チロ愛死

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309272122

感想・レビュー・書評

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  • 傍にいた生き物を看取ったことがあれば、胸を締め付けられる1冊。
    「愛しのチロ」と併せて。

  • 圧倒的な写真と構図を前に、言葉が足らない。追いつかない。
    彼は「ユリイカ」のインタビューで、テキスト挿入を編集者から頼まれたが挟まないようにしたと言う。
    絶対的に正解だ。チロの、あるいはアラーキーの、あるいは奥さんの熱ある姿に、言葉という冷水をかけても仕方がない。
    この書を織りなすひとつは愛、ひとつは生だ。彼の撮る猥雑なヌード、鮮やかすぎる花、そしてかなしみと希望が混在する空。
    そして死だ。死というたったひとつの事実から、あらゆる余韻が放射される。感情を暗示するのに、なんと写真は的確な芸術形式であることか。
    不思議なことに、写真が動いて見えた。チロ臨終のキワ、モノクロ写真が連続し、最期のチロの眼に涙をためた表情まで。生と死の狭間から最期の臨界点にいたる道、確かに写真は動いた。命の尽きるときは動的なのだ。

    肉体的な写真集。キのママの感情が肉体としてある。


    「写真は、愛する者を失うほど、切れ味が出てくるんだ」(朝日新聞インタビューより)。文章は、人間は、人生は。すべてに当てはまる至言だと思う。ただし、失ったものを現出させる努力、愛する者をなぞり返す努力においてだろう。

  • 表紙見て故愛ぬこ思い出した。

  • 痩せて弱って行く姿って悲しいなあ/ _ ; 死に近い姿はなかなか残しておけない。見てるのが辛いから(;_;)

  • 荒木さんには生涯の女性がいた。
    陽子さんとチロちゃん。

    陽子さんが亡くなった後、約20年間生きたチロちゃん。
    自分の役目をとても理解していたんだろうな。
    荒木さんと長く過ごすこと、荒木さんの被写体として己のあるがままの姿を見せていくこと。

    猫は、気ままだけど、実はご主人さまの顔色や態度を見て気遣っている生き物。

    チロちゃんは今頃天国で、陽子さんと井戸端会議しているのかもしれない。荒木さんがいつか天国に召された時にどうおもてなししようかとか。

    猫が過ごしやすい世の中になればと切に思いますが
    この本は、そんな世の中のために必要な本だと思う。
    猫を手放す人たちに、立ち止まって見て欲しい本です。

    私も猫と一緒に住んでいますが、日々の姿を写真に納め続けていきたいと思います。
    私が生きていくにあたって、猫との日々は人生の最大のプレゼントだなと、この本を読んで改めて思いました。

    読むたびに涙が出ます。

  • 普通なら消しておくであろう右下の日付が哀しみをくっきりと浮き立たせる。

    奥さんの死とのオーバーラップ、チロの痩せ細って弱々しい身体、けれどその瞳に宿る強い光、そしてその後……一枚一枚の写真をじっくり眺めて鑑賞するような類いのものではないけれど、一冊の写真集として、日々の記録として、間違いなく胸を打つ作品である。

  • 「愛しのチロ」と合わせて読むと、涙倍増。アラーキーさんのチロに対する思いがあふれていて、泣ける。
    チロの写真の途中途中に人のヘアヌード写真が出てくるんだけど、うむ、ネコのヘアヌード写真の方がセクシーに見えるのはなぜだろう(笑)。
    『愛しのチロ』が出た1990年に奥さまが亡くなっていて、その後『チロ愛死』が出たのが2010年。『愛しのチロ』から20年、奥さんを亡くしたアラーキーさんと共に生きたんだね、チロ(涙)。あぁもう、ネコとのお別れを経験した私にゃきついなぁ…。

  • 痛いほどわかる。重なってしまう。
    途中でページを捲るのが辛くなった。
    本屋ではばからず泣いてしまった。
    ちょっと変な人だったと思う。

    平気なふりして過ごしてるけど、
    4歳からいっしょに過ごした歳月は、とうぶん埋められそうにないんだな。

  • ■2011.09 TV

    数年前に愛猫(20歳近い)を亡くしたので
    この本は読んでみたいけれど
    TVで見ただけでも泣けてしまい
    なかなか手に取れない。。。

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著者プロフィール

写真家。1940年5月25日、東京都台東区三ノ輪生まれ。1964年『さっちん』で第1回太陽賞を受賞。1971年『センチメンタルな旅』(私家版)を出版。「天才アラーキー」「写狂人」「写狂老人」などを名乗り『愛しのチロ』(平凡社)、『センチメンタルな旅・冬の旅』(新潮社)、『人妻エロス』(双葉社)、『往生写集』(平凡社)、『顔』(KADOKAWA)など、現在までに500冊近い著書を刊行。

「2015年 『楽園は、モノクローム。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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