感染地図―歴史を変えた未知の病原体

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制作 : 矢野 真千子 
  • 河出書房新社 (2007年12月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309252186

感染地図―歴史を変えた未知の病原体の感想・レビュー・書評

  • 19世紀半ばロンドンで流行したコレラ。当時のロンドンはごみだめの街。道には糞便が撒き散らされ、汚水を生活水に利用する有様。「微生物」という概念もまだなく、コレラの原因は瘴気、つまり「臭い」だと考えられていた。この説に疑問を持ち飲料水が原因だということを証明するため、地元医師ジョン・スノーが奮闘する。

  • 最初は良かったが、途中で飽きてしまった。

  • 約150年前のロンドンで発生したコレラの大流行についての記録が事細か記されています。下水道が整備されていない状況で人口が集中した都市を襲った感染症の恐ろしさと、当時は未知であった感染症の原因追求に奔走した人々の様子がありありと伺えます。

    本の前半には見えない原因を追求するさながら探偵物を読むような楽しさがありますが、後半は当時の人々を支配していた「固定観念」との戦いの苦難がポイントになります。

    最後の方は、原因究明の際に使われた統計的手法の説明、新興感染症やテロ等の人類の脅威に話が繋げられているため、コレラの話の本筋から外れていきます。

    特にテロのあたりは話が飛躍している感がありました。

    改めて星4つにしておきます。

  • なかなか読ませた。
    この出版社は史実を物語にするのが得意というか、そういう著作が好みなのか、面白かった。
    スノーのことははじめて知ったが、誰かに話したくなる、そういう興奮をもたらされた。
    人に勧められる本。

  • 1854年8月28日ロンドンのブロードストリートのルイス家の赤ん坊が当時は原因不明のコレラに感染した。当事のロンドンは人口240万人を超える世界最大の都市で面積は現在のインナー・ロンドンとすると東京23区の半分程の310km2。工業化と人口の増大にインフラ整備が追いつかず、スモッグのため霧のロンドンと呼ばれテムズ川は1858年に大悪臭を発生する。当時はこの悪臭と瘴気がコレラの原因と考えられていた。
    実際には下水処理が追いつかず、肥溜めは溢れ、コレラ菌が見た目は綺麗な井戸水に混ざった事が原因だった。
    それ以前のコレラの流行の際に水でうつるとと独自の説を考えていたジョン・スノーは感染者と非感染者は何が違ったのかの実態調査に乗り出す。そして有る井戸に目を付け教区を説得して封鎖する。
    もう一人の主役はこの教区の副牧師ヘンリー・ホワイトヘッド。この地区の人々を良く知るホワイトヘッドは水原因説には反対しながらも調査には協力しその過程で問題の井戸が原因で有るとの証拠を積み上げて行く。そして、ついに最初の発症者ルイス家の赤ん坊を発見した。ルイス家は井戸の前にあり再調査の結果汚水溜めがぼろぼろになっていて井戸に染み出している事が発見された。
    スノーの説が認められるまでにはまだ10年後になるが、大悪臭を経てロンドンは下水道の整備を進めて行く。
    現在では都市化は健康にプラスの効果を生み出していて、インフラ整備は都市に集中する方が経済的なので結果としてより多くの人に公共サービスを用意できる。弊害があるとしても都市化と折り合わなければ人口を支え切れないのだろう。

  • 新聞の書評を見て「エピデミック」と共に購入。

    この物語には、致死的な細菌と、急成長する都市、そして天賦の才を持った二人の男という四つの主役が登場する。百五十年前のある一週間、底知れぬ恐怖と苦痛に見舞われたロンドン、ソーホーにあるブロード・ストリートで、この四つの主役たちは交差した。
    ―― 『感染地図』の「はじめに」より

    と言うことで、1848年にロンドンの下町であるソーホーにあるブロード・ストリート-急成長する都市-で大発生したコレラ-致死的な細菌-の感染源を“天賦の才を持った二人の男”こと医師ジョン・スノーと牧師ヘンリー・ホワイトヘッドが画期的な統計調査で感染源を特定しついにはコレラのていくスリリングな“探偵”物語。

    当時は最近やウイルスと言う概念はなく「瘴気説」という「悪い空気が病気の元」と言う説が主流だったが、ブロード・ストリートで発生したコレラをに関する情報を徹底的に収集し調べるうちにジョン・スノーは奇妙な点に気付く

    ・発生地区のど真ん中にあって死者が出ていないビール工場。
    ・三方がコレラ死亡者の家屋で囲まれていたにも係わらず、ブロード・ストリートの共同井戸ではなく市の給水と院内の井戸水を使用していたので救貧院での死者が535人中わずか5人だけだった例。
    ・コレラで死亡した弟の家へ来てブロード・ストリートの共同井戸の水を飲んだ兄が、翌日の夕刻に発病した例。
    ・ブロード・ストリートの共同井戸の水を送って貰っていた郊外の一家のコレラによる死。

    そこから導かれる答えは当時としては非常に画期的なブロード・ストリートの共同井戸による「飲料水感染説」でした。
    仮説を立てたスノーは立証の為にブロード・ストリートの牧師ヘンリー・ホワイトヘッドの協力を得て、まず一軒一軒の家を訪ね死亡者の発生場所を地図上に記入し、彼らの行動をつぶさに調べていくと“死者の声なき声”はブロード・ストリートの一点を指していた。
    次の週、スノーとホワイトヘッドは委員会に井戸の閉鎖を提案し多数決で認められ、ブロード・ストリートで猛威を振るったコレラは収束へと向かっていくのだった。

    その後の追跡調査でもコレラ感染者はこの井戸を飲用していたことが判明し汚染源が完全に特定される。
    井戸のすぐ側の隣家地下の汚物溜から汚物が井戸に混入していたのだった。
    「コレラは飲み水に潜んで人にうつる」かくしてスノーとホワイトヘッドは現代に通用する「疫学」の始祖となった。

    コッホが病原体としてのコレラ菌を発見する35年も前に、細菌学や顕微鏡など何も効果的な武器のなかった時代に、ただ唯一の足と頭と言う武器だけで感染源を特定し、「瘴気説」と言う世の中の常識と未知の致死的な病気と戦った偉大なる先人たちの記録。

    「スノーをよく知る人はみな、彼がどんな犠牲も危険もかえりみず調査を続ける男かを知っている。コレラがいるところ、つねにスノーありだった」

  • 汚穢に塗れたロンドンで、コレラ菌vs近代の、10日間に渡る壮絶な戦いの記録。医者と僧侶の2人のパーティが、地図と金属棒(ポンプの柄)を武器に、かく戦えり。

  • 導入部の流れるような群像劇がすばらしく、その後の歴史検証へと読書をスムーズに進めてゆく。最後の角度を変えながらの主張繰り返しはちょっと冗長に感じたけれど、読み物として面白かった。

  • 本の作りと文の書き方が好みでない(~_~;)読みにくい!途中から飛ばし読み。

    でも、この時代の疫学、どのように人々が感じ、どのように考えて結論に至ったのか…わかった。

    あと細菌ワールドというか、細菌の動きの見方が面白かった。

  • それは若い警察官ルイスんちの赤ん坊の濡れたおしめから始まった。汚水が流れ込んで汚染されたテムズ川から、飲み水を取水していたとは! 若き医師ジョン・スノーと教会牧師のそれぞれの立場からの調査は、やがてひとつの結論へと達していく。

  • 下肥屋
    目はくぼみ、唇は濃い青色に
    探偵、現る
    肥大化する怪物都市
    あらゆる「におい」は病気である
    証拠固め
    井戸を閉鎖せよ!
    感染地図

  • 舞台は19世紀半ばのロンドン。当時の医療技術では疫病の原因を特定するのは不可能とされた時代。そんな中で猛威を振るうコレラに対し、独自の調査を行う医師と牧師の…実話ですが、まるで秀逸なミステリーのようです。お・す・す・め♪

  • まだコレラ菌の存在が知られず、空気感染するものという迷信がはびこっていた中にあって、大都市がコレラに襲われる。
    科学的に水源を飲むことで感染することを突き止めていた医師探偵が立ち上がる。
    科学が迷信に打ち勝つストーリー。
    もっと話題になっていいほど、面白い!

    P.S.
    本当はスティーブン・ジョンソンの別の本を探していたのですが見つからず、変わりに目に飛び込んできたのが本書。
    訳も矢野真千子さんだし間違いない、と思って購入したのですね〜

  • 上司に渡されて読んだが、かなりよい本である。

  • 感染 について書いてある本だと思って ずっと読んでいったら 地図についての本でもあって ちょっとびっくり。この本を読んでから オリバーツイスト を見直しちゃいました。あと パヒューム の映像とかも。

  • スティーブン・ジョンソンの新作は、19世紀中盤、ディケンズの時代におけるコレラ禍を扱っており、ちょっと意外な題材。都市への人口集中と災害被害の極大化についてもちょっと触れられてはいるが、大部分は純粋に公衆衛生の物語になっている。1854年、ロンドンでコレラが流行。「米のとぎ汁様(小腸の上皮細胞が白く見えるためらしい。米食文化圏の表現かと思っていた)」の下痢、脱水を起こして数百人が死亡する。当時は、瘴気により病気が媒介されると一般に考えられていたが、ジョン・スノーはコレラは消化器系の病気なので、瘴気によるものではないと見抜き、患者の発生を地図に表すことで、ある井戸が感染源であることをつきとめ、その使用を禁止することでコレラの蔓延を鎮静化させる。現代の知識からすれば一見、バカバカしいようなことではあるが、細菌の存在も知られておらず、迷信が支配するビクトリア時代において、データから推論をするというのはかなり難しいことだったのだろう。

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感染地図―歴史を変えた未知の病原体の作品紹介

150年前のロンドンを見えない敵が襲った!大疫病禍の感染源究明に挑む「壮大な実験」と「壮絶な闘い」はやがて独創的な「地図」に結実していく。恐怖や惨劇のなかで進むスリルあふれる探偵劇から、公衆衛生の概念の転換点と、現代都市が抱える共通の問題を多面的に検証する話題作。

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