思い出した訪問

  • 河出書房新社
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (72ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309278919

感想・レビュー・書評

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  • 何年も経ってふと思い出した約束。
    エドワード・ゴーリーは、こんなに胸の奥が疼くようなせつない話も書くのだな。

    ドゥルシアという少女が外国に出かけた11歳の夏。
    家族の知人スクリム=ショーとともにクレイグ氏を訪ねる。口ひげとあごひげを生やした老人だ。

    クレイグ氏はドゥルシアに、紙は好きかと尋ねてくる。
    会話の流れで彼女は、
    「家に帰ったら、貯めてある封筒の内紙を送ります」と約束する。

    何年かしてその約束を思い出す。彼女は突如思い立って封筒の内紙を探す。すると、引き出しに敷いてあった新聞紙で、自分がクレイグ氏に会ったその秋に、彼が亡くなっていたことを知るのだ。

    なんだこのストレートな物語は。らしくない。でも良い。細部にはまだ無意味が宿っている。人はときにこういうどうでもいいことを覚えている。だからこそいっそう、ドゥルシアのこの地味な出会いがしかし一回性のものであることがきわだつ。

    ところで本作でも、時間のジャンプが行われている。ページをめくるごとに、数日が過ぎ、数週間が過ぎ、数ヶ月が過ぎ、数年が過ぎる。

    どうも作者は、時というものがただ過ぎるという残酷さとあっけなさ、いかにも意味がありげな無意味を、描きたがっているように思われる。

  • 不穏な空気がなんとも良い。
    矛盾するようだが、不安な安心感がある。

  • 淡々として寂しい感じのお話。
    どういうことか訳も分からない

  • 思い出したことに価値があるんじゃないかな。
    その価値に気付くのはまた数年後かもしれないけど。
    飛んでいった紙もまた誰かの為になるかもしれないしね。。。

    恩は遠きにかえせと言う言葉を大切にしていますが、これもまさにそういうことではないかと思います。

    絵本なのでパラッと読めちゃいますが時折読み返したいですね。それこそ、思い出した時に。

  • 2018 3/3

  • 月イチ絵本。
    いやあ不穏。
    ホント不穏としか言い表せない。
    話の内容はもうホント普通。
    なんの面白味もない普通の話。
    なのにものすごい不安になるこの感じ。
    ゴーリーである。
    まさにゴーリー。
    彼女の両親が彼女になにをさせようとしたのか?
    何もわからない。
    そして老人が何者だったのかも。
    しかし最後まで読むともう不安で不安で仕方なくなる。
    なにが不安なのかもわからない。
    とにかく不安なのである。
    さすがゴーリー。

著者プロフィール

1925年シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章とモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表。おもな邦訳に『うろんな客』『ギャシュリークラムのちびっ子たち』など。2000年没。

「2023年 『どんどん変に…』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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