きえもの日記

著者 :
  • 河出書房新社
3.76
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本棚登録 : 190
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309285115

感想・レビュー・書評

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  • 高山さんはいつでも高山さんだなぁとなんだかしみじみした。
    仕事への思い、好きなものを好きだと思う気持ち、友人や家族との関係。不器用で生々しく正直な人。

  • いつも高山さんの新刊は必ずすぐに購入してるんだけど
    今回はドラマの中の食事(きえもの)の仕事に
    参加した時の日記ということで購入をずっと
    検討してから慎重に購入した。

    結果は購入して正解。
    今回きえものを担当したドラマの原作本も持っていた
    ので、きえもの日記を読みながら、原作本の
    どの料理なのかを並行して読みながら、
    更にドラマもどのシーンかなって見ながら
    じっくりと堪能してしまった。

    原作本だけを読んだ時は、まぁいろいろ詰め込んだ
    あたりさわりのない物語かなってほかの人の
    レビューのように感動しなかったんだけど
    高山さんの料理への思い入れを読んでから
    ドラマを見て、原作本を読むと、最初に読んだ時以上に
    言葉の一つ一つに心に染みる感動が詰め込まれていた。

    木皿さんはやっぱり小説よりも脚本家としての
    才能がすごいんだなってすごく実感した。
    そして高山さんの表現力、目の前の出来事を
    自分の作業と並行しながらとても的確に表して
    いて、現場の様子が目に見えるようだった。
    すごく大変そうだったけれど、高山さんが参加
    したからこそ、ドラマは料理がとても印象に
    残るものになっていると思った。
    食べることは、生きること。まさにって感じ。

    昨日のカレー、明日のパンのファンの人なら
    絶対に買いな日記だと思う。

  • こんなにモリモリ働く高山さん、見たことない!
    この日記読んでる時は、私もがんばるぞっていう気持ちに。
    やりたいこと全部、全力でそれに沈んでやる勇気をもらえるし、いつものお仕事にも自分の身体や心と話しながらちゃんとされててすごいなぁと思った。
    全部やりたいことなんだな。

  • ドラマ撮影現場でのリアルな描写が楽しい。

  • おいしそう!!
    普通の料理なのに作ってみたくなる。
    カボチャ入りポテトサラダ。
    豆ごはんには玉ねぎ入りショウガ焼き。

  • 大好きなドラマの裏側でもある。

  • 高山さんが料理を担当したドラマ「昨夜のカレー明日のパン」のmakingノート(料理担当バージョン)
    高山さん初体験ということで、けっこうヘロヘロになりながら頑張っていたようです。
    ドラマ見てなかったけど(笑)

  • 2016/05/25読了

    日々ごはんファンは是非
    2017/04/2 再読
    2018/06/30 再読

  • 映像を取るときの「きえもの」に、ホンモノの料理を作って出そうとするスタッフが、どんなことを思い、何が起きるのかが追体験するように読みました。
    仲良しで「ドンマイ」というわけにはいかない一瞬が積み重なった映像づくりの、厳しさと高まりが感じられます。

  • きえていくものが、大切なもの

  • 物語に合ったご飯をつくること。
    作る人物に合ったご飯であること。

    たとえ器の中身が大して映らなくても。
    たとえ作中でひっくり返される料理でも。

    作中人物のらしさが出るような料理を。
    きれいに飛び散るような料理を。

    ドラマ撮影の流れと共に、撮影用のお料理がどんなふうに考えられているか、どのような作られているかが、日記風に綴られています。私の知らない世界。面白い。なるほどですねー。

  • 596.04

  • おなかがぎゅうぎゅうする。
    ものを作り出す現場って、みんな当たり前に一所懸命だから好き。

  • 高山さんの日記が好きで、全部読みたいなと思いながら、半ばわざと、少しずつ読んでいる。
    この本もそんな高山さんの日記の一つなのだけど、でも、いつもと全然違った。
    ベテランの高山さんが、テレビドラマの料理という初めての仕事に向かう日々。その心情を、いつもの率直さで書き記しているのだ。
    とてもやりたい仕事で、でも、とても荷が重くて…全編を通し、高山さんの緊張が伝わってくる。伝わりすぎて、私の脈拍まで上がって、耳鳴りや不眠(緊張状態がダラダラ長く続いたときの、私の症状だ)を引き起こしそうになる。

    ―考えなければならないことが山積みなので、これまでのことを忘れてしまう。なんだか、手が震えるような感じなのだ。(P23)
    ―どこかがずっと緊張しているのだ。(中略)どこへも行かないよう、風船のひもを握られているような……。(P27 )

    高山さんは、フリーランスだ。どれだけ大きな仕事であろうと、指導してくれる上司も、アドバイスをくれる先輩も、使える社内リソースのようなものもない。
    あるのは、自身の経験の蓄積と、仲間。

    慣れない仕事では、自分の弱さとも、もろに直面してしまう。自身を顧みる高山さん。

    ー私はいったい何なんだろう。(中略)緊張し、畏れ多くて手が震える。言葉も出ないし、脳みそが止まってしまうみたいなのだ。(P59)

    撮影は進んでいく。仕事のシーンの高山さんは、それでも、とてもスムーズに自由に役割を果たしているように見える。アイデアを出し、イメージはイメージどおりに形にしていく。それは、高山さんの確かな実力と実績の表れだ。経験は嘘をつかない。固い信頼を担保にした仲間は、何よりの力になる。
    時に失敗しながら、孤独に不安と向き合いながら、一方の現場では、プロとして充分にパフォーマンスし続ける高山さんの姿が、二重写しになる。

    ベテランであろうと、初心者であろうと、「初めて」はあるし、緊張したり戸惑ったり失敗する。言葉一つから、わからないことだらけだし、次の展開のイメージはわかないし、それ故、自分を安心させることができない。
    でも、そのことをリアルタイムで(愚痴ではなく)吐露し続ける人はあまりいないし、いたとしても、第三者がそこに寄り添い続けるということは、ほぼあり得ない。
    ところが、この日記には、それがある。

    いつもと違う緊張感が、高山さんのベテランとしての実力や、人としての強さを、却ってくっきり炙り出す。
    弱さ、不安、失敗、困難。
    その時を、彼女彼らはどうやって受け止めて対応してきたのか。「結果」はその蓄積でしかない。


    緊張感が、通奏低音のように響き続ける日記の中で、少しずつ、高山さんが「呼吸を始める」かのような記述が増えていくのが印象的だ。

    暫く不在にしていた夫のスイセイさんが、帰宅するシーン。
    ―スイセイが帰ってきたら、家も息をしはじめた。私も、息をしはじめた……ような感じ。(P30 )

    ―きのうは、現場での見の置き方が、ようやくひとつ分かったような気がした。「クウクウ」(引用注:高山さんが昔シェフをしていたレストラン)の大忙しの厨房のときみたいに、おへその下に気合が入った。(P80)

    パフォーマンスを出せる必要条件は何か。
    普遍的な言葉で一言で表すなら、「ニュートラルでい続けられる」ことに尽きると思う。
    どんなにパニックでも、瞬時に基本ポジションに自分を戻せること。
    実力の高低や経験の多少は、パフォーマンスの客観的な上限値を定めるが、その時出せる最高の力を出せるか否かについて、これ以外にないと思う。ニュートラルであり続けること。おへその下に力が入っていること。
    あるジャンルに関して、自分がそういう状態でいられるかどうか。その後の成長に決定的な影響を与えることは間違いない。
    料理のベテランである高山さんも、そうやってキャリアを積んで来られたんだ、ということがリアルに伝わる。

    ―重しがお腹のそこに座り、アタフタすることは一度もなかった。(中略)重心が下にあると、足さばきがよくなってスイスイ動ける。(p123)

    中庸、ニュートラル、丹田。
    東洋のモノの考え方によく出てくるキーワードだが、実際のところ、生き方も、仕事も、基本はこれしかない。
    「心の置き方」という言葉も出てくる。
    高山さんの日記は、いつも率直で、媚やブレがない。
    それは、高山さん自身の仕事をも、当然貫いている「心の置き方」そのものなのだろうと思う。
    高山さんの料理、文章、実力、信頼、仲間。
    その全てに私は憧れているけども、本書を通じて、その芯なるものに、少しの間触れることができて、読んでいることがとても幸せだった。同時に背筋が伸びた。

    最後に木皿泉(妻鹿さん、和泉さん)さんとの対談が出てくるが、それも必読。
    高山さんと文章について。というか、文章のほうを好む人と、喋るほうを好む人の違いについて。
    私自身、明らかに前者なのだが、妻鹿さんが「喋るほうがホント(の自分)っていう人のほうが多いと思う。(文章については)ちょっと嘘になっちゃうのがほとんどでは」とおっしゃっているのが、おもしろくて目からウロコかつ、納得。

    私は(プロのレベルではないけども)文章が書けてよかった、と、ちょっと誇りにも思った。

  • ドラマ”昨夜のカレー、明日のパン”の料理を担当した高山なおみさんの、撮影に関わる日々の記録です。このドラマのファンなので買ってみました。
    ”きえもの”と言われる、普段の美味しく食べる料理とはまた違う撮影用の お料理。その慣れない仕事に戸惑いながらも奮闘している姿が素敵でした。
    高山なおみさんの本は初めて読みましたが、とても読みやすい文章で、さくさく読めました。
    ドラマの撮影の様子も分かり、ドラマのファンの方ならば、とても楽しめる内容になっていると思います。

  • ドラマ「昨夜のカレー、明日のパン」撮影現場でスタッフら大勢の仲間と心震わせ駆けぬけた4ヵ月を、日記とスケッチ、写真で綴る。特別対談=×木皿泉、ドラマに登場の総菜レシピ13品付!

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著者プロフィール

1958 年静岡県生まれ。料理家、文筆家。レストランのシェフを経て、料理家になる。におい、味わい、手ざわり、色、音、日々五感を開いて食材との対話を重ね、生み出されるシンプルで力強い料理は、作ること、食べることの楽しさを素直に思い出させてくれる。また、料理と同じく、からだの実感に裏打ちされた文章への評価も高い。著書は、経験や体験に裏打ちされた料理書や料理エッセイのみならず紀行記や日記、絵本など多数。

「2023年 『帰ってきた日々ごはん13』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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