放射能汚染の現実を超えて

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309245522

作品紹介・あらすじ

原子炉の心臓部である炉心が大規模に溶け落ちる「メルトダウン」を防いでいるのは、生身の人間たちの苦闘である。そして、この苦闘は今からまだ何カ月も続かざるをえない。運良く、その苦闘が実を結んで破局的な事故を防いだとしても、破壊された原子炉を始末するには、何十年もの苦闘が待っている(まえがき『放射能汚染の現実を超えて』復刊にあたって)。今こそ読まれるべき原発への警告の書。

感想・レビュー・書評

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  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB90234515

    (推薦者:人間発達文化学類 昼田 源四郎先生)

  • 1

  • チェルノブイリはまだ終わってないし福島は今それ以上の危険に晒されている。これが事実。一度汚染されたものはどうしようもないのだという言葉が突き刺さります。

  • エネルギーに頼る社会構造が原子力を生み出した。
    自らの技術で自ら滅びようとしている

  • 1991年、小出裕章氏の著書の復刊本、

    1986年4月26日、チェルノブイリ原発事故発生、
    原発の廃止を訴え続ける主張、
    福島の事故を受けて復刊された。

  • 1992年、チェルノブイリの事故のあとに出版された本書を再読。全くここから学ばなかった我々に、それを上回る惨事が襲いかかった。自業自得と言わざるを得ない。食品の汚染はもはや避けられない。セシウムばかりが話題になるが、現実には様々な核種が飛散している。セシウムくらいしかまともに測定できないからに過ぎないのだ。暗鬱たる気分になる。そして今も我々は現実から目を背けて生きているのだ。

  • 『まえがき』
    ・本書は1992年に刊行された。

    『序 生命の尊厳と反原発運動』
    ・1979年のスリーマイル島原子力発電所で大きな事故が起こった。圧力容器の蓋があけられ、水底深く沈んでいる破壊された燃料の取出しが始まった。そこには単細胞の微生物から、バクテリア、菌類、そしてワカメのような藻類までが、炉心の中に増殖し反映していたのです。どんなに強い放射能汚染があっても、新しく生命を育む生きものたちが存在していたのです。

    『第1章 チェルノブイリの死の灰はどこに行ったのか』
    ・4月26日に日本から8000キロメートル離れた場所で起こった事故の放射能が、5月4日の朝に日本で観測されている。
    ・千葉県の玄米に含まれていたセシウムのうち、わずか6%のみがチェルノブイリからのものだった。残りは核実験から来ていたものだ。

    『第2章 弱い人たちを踏台にした「幸せ」』
    ・日本が汚染した食品の輸入を規制しても、放射能の総量は消えない。弱い立場の人が食べるだけだ。原子力発電の恩恵を受けていない人たちにも。

    『第3章 放射能汚染の現実を超えて』
    ・繰り返しになるが、放射能で汚れた食べ物を私は食べたくない。日本の子どもたちにも食べさせたくない。しかし、日本と言う国が少なくとも現在原子力を選択している限り、日本人は自らの目の前に汚染した食料を上らせて、原子力を選択することの意味を充分に考えてみるべきだと思う。

  • チェルノブイリ原発事故のときに書かれた本の復刻です。最悪な事にこのときの教訓が生かされずに日本で原発事故が起こってしまいました。チェルノブイリ事故の際も、日本の食物が汚染されたという事実があったにもかかわらず、事故は風化されてしまいました。
    この本の主張は反原発ではありますが、反原発運動にも疑問を投げかけています。汚染から日本だけを守ることは不公平で、原発を生み出した先進諸国こそが汚染を受け入れる責任があるという主張です。原発が生み出した電気を使っている全員が加害者ということです。原発に関係のない第3世界の人々や原発に賛成した責任のない子どもたちからこそ放射能の汚染から守る必要があると言っています。
    この考えには共感ができました。しかし、自分の口にはなるべく放射性物質に汚染された食物を入れたくないという考えもよくわかります。さまざまな考えをまとめあげ現実的な解におとしこんでいくためには、やはり情報を知る必要があります。また、他の本も読んでみようと思っています。

  • さすが、小出先生の徹底した『反原発』の主張

    個人的には、小出先生の論調はあまりに極端に聞こえて
    苦手でした。

    でも、本書では、
    汚染の結果を第三世界の人々に押し付けるな!
    食物が汚染されていても、責任のある大人がなるべく食べるべきだ!
    という主張までしていて、説得力がありました。

    福島原発の事故以来、
    いろいろな原発関係の本を読みましたが、
    汚染したことの責任は自分たちがとるべき、
    汚染食物を食べる選択をすること、
    そこまでの主張をしているのは、この本だけでした。

    確かに、そのとおり
    東電を責めるだけでは、全くの片手落ち。
    否、両手落ちかも。

  • 資料ID:98110225
    請求記号:543.5||K
    配架場所:工枚普通図書

    まだまだ、自分の知らない放射能汚染の知識があります。

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著者プロフィール

元京都大学原子炉実験所助教。工学修士。
第2次世界大戦が終わった4年後の1949(昭和24)年8月、東京の下町・台東区上野で生まれる。中学生のとき地質学に興味をもち、高校3年までの6年間、ひたすら山や野原で岩石採集に没頭する。68年、未来のエネルギーを担うと信じた原子力の平和利用を夢見て東北大学工学部原子核工学科に入学。しかし原子力について専門的に学べば学ぶほど、原子力発電に潜む破滅的危険性こそが人間にとっての脅威であることに気づき、70年に考え方を180度転換。それから40年以上にわたり、原発をなくすための研究と運動を続ける。2015年3月に京都大学を定年退職。現在は長野県松本市に暮らす。著書に『隠される原子力・核の真実─原子力の専門家が原発に反対するわけ』(2011年11月/創史社)、『原発のウソ』(2012年12月/扶桑社新書)、『100年後の人々へ』(2014年2月/集英社新書)ほか多数。

「2019年 『フクシマ事故と東京オリンピック【7ヵ国語対応】 The disaster in Fukushima and the 2020 Tokyo Olympics』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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