさせる。

    佐々木中という人に惹かれている自分にとっては、なかなか面白い本だったかな。

  • アナレクタとは​「残肴すなわち残り物ひいては拾遺余録のたぐいを指す羅語」なの​だそうで、雑誌に書いた随筆等の集成。ラッパー宇多丸との対談が​面白く読めた。この人の背景にはやはり音楽があるのだな。逸材。

  • 何も終わらないこと知っている、ということを頭の片隅に置きつつ、一旦筆を置く、そのタイミングを考える。あまりに何も語らないままで一旦、というわけにもいかないし、語り尽くし繰り返し繰り返ししたあとで急に飽きが来たように一旦、ともいかないだろう。まあどちらにしろ、それらはまだまだ繰り返し繰り返し書かれ続けられねばならないことになっている、はずなのだから気にしなくてもよいのだが。

  • 対談や書評などの選集。こういう形でまとめてもらえるととても有難い。
    自己啓発が司牧に基づいた統治性に他ならない、というのは面白い。

  • 「夜戦と永遠」や「切り取れ、あの祈る手を」にて幾度も語られている熱情の反復はここにも同じようにある。
    ただ、どれを読んでも、何度読んでも退屈はしない。
    読後のあの歓びはなんだろう。
    多くの絶望に触れたのに、希望しかない。

  • 【目次】

    2006年
    「生存の美学」の此岸で

    2009年
    「永遠の夜戦」の地平とは何か

    政治的霊性
    生への侮蔑、「死の物語」の反復 |この小説は文学的に間違っている
    〈磯崎的世界〉の盤石と動揺 |書評・磯崎憲一郎著『世紀の発見』
    終わらない、と彼は言った
    この世界における別の生 |霊性・革命・芸術
    魔魅に見える
    自己の死をいかに死ぬか
    暴力の現在|自然発生性とスローガン 討議者:市田良彦・絓秀実・長原豊
    自分の小説観を変えた3冊

    2010年
    真に死に切る
    ONCE AGAINが革命だ 対談 宇多丸×佐々木中
    足ふみ留めて
    良書、しかし前提とするところ多く屈折を孕む|書評・ポール・ヴェーヌ著『フーコー』
    狂おしい影を滲ませた陽光の旅の記録へ|書評・野崎歓 著『異邦の香り』



    *****
    http://www.atarusasaki.net/book_analecta1.html

  • 【目次】

    2006年
    「生存の美学」の此岸で

    2009年
    「永遠の夜戦」の地平とは何か

    政治的霊性
    生への侮蔑、「死の物語」の反復 |この小説は文学的に間違っている
    〈磯崎的世界〉の盤石と動揺 |書評・磯崎憲一郎著『世紀の発見』
    終わらない、と彼は言った
    この世界における別の生 |霊性・革命・芸術
    魔魅に見える
    自己の死をいかに死ぬか
    暴力の現在|自然発生性とスローガン 討議者:市田良彦・?秀実・長原豊
    自分の小説観を変えた3冊

    2010年
    真に死に切る
    ONCE AGAINが革命だ 対談 宇多丸×佐々木中
    足ふみ留めて
    良書、しかし前提とするところ多く屈折を孕む|書評・ポール・ヴェーヌ著『フーコー』
    狂おしい影を滲ませた陽光の旅の記録へ|書評・野崎歓 著『異邦の香り』



    *****
    http://www.atarusasaki.net/book_analecta1.html

  • アウグスティヌスが受けた啓示を思い出す。取りて読め。

  • 何も終わらない。何も。

  • 『夜戦と永遠』の手前から、『切手本』の後にまで。
    佐々木中が進んできた道が時系列で並ぶ。

    彼がどのようにして読書を進めてきたのかは分からないが、
    彼が何を蓄えて理路を整えようとしたのかが垣間見える。

    だから特に、新しい発見という感じの著書ではない。

    ドゥルーズの『アンチ・オイディプス』が、
    専門家よりも、看護師や湾口労働者のもとに届き、
    彼らに熱い手紙を書かせたように、
    佐々木の著書は、アクティビストのもとに届き、彼らを奮い立たせている。

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足ふみ留めて---アナレクタⅠ (アナレクタ 1)の作品紹介

彗星のように出現し、透徹した論理と華麗な文体で思想・文学界を驚倒せしめた孤高の俊傑、佐々木中。『夜戦と永遠』以前から『切りとれ、あの祈る手を』へ向かう力強く飄然と舞いふみ留められた躍動する思考の足跡。未発表・完全版宇多丸×佐々木中ロング対談収録。

足ふみ留めて---アナレクタⅠ (アナレクタ 1)はこんな本です

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