憑かれたポットカバー: クリスマスのための気落ちした気色悪い気晴らし
- 河出書房新社 (2015年12月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (72ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309276663
感想・レビュー・書評
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「地元でもよそでももっぱら〈ロウアー・スピゴットの世捨て人〉で通っているエドマンド・グラヴル」が、ティーバッグの味が出るのを待ちながら、「冬至の日にタイプライターのリボンが値上がりしたことについて」手紙を書いていると、ポットカバーが動き出して変な虫みたいな生き物が飛び出してくる。
と、説明していてもナンセンスすぎて空しくなるのだが、本作はエドワード・ゴーリーの絵本にしては"ちょっとだけ"楽しげ。
というのもこれでも一応クリスマス・ストーリーとしてニューヨークタイムズ・マガジンに掲載された作品だから(か?)。
柴田元幸氏によると、どうも本作はディケンズの『クリスマス・キャロル』(1843)をパロッたものらしい。いや、パロディというよりも、ただこのクリスマス定番のストーリーを無意味にぶっ壊すためだけに描かれたのかもしれない。
だとしても、そのことにも意味はない。
そう、「クリスマスの亡霊」として黒い透明な人影も登場。けど何をしたいのかはわからず、グラヴル氏と虫とこの人影をよそに、次々いろんな人たちが出てきて軽く騒動する。
その一人にむけて虫が言う、
「そういう真似はたくさんである」
このセリフ気に入った。
「くすくす笑いと、踊りと、金切り声が場にはびこり、晩が更けていくなか、見苦しさの一歩手前まで盛り上がったのだった。」
というこれも無意味だがちょっと楽しげな締めくくりになぜか感動してしまい、最近ゴーリーをよく読んでいるせいで感情がおかしくなってしまったのではないかと一瞬心配になった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
クリスマス・キャロルになぞらえた
ゴーリーのクリスマスブック。
意味分からない感じがまた良い。 -
2018 1/8
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読了
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「クリスマスのための気落ちした気色悪い気晴らし」という唆られる副題
エドワード・ゴーリーによる見苦しさの一歩手前まで盛り上がるディケンズの「クリスマス・キャロル」のパロディ面白い -
虫…お前虫…????????
気色悪い気晴らし…????
みょうちきりんなゴーリーの世界… -
S図書館
難解で頭がいたい
でもゴーリーにしては明るい感じ
北海道がでてくる、なぜ日本の地名が?
今回、黒虫は子供ではないようだ
あとがきより
「教訓主義の効用を広めるべくここへ来たのである」と冒頭
その効用が今一つ怪しい
クリスマスキャロルのパロディ
締めくくるのにふさわしいとある -
あとがきを読んで初めてクリスマス・キャロルをパロディにしたものだと分かった。また、本作作者のクリスマス本の1冊目でそのあともう1冊てわていることも。
正直解説を読んでもいまいちよく分からないが、何だか味わい深いことは伝わってくる。クリスマス・キャロルでの進行役である精霊がバアハム・バグだそうだけど、得体が知れないけど味わい深い。 -
ゴーリー的クリスマスブック。ディケンズ『クリスマス・キャロル』のパロディらしい。他と比べて少し線の太い絵もかわいい。
「バアハム・バグ」の名前は改心する前のスクルージの口癖 "Bah! Humbug!" (ふん!馬鹿馬鹿しい!)から来ていて、訳すなら「フンバカ・バシイ」とか「フンバカラシムシ」……という訳者の柴田元幸さんのユーモアも好き。 -
偶然見つけて、手に取った本。かの有名なクリスマスキャロルのパロディらしい。クリスマスの「幸せな光景」とか「キラキラ輝いてる感じ」の真っ向をいく雰囲気で大丈夫かこれと思ったけど、最後とりあえず?