夏期休暇 (河出文庫 な 7-7 BUNGEI Collection)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309404066

感想・レビュー・書評

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  • 夏、少年、記憶…自分好みのテーマが盛り込まれたとても好きな作品だった。

    どこか淋しさをまとい今にも儚く消え去ってしまいそうな少年たち。

    なんとなく全体的にモノクロームの世界を感じる。
    なのに海の碧さ、白い波、木半夏(ぐみ)の実の紅い硝子玉のような輝きが鮮やかに目に浮かぶ。
    遠い記憶。封印が解かれるかのようにあの夏の記憶が蘇っていく時間。
    寄せては返す波のように蘇っていくあの時。
    押し寄せる残酷という名の波。

    あぁ、いっそのこと全ての記憶を波がさらってくれたらいいのに。

  • ちはやと葵の仲が潔癖で好き。やっぱりあおいは死んだのでしょうか。長野まゆみの少年は喪失の影を帯びているので生命感がなくてきれいだと思う。秘密の場所で飛び込むシーンは岩に水の輝きが映るのまで見えるようですごい好き。

  • ほら!!!!!!!やっぱり長野まゆみ作品の兄貴ってだいたいしんでるんだよ!!!!!!!!!!!!!!
    オチのよく分からない感じまで含めてが長野まゆみの様式美

  • 兄の幻影に執着する千波矢と、彼に謂れ無い嫉妬の感情をぶつけられるうちに絆されていく葵。
    気がつけば飼い犬や姉とも鏡写しの関係を築いてしまい、葵は青と同化してしまう。
    兄弟姉妹間の愛とも業とも言えない、諦めて呑み込むしかない瞬間の苦々しさが、まるで呪いを受け入れるみたいだと思った。
    タイトルの響きに反して物騒な話だった…。

  • 面白かったです。
    千波矢と葵というふたりの少年が中心ですが、桂という葵の姉もよく出てくるのが珍しいと思いました。
    自分のせいで亡くしてしまった兄を慕う千波矢と、千波矢に虐げられながらも気になる葵の関係が切ないです。
    葵が悲しすぎました。
    次に、海から千波矢の帽子を持ってくるのは葵なのかな。
    荒れた海の轟きが聞こえてくるお話でした。

  • 河出文庫文藝コレクション
    文庫書き下ろし作品。
    文庫にしては文字数が多かったのか、余白も文字で埋まっている印象。
    長野作品って余白とか、紙質とか、字体とかも大事だから、本を分厚くしたくなかったのかなーと。

  • 話の設定や描写が良かった。しかし後味悪……
    寸前まで一夏の切なくもまだ爽やかな物語だったのに…まさにら長野先生ワールドでした。(いい意味で)
    チハヤくん全く変わらないし葵くんは変わったけども命が…結末に突き落とされた。
    チハヤくんは今度は葵くんを追って一緒に海に行くかな。

  • '95当時の読書メモより。
    青と葵を同じ理由で死なせてしまった千波矢がどうなったのか知りたい。

  • 夏の消え入りそうに繊細な少年2人(3人)の物語 すこし泣きました

  • ちはやは、この後どうなってしまうの

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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