ハリス・バーディックの謎 (The Best 村上春樹の翻訳絵本集)
- 河出書房新社 (1990年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本
- / ISBN・EAN: 9784309261355
感想・レビュー・書評
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「ハリス・バーディク」という謎の人物が残したという14の物語に、クリス・ヴァン・オールズバ-グが幻想的絵画を描いた作品集。「天才少年、アーチ-・スミス」「絨毯の下に」「7月の奇妙な日」「ヴェニスに消えた」「別の場所で、別の時に」「招かれなかった客」「ハープ」「リンデン氏の書棚」「七つの椅子」「三階のベッドルーム」…それぞれの絵が物語を語りはじめるモノクローム作品が想像力を掻き立てる。
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村上春樹翻訳の絵本。
絵本の見本として置いて行かれた14枚の絵。
現実から少しだけバランスの崩れた、危うい気配が漂うそれらの絵と、つけられた題名と説明文。
翌日持ち込まれるはずだった原稿は持ち込まれないまま、謎の男ハリス・バーディックが姿を見せることはその後なかった。
それらの絵は確実に物語をはらんでいる。
その隠された物語は、見る人のイマジネーションを喚起し、その絵を見た人たちはなんらかの物語を書き記したくなる。
そんな絵を14枚。
私もついつい物語を見てしまいました。
それは、ほわんとした掴みどころのない物語ではあったけれど。
書き起こすことが出来ればいいのだけれど、その能力が私にはないので、この作家ならどう書くだろう、あの作家ならどう切り取るか、といろいろ想像して楽しみました。
で、ね。
この絵本、絵と文C・V・オールズバーグなんですわ。
乗せられた~。
もう、絵がすばらしくって、それだけでその世界に連れて行かれて、答えは表紙に書いてあるのに気持ちよくだまされました。 -
オールズバーグの最高傑作だと思う。
まず1枚の絵がある。美しい。なんて緻密な線。
タイトルがある。そのタイトルによって見えてくるものがある。
短い一文が添えられている。これで更に見えてくるものがある。
そして、それ以上は無い。
物語は我々の空想上に羽を広げたまま
どこにも降り立つことはなく
それなのに11枚の絵はそれぞれに
とんでもなく面白そうな物語を孕んでいるに違いないので
そう、もしかしたら、これこそが、
時を忘れいつまでも没頭していられる絵本なのかもしれない。 -
一枚の絵に、謎のタイトル。
あるのはたったこれだけ。
それだけで、こんなにワクワクして
どんどんお話が膨らむんだ。
受動的に、なんでも与えてもらえる今の世の中だからこそ
こうして能動的に自分の想像をかきたててくれる本は貴重だと思う。
謎、ということばは
どうしてこんなにワクワクするんだろう。
想像力は無限大。
自分のことをなんだかちょっと見直しちゃう、
そんな機会を与えてくれる素敵な絵本。 -
不思議な設定。オチのない物語。
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読後、小学校の教科書で読んだ「西風号」を読み返したくなり、図書館へ。
彩色された空も好きだけれど、モノクロもいいなあ。 -
『ハリス・バーディック年代記』を読むにあたり再読。
『西風号の遭難』とゴッチャにしてましたσ(^-^;)
そうかぁ…25年の月日を経て、いよいよこれら14のお話が…早く読みたいです。 -
「面白い。この船の絵が一番良かった。はじめ船ってわからなかった。ビルとかと思ってた。」(S9)
謎の14枚の絵というのもミステリアス。
絵がそれぞれ想像を掻き立てられ、続きが見られないことにジリジリする。
いろんな人が絵を元にした物語を描いているんだろうな。
読んでみたい。
とりあえず、感想文ではないけれど、この絵からお話を子供に作らせてみたい。 -
私のやりたかった事はきっとこんな感じかも。切り取られた物語の一部分が想像の翼を広げさせる。
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暗い絵なのに光ってる