小説から遠く離れて (河出文庫 は 5-2)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 108
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309404318

感想・レビュー・書評

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  • 昭和の終わりに出版されたいくつかの長編小説からは
    なぜか共通の構造が見いだされた
    それは、「宝探し」を「依頼」されて「代行」する物語だ
    なぜそういう現象が生じ
    あまつさえ売れてしまったのかといえば
    要するに日本の文学が痩せ細っているからだ
    …という話です
    上意下達の社会システムになんの疑問も持たない作家たちは
    無意識のうちにそのような既存の物語をなぞっている
    けしからんことだ
    小説というのはそんなもんじゃない
    システムではなく人間を書くのが小説である
    自覚的な少数の作家たちは
    「宝探し」を「自分探し」に置き換えて
    システムに左右されない人間を創造しようとした
    その中に生まれたのが
    異化という名の言葉遊びで持続する長編スタイルだった
    それは真に自由な人間のありようなのだ

    これがニューアカ時代の文芸批評って感じですね
    まあ僕には異論アリアリで
    著者が批判的に論じている「宝探し」すべて
    徒労に終わっている点を
    もっと重視すべきでないかと思うんだけど

  • 俎上に挙げられているのは村上春樹、井上ひさし、丸谷才一、村上龍、大江健三郎、中上健次、石川淳の小説。
    評論としては面白かったが、読み方に関しては首を傾げるところもあり。

  • ミラノ、イタリアなどを舞台とした作品です。

  • どうもお世話になりました

  • 「説話的構造」の観点からいくつかの小説を検討していくわけだが、そんな見方もできるねぇという程度か。

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著者プロフィール

蓮實重彦(はすみ・しげひこ):1936年東京生まれ。60年東京大学文学部仏文学科卒業。同大学大学院人文研究科仏文学専攻修了。65年パリ大学大学院より博士号取得。東京大学教養学部教授(表象文化論)、東京大学総長を歴任。東京大学名誉教授。仏文学にとどまらず、映画、現代思想、日本文学など多方面で精力的な評論活動を展開し続けている。著書に『表層批評宣言』『凡庸な芸術家の肖像』『映画の神話学』『シネマの記憶装置』『映画はいかにして死ぬか』『映画 誘惑のエクリチュール』『ハリウッド映画史講義』『齟齬の誘惑』『映像の詩学』『『ボヴァリー夫人』論』『伯爵夫人』『ジョン・フォード論』ほか多数。

「2023年 『ゴダール革命〔増補決定版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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