千年の愉楽 (河出文庫 な 1-3 BUNGEI Collection)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309403502

感想・レビュー・書評

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  • 2020/1/10 read up

  • 中上健次の作品は、血と地に縛られてるのだと思ってましたが、そうか、むしろ解き放つものなのだと思いました。

  • 感覚的にやや距離を感じた物語でした。血筋によって運命付けられているというその諦念には哀れも感じるが、取り上げた子らの生き様を見るオババの視点が面白い路地サーガ。

  • 本作品には鬼が宿る。大江健三郎や三島由紀夫など読んだ瞬間に圧倒的才能を感じさせる天才が稀に居るが中上健次もその一人であろう。彼が「路地」と呼ぶ所謂部落出身者の湧き出る熱情を血で綴るように中本の一統の5つの物語を紡ぐ。説明的な読者への配慮は一切なく濃密で息苦しい程の言葉の茨が読者を捉える。

    極めて優れた表現だと思うが筆者がいう「高貴で澱んだ血」を受け継ぐ者たちをオリュウノオバを軸に暴力や女性蔑視の表現を以て語られる。時空間や常識の概念に捉われず「高貴で澱んだ血」に縛られる。

    芥川賞受賞作「岬」も凄い作品であったが本作はそれをも超えている。この作品がなんであったかは説明が難しい。ぜひ読書体験いただきたい。

  • 夢かうつつか、不思議な、物語が
    不思議な文体で語られていく。
    とにかく、濃密。

  • ネットがこんなに発達していない時代、こういう本は読者一人一人の心の中の、誰とも共有されない深い深い部分にしまわれていたのじゃないかな。
    他人の感想が聞きたいし語り合いたい気持ちもするけれど、それをしてしまえば何かがすっと手の中から飛んで行ってしまいそう。
    だからどんなに狂おしく興奮した部分があったとしても、それを感想に記すことは出来ない。
    でも、たまらない。本当に。

  • 2015年9月20日に開催された第1回ビブリオバトル全国大会inいこまで発表された本です。予選E会場発表本。

  • ガルシア・マルケス。
    青山真治。
    草枕。
    国文学のひとつの臨界点。

  • 性と暴力のみで、断念。暗さと重みをひきよせるような、わたしの時間を停滞させるような書き方

  • 美しさ=早世である
    女をよろこばせる⇒天性
    描写がとても官能的である
    理性にではなく本能に訴えるような表現だ
    淡々と悦に達し死に向かっている

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著者プロフィール

(なかがみ・けんじ)1946~1992年。小説家。『岬』で芥川賞。『枯木灘』(毎日出版文化賞)、『鳳仙花』、『千年の愉楽』、『地の果て 至上の時』、『日輪の翼』、『奇蹟』、『讃歌』、『異族』など。全集十五巻、発言集成六巻、全発言二巻、エッセイ撰集二巻がある。

「2022年 『現代小説の方法 増補改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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