セバスチャン (河出文庫 ま 1-2 BUNGEI Collection 初期作品集)
- 河出書房新社 (1992年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309403373
感想・レビュー・書評
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大学を中退した麻希子が夢中なのは、かつての同級生の女の子。
恋愛ではない、肉体関係もない。それは主人と奴隷、いや世界の全てだった…。
初老の執事が思い浮かぶタイトルですが、聖セバスティアヌのことだそうです。
ラストに向けてぐっと盛り上がり、いい方向に着地するかと思いきや放り出された。くそぅ…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
28.7.23読了。
松浦さんの書く頭良さそうな文章が好き。
巻末の対談は頭良すぎて何言ってるのかよくわからなかった。 -
大学の同級生だった背理との主従関係に身を置き、彼女の奴隷でいることに喜びを見出す麻希子。彼女はマゾヒスティックな官能を求めながらも、背理と肉体的なつながりを持とうとは思わない。
そんな彼女の前に、跛を自分のアイデンティティとしている少年、工也が現われる。二人は互いに惹かれ合うが、決定的な溝は埋められないまま…。
描こうとしているものがいまいち理解できなかった私。巻末(?)の松浦氏×富岡幸一郎氏の対談録を読んで少し分かったけれど、う~ん…。 -
自分を女と思った事もなく只の肉体、物であると感じる麻希子。その麻希子を被虐的に扱い超然と主人として振る舞う背理、レズビアンの律子、といった3人の女に左足に障害を持つ工也という20歳ロック少年が出逢い意気投合する。工也と麻希子が肉体的に交わろうと試みるラスト近くで工也が自分をベルトで打ってくれと頼み、サディストとして振る舞う麻希子はその違和感と打たれる工也に嫉妬し性的関係を結べない。背理が妊娠しひとり置き去りにされる麻希子はこれからも女というジェンダーに固執しない違和感も持ち続けて生きていくのだろうか。
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裏表紙
〈「サムバディ・コールド・ミー・セバスチャン」〉。不自由な肉体を生存の根拠として被虐的な“私”を生きるロック少年と“「主人と奴隷」ごっこ”に身を置き、倒錯した愛の世界に彷徨する女性たちが織りなす危うい日々を、鮮烈に描く。 -
まちがえて2回買った。
読んでもすぐ忘れるから。
これ悪意がでちゃってる。 -
松浦さんらしさは出ているものの、惜しいという気持ちが拭えない。
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河出文庫版のP32からはじまる、駐車場で少年と青年がふざけ合い、蹴りあうシーン。ここだけでもまず立ち読みしてください。
エロスっていうのが性行為いがいからも匂い立ちうるのだということを痛感します。
そこが気に入って、SM(肉体的、精神的ともに)にちょっとでも興味のある人は、ぜったいに気に入るはず。文庫裏表紙のアオリなんか信じずに買ってください。 -
初期の作品らしく、少し生硬くときに理屈っぽくもあるのがかえって面白い。やはりこの人はなかなか才気ばしっている。
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あたしにとってのSMってこういう感じ。
寒い季節から始まる、かなり温度感のある作品。