- Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309261195
感想・レビュー・書評
-
このところオールズバーグの不思議作品にはまっている。
パステルで描いた絵の巧みさもあり、読後の余韻もまた楽しい。
原題は『The Stranger』。
そのStrangerが何だったのか、明確な答えが出ないまま話は終わる。
表紙画像の、デニムを着て眼を真ん丸にした人が、それである。
車ではねてしまった人を、救助のためにベリーさんは自宅に連れ帰る。
ところが、医者を呼んでも体温計はあがらず、その人は何一つ喋れない。シャツのボタンの止め方も知らないようだし、スープの飲み方も分からない。
しかも、一緒にいると何だか寒くなるらしい。
それだけではなく、野ウサギは何の警戒心もなくこの人に近づく。労働をしても汗もかかず、もっと不思議なのは、この人がいると季節が止まったままなのだ。
子どものように純粋で、家族とともに何でも心底楽しめるThe Stranger。
これだけヒントがあっても、答えが出ない。
読み終えてから気が付くのは、答えが重要なのではなく、煙に巻かれたことを楽しむ本かなと。
繊細に描写される風景。空と大地と光が、まるでコローの絵のように美しい。
神秘的なショートムービーのようで、3週間をThe Strangerと共に楽しく過ごしたベリーさん一家が、何だかとても幸せに見えてくる。
よく考えれば被害者と加害者なのにね。
お話会の「選書の基準」からは大きく外れるのでお薦めは出来ないが、読むなら高学年以上が良いかもしれない。約11分。秋の初めの頃に。
読後、The Strangerとは何だったのか、話し合いも面白いだろうな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
空想と現実の狭間のミステリアスな世界を、色彩ゆたかなパステル画で描かれた児童文学作家・オールズバーグの余韻の残る幻想物語。<村上春樹サン>の翻訳が、全編をとおして神秘的で不思議な空気を醸し出し、静かに心を和ませてくれる大人の絵本です。
-
読友さんのレビューから気になって、読んでみました。
挿画とタイトル(原題:The Stranger)に、謎めく雰囲気を感じつつ…。
ベイリーさんと名前のない人との、ちょっとセンセーショナルな?出逢い…。
季節が移ろうときには、こんなことがあるのかもしれないですね。
色づく木々の葉を眺めるとき…このお話を思い出すでしょう。
うんうん、「また来年の秋にね」。
兎と触れ合うシーン…好きだなぁ♡(*˘︶˘*).:*♡
紹介してくれた読友さん♪ありがとう~♡ (訳:村上春樹さん)
「彼は一本の樹に駆けよって、葉っぱを一枚ちぎった。そして、震える手でそれを持って、何も考えずに、ふうっと思い切り吹いた。」(本文より)。-
権大納言さん、コメントありがとうございます。
そちらは、もう寒いでしょうね…。
「名前のない人」は、やってきたでしょうか?
秋から...権大納言さん、コメントありがとうございます。
そちらは、もう寒いでしょうね…。
「名前のない人」は、やってきたでしょうか?
秋から冬に向かう絵本…というか?秋の絵本になっちゃいますが、
「ファーディとおちば」、
「まいごのどんぐり」、
「きつねの窓」、
「おじいちゃん (ポプラ社の絵本)」
など、どうでしょう?
興味あれば?いつか手に取ってみてください。2020/11/09 -
NAGIさん、ご紹介ありがとうございます。どのタイトルの絵本も読んだことがありませんでした。落ち葉NAGIさん、ご紹介ありがとうございます。どのタイトルの絵本も読んだことがありませんでした。落ち葉2020/11/10
-
コメントの続き→落ち葉が好きなので、「ファーディとおちば」を探してみたいと思います。「名前のない人」は我が家の前を通過した模様です。コメントの続き→落ち葉が好きなので、「ファーディとおちば」を探してみたいと思います。「名前のない人」は我が家の前を通過した模様です。2020/11/10
-
-
-
そういうことだったのですね!読解力がなく、なぜ体温計を忘れる場面があるのか、葉っぱに息を吹きかけたのか、わかっていませんでした。
スッキリ納...そういうことだったのですね!読解力がなく、なぜ体温計を忘れる場面があるのか、葉っぱに息を吹きかけたのか、わかっていませんでした。
スッキリ納得しました。ありがとうございます!2022/10/25
-
-
他の方のレビューを読んでようやく話の意味がわかりました。
私に読み取れたのは、口を聞かなくても優しく穏やかな名前のない人の性格と、彼が来たことで何か異変が起こっていることです。
改めて読むと秋にぴったりの素敵な絵本、のような気もするのですが、やっぱりなぜ轢かれたのか?など謎が残って難しく感じました。
車に轢かれて登場し、ギョロ目で喋らないという強烈な個性のためか、子どもには強く印象に残ったようでたまにこの絵本の話が出ます。 -
絵が頭から離れない。
あんまり好きな印象の残り方じゃない。 -
ある家族が過ごした、夏と秋の間の季節の、少し不思議な日々。
色々な想像が出来て深い絵本。
読み終わった後はふと窓の外を眺めてしまう。心地よい読後感。 -
ベイリーさんが轢いた人は、人間の形をした鹿で四季の案内人だったのではないだろうか。ざらっとした革の服が、彼の着ているものだったから。口がきけないから。
名前のない人が自分の住んでいるところだけ、季節が移り変わらないことを知って、自分が何者かおもいだしたのかもしれない。それは大変ショックだったのではないか。