東西不思議物語 (河出文庫 121A)

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著者 : 澁澤龍彦
  • 河出書房新社 (1982年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309400334

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東西不思議物語 (河出文庫 121A)の感想・レビュー・書評

  • 長年、読んでみたいなあ、と思っていた人の本を、初めて読むのは愉しいものです。
    それで、期待に違わず楽しめると、なおのこと。
    だんだん歳を取ってくると、「あんまり悠長に先送りにしていられないなあ」と、思うので。
    恥ずかしながら読んだことありません、という系統の作家さん、読んでいきたいなあ、と。

    どうやら、1976年に新聞に連載された文章のようです。
    澁澤龍彦さん、当時48歳くらいのようですね。

    それなりに裕福な家庭に生まれ、エリートで、兵隊に行く前に戦争が終わり、東大仏文を経て新聞などへの就職は失敗。
    大学院に進んで肺病を病み。就職をあきらめて、翻訳・評論等の文筆業に。
    サドの翻訳紹介、ダークサイドな人間性やらセックスの研究や紹介、かと思えば博覧強記な教養を素に、硬派な評論エッセイ、そして晩年は小説まで。
    三島由紀夫さんとの交流や、サドやら悪徳の栄え裁判やらで、なんとなくドロドロした印象がありますが、チョット変態さんだったのかもですけど、すごいインテリにして文章家だった。。。

    と、まあ。
    昔から、本屋さんで、澁澤さんの本は、背表紙とか解説とか、いっぱい見ていたので。上記のようなことは知っていたんですが。
    なかなか、なんとなく読む機会が無くて、実は今回が、初・澁澤龍彦さんでした。

    もうとにかく、お化けやら妖怪やら超能力やら、そういうことを、楽しそうに紹介するエッセイです。
    一つ一つ、そんなに執拗に書き込むわけじゃなくて。
    「ポルターガイスト現象っていうと、西洋だとこういう例がありますね。ところで日本だと、こういう書物にこういう記述があって、同じような現象なんですね」
    と、いうくらいの感じの短文。それが、49個並んでいる。
    割と気軽にすらすらっと楽しめます。

    ●肉体から魂が出て、また戻る、みたいな現象
    ●頭が二つある蛇
    ●鏡の不思議な世界
    ●人形が人格を帯びるみたいなこと
    ●屁で音楽を奏でる芸人
    ●ウブメという妖怪?産む女なのか、鳥なのか
    ●戦国時代の幻術士・果心居士
    ●天狗の話
    ●人造人間の話
    ●不死の人
    ●黒ミサ

    などなど、と言った物事を、単純に解説したり。
    あと、「×世紀の×国ではね、こういう書物にこういうことが書いてあって」
    と、いうような、「へ~」っと言うオモシロ話が満載。
    それが、タイトル通り、古代から現代までの、日本、中国、朝鮮、欧州、アメリカ、などなどの事例が実に博覧強記。
    一方で、「だからなんなのさ」というと、それ以上でも以下でもありません。
    ある意味気楽な趣味の本です。
    僕は、特段に不可思議現象のマニアではないんですが、最近、水木しげるさんを読んだりしていて、「そういうのも面白いよなあ」と、とっても浅いレベルでの好奇心がちょこっとあったので。
    (割とこれまで、基本はリアリズムの理性主義な読書が多かったので。ちょっとこういうのも、面白いですね)

    一方で、澁澤龍彦さんの文章っていうのは、なるほど、実にさりげなく上品にして簡潔。日本語使いとしての深い実力は、かいま見れた気がします。
    なるほど、小説家っていう訳じゃない文章なんだなあ、と思いました。
    何ていったらいいか、自己主張というか、目立とう精神という、書き手の自身のタレント意識性みたいなものが、薄いなあ、っていうか。
    小説家さんの小説じゃない文章って、やっぱりそういうものが感じると思うんですけど。

    と言って、新聞ジャーナリズム的な文章とも違うんですけど。
    やっぱり、平易透明な評論的な文章っていいいますか。
    そういう、文章レベルでは奇をてらわない上に、とにかく別段、衒学的じゃなくて、楽しそうに淡々と、アヤシイ雑学を棚から出して、見せてくれます。
    そういった、肩の力の... 続きを読む

  • タイトルにある通り古今東西の怪奇な話を集めた本。

  • 古今東に数多ある不思議の物語を紹介する本。元々新聞に連載されていたものなので、軽い読み物として書かれていますが、背後に膨大な知識が広がっていることをうかがわせます。また、出展となる書物も紹介されているので、ただ単なる雑学書と違う趣きがあります。そして読んでみたい本が連綿と広がり増えていくのです。
    ここで紹介されている事項は、ポルターガイストや幻術、栄光の手や天狗、百鬼夜行などなどお馴染みのものも多く、ひとつの種から様々な花が咲くものだと思い知らされます。
    澁澤龍彦の本は興味もちつつ余り手を出していませんでしたが、これを機にどんどん読んでいきましょうかね。

  • 鬼神を使う魔法博士のこと/肉体から抜け出る魂のこと/ポルターガイストのこと/頭の二つある蛇のこと/銅版画を彫らせた霊のこと/光の加減で見える異様な顔のこと/未来を占う鏡のこと/石の上に現れた顔のこと/自己像幻視のこと/口をきく人形のこと/二人同夢のこと/天から降るゴッサマーのこと/屁っぴり男のこと/ウツボ舟の女のこと/天女の接吻のこと/幽霊好きのイギリス人のこと/古道具のお化けのこと/鳥にも化すウブメノこと/リモコンの鉢のこと/キツネを使う妖術のこと/空中浮揚のこと/トラツグミ別名ヌエのこと/幻術師果心居士のこと/天狗と妖霊星のこと/悪魔と修道士のこと/二度のショックのこと/迷信家と邪視のこと/女神のいる仙境のこと/神話とSF的イメージのこと「栄光の手」のこと/骸骨の踊りのこと/天狗にさらわれた少年のこと/石の中の生きもののこと/海の怪のこと/隠れ蓑願望のこと/破壊された人造人間のこと/腹のなかの応声虫のこと/百鬼夜行のこと/アレクサンドロス大王、海底探検のこと/無気味な童謡のこと/大が小を兼ねる芸のこと/もう一人の自分のこと/ガマが変じて大将となること/女護の島のこと/不死の人のこと/遠方透視のこと/黒ミサに必要なパンのこと/さまざまな占いのこと/百物語ならびに結びのこと

  • 東西の不思議譚を集めたもの。野暮なことは言わずに楽しむ。一番不思議なのはこういうことを考えだす人間の想像力かも知れない。タイトルに興味を惹かれた章から読める。

    1 鬼神を使う魔法博士のこと
    2 肉体から抜け出る魂のこと
    3 ポルターガイストのこと
    4 頭の二つある蛇のこと
    5 銅版画を彫らせた霊のこと
    6 光の加減で見える異様な顔のこと
    7 未来を占う鏡のこと
    8 石の上に現れた顔のこと
    9 自己像幻視のこと
    10 口をきく人形のこと
    11 二人同夢のこと
    12 天から降るゴッサマーのこと
    13 屁っぴり男のこと
    14 ウツボ舟の女のこと
    15 天女の接吻のこと
    16 幽霊好きのイギリス人のこと
    17 古道具のお化けのこと
    18 鳥にも化すウブメのこと
    19 リモコンの鉢のこと
    20 キツネを使う妖術のこと
    21 空中浮揚のこと
    22 トラツグミ別名ヌエのこと
    23 幻術士果心居士のこと
    24 天狗と妖霊星のこと
    25 悪魔と修道士のこと
    26 二度のショックのこと
    27 迷信家と邪視のこと
    28 女神のいる仙境のこと
    29 神話とSF的イメージのこと
    30 「栄光の手」のこと
    31 骸骨の踊りのこと
    32 天狗にさらわれた少年のこと
    33 石の中の生き物のこと
    34 海の怪のこと
    35 隠れ蓑願望のこと
    36 破壊された人造人間のこと
    37 腹の中の応声虫のこと
    38 百鬼夜行のこと
    39 アレクサンドロス大王、改訂探検のこと
    40 不気味な童謡のこと
    41 大が小をを兼ねる芸のこと
    42 もう一人の自分のこと
    43 ガマが変じて大将となること
    44 女護の島のこと
    45 不死の人のこと
    46 遠方透視のこと
    47 黒ミサに必要なパンのこと
    48 さまざまな占いのこと
    49 百物語ならびに結びのこと

  • 本書はかつて毎日新聞の日曜版に連載されていたのを纏めたもの。そうしたメディアであったために、いつもの澁澤に比べると、ペダントリーの拡がりにはやや乏しい。だが、まあそれも仕方がないといったころか。タイトルに東西とあるように、西欧の、はたまた日本や中国の文献が多数登場してくるが、感心するのはこんな文献までと思われるようなものまで網羅していること。今回は、特に日本の古文献にそれが目立つ。木村兼葭堂『兼葭堂雑録』、大田南畝『半日閑話』、大江匡房『狐媚記』、洞院公賢『拾芥抄』など、まさしく縦横無尽だ。

  •  主に西欧と日本に伝わる不思議な話を比較紹介したエッセイ。不思議な話は怪談だったり、近年の都市伝説的なものだったり、神話伝説に類するものだったり、歴史上のエピソードだったりとさまざま。二頭蛇、うつほ舟、姑獲鳥、天女の接吻、邪視、栄光の手、死の舞踏、神隠しなどなどと話題は多岐にわたる。
     澁澤のエッセイのうちでは、かなり軽めで読みやすい方だと思うが、自分には少し物足りなかったです。洋の東西を問わず、似たような伝承や出来事が記録され、伝えられてきたというのは、思うだに不思議な感じがする。結局のところ、人間に想像できることというのは、国や文化は違えど大同小異ということなのかもれない。

  • 前口上にもある様に『不思議な物語を楽しんで欲しい』と言うのが文章から伝わってくる。肩肘張った感じが無く、適度に力が抜けている印象があり、その著者の気持ちが私をリラックスさせ、物語を尚面白く読めたように感じる。多分、澁澤龍彦自身、これを書いていて楽しんでいたんじゃないだろうか?そう思う内容だった。澁澤龍彦にしては珍しく、日本の不思議な物語が多く掲載されているように思う。挿絵が本のイメージと合っていて、文章の面白さとの相乗効果によって、尚面白く読めたと思う。これが新聞に掲載されてたのが不思議でならないけど。

  • 新聞連載コラム集なので、各章気にすること無く気軽に読める。
    外出時(あまり無いが)のお供。

  • 長男が学校文化祭の古本市でこれを買ってきたのを見て”親子だ”と思いました(笑) 内容は古今東西の不思議な話を簡潔に紹介するという感じ。一つ一つが短いのですぐに読めます。眠れぬ夜になどいかが?

  • 遠く朧な記憶を繙くと……
    高校生のときに初めて買った澁澤本がこれだったかも。
    古今東西の摩訶不思議な事物を取り上げた、
    新聞連載のコラムを纏めたもので、
    一話一話が短くて読みやすい、不気味でユーモラスな奇譚集。
    「天から降るゴッサマーのこと」の、
    ゴッサマー(gossamer)という奇妙な響きの単語が頭から離れない……。
    「ウツボ舟の女のこと」のお題は、
    後年「うつろ舟」として小説に結晶しましたね。
    それにしても、挿絵も凄いインパクトがあったなぁ。

  • 東西の怪談や神話の共通点や科学的考察からの比較。豆知識的小噺が満載で、原著に当たりたくなること請け合い。新聞への掲載ということで、シブタツの本領は押さえ気味だが、一部の官能的表現は醍醐味であります。

  • 思っていたよりずっと読みやすかった。古今(1980年あたりだけど)東西の怪奇譚にまつわるエッセイ集。博識だなー。耳袋なんかは私も読んだのに、どんな話があったか全然覚えていないし。ただの読み腐れだな。

  • 何故か私の周りには澁澤好きが多い。多いって2人位なもんだけど。…これ中学校とか高校時代に読んでたらきっとただでさえこじらせてた中二病がもっとこじれてたんだろうなぁと思わせる内容で何て言うかとても面白かったです。元は新聞のコラム?か何かだった様で、結構読みやすい。

  • 短い、澁澤さんのはもう少し長いのが好みである。
    すぐ終わってもったいない。

  • 奇談のアンソロジーで、澁澤版「妖異博物館」と言える。実際、いくつかのエピソードは「妖異~」にも収められているものである。
    「妖異~」よりは軽く、読みやすい印象。

  • 平易な文で読みやすい。

  • 不思議な出来事にまつわるエッセイ集だけれど新聞に連載されていただけあって噛み砕いたような分かりやすい本。
    澁澤好きには逆に物足りない感がちょっぴりありますが。
    話は簡潔で読みやすかったけれど文字が小さくて読み辛かったのが残念。

  • 気になっていた作家のひとり澁澤龍彦。妖しい、耽美的なイメージがあったのだけれども、読みやすい語り口で書かれたエッセイでした。東洋・西洋と普段あまり一緒にされない妖怪たちが並んで登場するので、発想の同一性や違いなどが考えさせられる気がする1冊。

  • [ 内容 ]
    ポルターガイスト、UFO、お化け……。
    世にも不思議な物語をこよなく愛する著者が、四十九のテーマをもとに、古今東西の書物のなかから、奇譚のかずかずを選びぬいた愉快なエッセイ集!

    [ 目次 ]


    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 本当は現実主義者なのに、不思議な話を求めて怪しげな本に熱中するようになったのは、この作品を読んでしまったせいかも。

  • ポルターガイストとか姑獲鳥とか不思議な話49個入り。
    こういうの好き。

  •  各話三、四頁ほどの不思議で幻想的な伝承が、四十九話収録されたエッセイ集で、澁澤龍彦氏のペダンティックな(と云っても、知識をひけらかすというよりは、知識の宝庫といえるような)性格が十二分に伝わってくる本である。

     洋の東西を問わず、数多くの不思議な物語がちりばめられていて、目眩むような感覚を覚える。ただ、どの物語も作者の軽妙な語り口というか筆致で進んでいき、物知りな知人に「こんな話もあるよ」と面白い話を聞かせてもらっているような感じなので、何の予備知識がなくとも非常に楽しく読めるところがいい。しかも、どこから読んでも差支えがない。手持ち無沙汰な時、お風呂で軽く何かを読みたい時などには、うってつけである。

     この『東西不思議物語』には、私の興味をそそる話題がふんだんに盛り込まれているのが大変嬉しい。私は幽霊だとかお化けだとかを、子供のような信じ方で信じているわけではないけれども、やはり、一個のか弱い人間として、何か自分の意思だけではどうにもならぬ運命を感じたり、目には見えぬけれども侵してはならない神的存在や鬼神、連綿と語り継がれてきた禁忌といったものに敬意を表しながら生活している。そういう、語り継がれてきたけれども目には見えないモノ、科学的な解決方法だけでは説明のつかないモノ達が、この本にはひしめき合っているのである。

     安倍晴明、双頭の蛇ことアムピスバエナ、ウツボ(ウツロ)舟、姑獲鳥(うぶめ)、飯綱(いづな)の法、果心居士、妖霊星(ようれぼし)、ダンス・マカブル、童謡(わざうた)、一言主大神(ひとことぬしのおおみかみ)…etc.
    好きなモノを挙げればきりがないが、その私の関心に、澁澤氏は縦横無尽に、あるいは融通無碍にその広汎な知識を駆使して答えてくれているようである。

     本書に含まれている物語は、無論、あまねく世界に星の如く散らばっている不思議な物語のほんの一端に過ぎないが、それでも、世の中にはこんなに空想をかき立てる伝承があるのか、と素直に驚いてしまうのである。そして、それら不思議な伝承や伝説は、やはり古今東西の作家達の創作意欲をも促進するのであろう。ラフカディオ=ハーンや、小栗虫太郎、夢枕獏や京極夏彦らが、かてて加えてなによりも澁澤龍彦自身が、そういった物語に魅せられて様々な作品を書いている。

     『東西不思議物語』を読むと、それらの物語の多くがまだ我々の生活の中に確かに息づいていて、ともすれば、日常生活のあれやこれやで疲れてしまいがちな空想力に、羽を与えてくれるような心持ちがするのである。

     本書は挿画もなかなかに良い。不二本蒼生(ふじもとあおい)氏の、細かい点描や描き込みを施した濃厚なイラストレーションが、澁澤龍彦氏の作品世界を的確に表現していると思う。


  • 「不思議物語の伝説は、歴史と共に、古代から脈々と流れているといっても良いであろう」(「前口上」)。ポルターガイスト、言葉を話す人形、百鬼夜行、姑獲鳥など、古今東西の世にも不思議な物語49編。著者が最も心ひかれたテーマが満載、軽妙な語り口で、驚きと夢とシンボルの一大宝庫へと読者を誘うエッセイ集。

    -----

    洒落ているのが良い。

    (2009.09.24)

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