常磐線中心主義(ジョーバンセントリズム)

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  • 河出書房新社 (2015年3月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309246949

常磐線中心主義(ジョーバンセントリズム)の感想・レビュー・書評

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  • 今まで取り上げられることのなかった常磐線とその沿線地域にスポットを当てた本。勉強になった。

  • 上野

    鉄道駅の客層を見るポイント…乗降客数、定期券使用者率→規模感と客層《日常利用か否か》→地域の集客に関するもの

    観光色の強い地方駅の「地域再発見プロジェクト」
    土日の駅ビルの効果が強いのは首都圏には珍しい。
    生活サービス事業と地域の連携

    ヴァナキュラー《風土に根ざした》デザイン
    終着駅性から目的地性へ

    目的地文化ーシャロン・ズーキン《都市はなぜ魂を失ったか》
    NYのハーレム、イーストビレッジの観光地化
    再生はしたが、魂を失った。ー当初その文化の担い手であった人や店がなくなる。


    南千住
    山谷…吉原遊郭、ドヤ街(暴動対策による男性単身労働者のまちへ)→外人バックパッカー
    東北地方からの出稼ぎ労働者。現在は福島原発へ逆移動?
    都心型ライフスタイル+下町文化+労働者文化



    放射能汚染風評被害に対する対策(セカンドオピニオン)
    協働的な除染対策
    公民協働の評価
    民主化要件1国家に対する社会の自律
    民主化要件2国家による社会権の保証
    これに基づいて動員モデルを切り捨てることはできない
    目的型イニシアチブ、目標達成後の解散
    →全国ネットワークでの活動にも消極的

    福島の復興に関して
    復興、エネルギー政策、責任追及、健康被害への現状のリスク判断
    これらを分けて考えるべき

    柏の場所性、後発的ベッドタウン
    高所得者、高学歴

    三浦展 本郷界隈→麻布・青山→新宿・渋谷をターミナルとした世田谷・杉並→第四山の手ー多摩・横浜
    青い郊外、白い鳥
    東京の西側…ホワイトカラーの拡大(小田急・中央線)
    東側…ブルーカラー《常磐線》

    公民学連携の貴重な仲介者の存在

    市民活動の活発さやNPOの集積は、地域住民の学歴・所得水準、ホワイトカラー就業者率・学生人口の密度と相関している。

    地域に根ざした政治的色彩の濃い運動…住民運動
    脱原発など、広域&政治色…市民運動
    政治色を含むとは限らない、広域…市民活動

    リスクは住民の忘却、これが起こると「何もしていないのに解決」するという事態に。

    茨城についてのコラム
    常磐線から乗り換えるー県南(利根川)・県西()・鹿行・県北
    利根川の東遷により洪水地帯に。
    広大な敷地面積を持たねば災害対策は成立しない

    水戸駅
    ファッショナブルなセレクトショップとサブカルチャー集団
    ストリートダンス「ロックンロール」
    市街地が「面」から「点」になるー目的意識が特定の店舗に向くから。
    市街地が点になると、(空地にできた駐車場に?)自動車で乗り付ける
    →郊外ショッピングモールと変わらないのではないか??

    主要な都市の空洞化の中でサブカルチャー「ロックンロール」が残存

    サブカルチャーの定義
    多くの国民が共有するメインカルチャーに対して、特定の集団で共有されるもの→様々な社会集団において観察される。
    サブカル選択の自由さは、人々のアイデンティティの形成に役立つ

    これまでのサブカル…東京産がほとんど。メディア化、地方へ敷衍
    「キャッチアップの欲望」(伊奈,サブカルチャーの社会学)

    大都市発信のサブカルチャーが地方に行くと
    愛好者のローカルネットワークと実践の場が形成され、
    民俗的「地方文化」と異なる「地域文化」が形成される


    四つのポイント
    ①ローカル化
    地元意識「territoriality」との結合により新規地域アイデンティティが形成される。(大都市と地方都市のインフラストラクチャーの相違)
    ②高度消費社会における選択肢の多様化→サブカル市場の細分化・横並び化
    「フラット・カルチャー」文化が序列を失い横並びに。→東京中心の文化構造を揺るがす
    ③脱地域的な文化現象として現前していることの影響
    離れた地域の交流が各地域のアイデンティティを構築。
    ④資材を提供する市場がミクロに

    ロックンロール→ヤンキー化
    エリア・施設が限定される場合、異なるサブカル集団が場所・イベントを同じにする。この事によって限られた資源が共有された。

    上京文化への反発
    東京の脱中心化=自給自足するサブカルちゃー
    セレクトショップがハブに

    水戸の歴史の希薄化
    商圏は広大だが、サービスがきめ細かいのが伝統
    しかし、新規獲得の努力が足りなかった。
    バブル世代は現状肯定

    水戸の魅力は誰にとってのもの?
    外向けと内向けは違う
    市がロックンローラーを受け入れ

    日立駅
    企業城下町
    スマート産業のつくば・サッカーの鹿島などとの競合が問題
    みこしパレードで被災地でつながり、まちに元気を。
    このような地域活動の積み重ねが過去のイメージを更新していく。


    泉駅
    小名浜には駅名に冠されることがない。県内屈指の観光地だが、観光客が鉄道でダイレクトに来られない
    一方、貨物専用列車。これがプライドとなる。
    小名浜ー泉が新産・工特で生き残る。エネルギー等産業が集積する「石炭の次」
    工業化によって日本有数の工業都市に。
    首都圏に安価な大量生産品を提供してきた歴史。国策と有権者に基づく

    「ブランド化されないのが福島のブランド」
    単なる会期ではなく、コモディティの発信が重要

    内郷駅・いわきと湯本の間
    常磐炭田発祥は内郷
    90sはじめ、「こども会」の衰退は炭鉱の衰退と関連
    気性が荒い炭鉱労働者。子ども非行が目立つ
    ブルーカラーとホワイトカラーの確執
    「炭鉱のある・あった街」
    薄れつつあるが、回転やぐらは残る

    ベッドタウン化から新産・工特に。
    湯本の場合との比較を行う。こちらは炭鉱時代の技術を生かし、産業立地が進行。


    炭田には優秀な研究者の集積があった。当時の主要産業だから。
    櫓がその技術の誇示
    炭鉱は人によっては負の歴史。


    操車場
    内郷ショッピングセンター

    消費構造の変化、大型ショッピングモール
    映画館の統廃合
    いわき市全体の動線変化


    富岡駅
    時間の停止と経過
    常磐線の途切れ
    風景は変化している
    「フクシマ」論は震災前。震災後は意識する機会が多くなってきた
    被災地としての歴史はそれ以前と連続であるべき

    富岡駅のみ、左右両方の車窓から海が見える

    産業の記憶を有する路線構造
    戦災復興の波が遅れてくる
    原発は成長落ち着いた時期に

    神社の祭り、東電の祭りが地域娯楽に
    学の森、スーパーセンター

    常磐線の復活
    原発PR施設を廃炉資料館へ

    新規住宅地の住民は原発作業員、ニーズはある
    イノベーションコースト作業

    再開通へのタブー意識

    「鉄道が通る」ことは象徴的な意味を持つ。
    電車・線路などんぽ舞台装置→郷愁、出合いなどの物語。

    新たな物語を紡ぐには早すぎる
    電車より自動車が優先される時代、自動車道の復旧が早かったのは当然

    未来のなさ
    未来を必要としなかった。

  • 【選書者コメント】常磐線とか乗ったことないし、どこ通っているかわかんない、という人にこそ読んでみて欲しい。
    [請求記号]3610:4194

  • 常磐線沿線居住者以外にとっては、単なる地方都市の点描の寄せ集めのように思える。

  •  上野と仙台を結ぶ常磐線。そのいくつかの駅(町)を縁の人達が記していく。

     取り上げられる駅は上野、南千住、柏、水戸、日立、泉、いわき、内郷、富岡。その内容は千差万別だが、どの町も表面的な顔の奥のその町の姿が見えてくる。
     特に興味深かったのが小松理虔の泉駅(小名浜)のブランドではなくコモディティとしての誇りという話。すごく目立つわけではないけど、その地域地域の顔があるんだなぁと深く感じた。
     この本を片手に常磐線を上野からいわきまで乗ったんだけど、車窓から見える景色の一つ一つに意味が感じられて、すごく濃密な電車の旅だった。

  • 常磐線から見た東京、千葉、茨城、福島。

    距離とともに関係が変化。

    東北本線や東海道線とは違う、物流の軸。

    中央線や小田急線とは違う、ブランドのない隠れた地域。

    総武線とは親和性があるか?

    東京の下半身として大都市を下支え。

    ブルーカラーと郊外居住ホワイトカラーの混在。

    未来をどう描く?

    東京の重力圏域との付き合いを再考するきっかけになる。

    首都圏沿線型コンパクトシティの有り様とは?

  • 昔常磐線沿線で仕事をしていたこともありましたが、常磐線マニアックですね。そんなマニアックを綴った一冊。

  • 分析の切り口も面白く、夢中で読んでしまいました。
    あまり取り上げられることのない常磐線も、入り込んでみると知らない面白さが溢れていることが分かりました。住んでいなくてもその街の雰囲気が伝わってくる不思議な一冊でした。

  • あまり語られることのなかった、日本の下半身としての常磐線沿線について、震災も絡めて記されている。なるほど、確かに常磐線沿線と聞いても、地味だしこれといってぱっと思うことはない。そう言う意味で日本再発見的な面白さはある。しかしやはり震災と言う大きなテーマと、常磐線沿線についてが、ミックスされると、どちらも中途半端な感が否めない。そして本書にも書かれているように、富岡以北がないのも物足りなさ感がある。

  • 「東京の下半身」常磐線沿線についてまとめられた本。都心に出るには便利かつ海も山もあって農業や様々な資源に恵まれた地域であるはずなのに、新幹線も通らず地価も安い日陰者扱いされているエリアを語るのは今しかないだろう。

    それは、東日本大震災による福島第一原発の事故という災害と無関係ではない。上野駅からスタートするこの紀行は、東北地方から集まった労働者と炭鉱⇒電力へと変遷する資源供給の歴史を丁寧に紐解いていく。アメ横で新巻鮭や靴が売られているのも、上野公園に浮浪者やイラン人がたむろしていたのも、山谷地区にドヤ街があったのも、常磐線という存在とは切り離すことができない。

    柏という典型駅な郊外エリアは、2011年に放射性物質のホットスポットになった経緯もあり、住民主導の除染活動によって大きな成果を挙げた先進的な公民連携の取組みを実現している。もちろん反原発や健康被害に対する政治的な対立もあったはずだが、ほとんど地域を顧みることのなかった新住民たちが、都会の企業のロジックで除染プロジェクトを遂行していくプロセスは参考になる。

    そして、常磐線は富岡駅の前で途切れている。原発立地自治体として、大半の住民が避難生活を送るこの地域においては、原発によって生かされてきたという歴史的事実と、先祖と子孫に対して取り返しのつかない事故を起こしてしまったという複雑な感情がまだまだ支配している。

    常磐線という路線は分かりやすい日本の縮図だ。都市(上野)~郊外(柏)~地方都市(水戸)~田舎(いわき)~限界集落(富岡)というラインを一本で結びつける、全国でも珍しい路線なのだ。

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