契丹伝奇集 (河出文庫 な 6-3)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309404677

感想・レビュー・書評

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  • 中国文学者による中華幻想短編小説集。
    主に中国からアラビアにかけて、
    我々から見て西方の地域の、
    少しあるいは遥か昔の世界を舞台にした奇妙な物語の数々。
    例えば澁澤龍彦が書いた小説には、
    登場人物に独特の押しの強さがあって、
    テーマやストーリー展開がクールな割りには
    読んでいて生身のリアリティが感じられるが、
    この本に収録された作品は、
    遺跡から発掘された美しい絵空事といった印象。
    面白かったけれど、
    手が込んでいる割りに物足りない感が否めない。
    しかし、
    一番好みに合ったのは「掌編四話」と題された、
    1981~1982年に『夜想』に掲載された四つの短い話、
    特に、遺跡発掘に成功して帰宅した伯爵を
    待っていたのは愛妻の死で……という「考古綺譚」。
    これは一つ前に配された、やや長めの、
    タクラマカン砂漠を越えて遺跡探査に向かう
    ヨーロッパ人グループの
    苦しみを描いた「敦煌」の後日談にもなっていて、
    ニヤリとさせられた。

    解説が高山宏&池内紀の二本立てという豪華さではある。

  • 契丹とか渤海とか言う地名に、ロマンを感じてしまうのでした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「期待通りの美しさでした」
      悲しいけど日本だと、湿度が高く残らないんですね。
      「私も平山郁夫は大好きです!」
      何て言うのでしょうか、静寂の中...
      「期待通りの美しさでした」
      悲しいけど日本だと、湿度が高く残らないんですね。
      「私も平山郁夫は大好きです!」
      何て言うのでしょうか、静寂の中に塗り込めた重さみたいなモノに圧倒される。やっぱり風土に合った質感(乾いた感じ)が、日本を忘れさせて呉れるのかも知れません、、、
      「大学時代に法隆寺を訪れた時」
      そうでしたか、同じ歳の頃(年代は遡ると思いますが)、聖徳太子オタク?だった私は、法隆寺や奈良には何度も足を運んだのですが、、、「飛天」のコトは記憶からスッポリ抜けてしまっています。
      2012/04/25
    • 佐藤史緒さん
      仰るとおり、平山郁夫の作品の乾いた質感、悠久の時の流れを感じさせる静寂などは、とても魅力的だと私も思います。
      飛天の壁画は、玉虫厨子とか仏...
      仰るとおり、平山郁夫の作品の乾いた質感、悠久の時の流れを感じさせる静寂などは、とても魅力的だと私も思います。
      飛天の壁画は、玉虫厨子とか仏像とかに比べるとはるかに地味なので、覚えてないのが普通だと思います。私の目にとまったのは本当に偶然ですね。購入したガイドブックは既に手放してしまったので詳細な情報はわからないのですが、ウィキペディアで「法隆寺金堂壁画」で検索すると、ちょっとだけ飛天の写真をみることができます。時間があれば、どうぞご覧になってみてください。
      2012/04/27
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「はるかに地味なので」
      そっか~、「日出処の天子」の扉にもありました。それから平山郁夫も描いていたのですね。久々に観に行きたくなりました。。...
      「はるかに地味なので」
      そっか~、「日出処の天子」の扉にもありました。それから平山郁夫も描いていたのですね。久々に観に行きたくなりました。。。
      2012/05/01
  • 好き過ぎて、ものすごく焦がれているのに、手元にはない。それが時々、どうしようもなく哀しい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ものすごく焦がれている」
      じゃぁ買っちゃいなさいヨ。。。好きな本は、気が向いた時に、パラパラ捲って少し読むのが良いのですからネ!
      「ものすごく焦がれている」
      じゃぁ買っちゃいなさいヨ。。。好きな本は、気が向いた時に、パラパラ捲って少し読むのが良いのですからネ!
      2012/12/06
    • こーがさん
      普通の本屋で売ってればね。アマゾンのマーケットプレイスなら買えるけど、それなら私は古書店で直に出会いたいので。探し続けていれば、きっといつか...
      普通の本屋で売ってればね。アマゾンのマーケットプレイスなら買えるけど、それなら私は古書店で直に出会いたいので。探し続けていれば、きっといつか出会えるはず。
      2012/12/07
  • 女俑
    耀変
    蜃気楼三題
    青海〈クク・ノール〉
    敦煌
    掌篇四話
    翩篇四話

    著者:中野美代子(1933-、札幌市、中国文学)
    解説:高山宏(1947-、岩手県、英文学)、池内紀(1940-、姫路市、ドイツ文学)

  • 『あなたの罪は、旅人であること、そのことだけなのです。あなたには、信じられないほどの神の姿があるのです。あなたは、そのうちのどの神をも知らなかったのです』(青海)。漢代の東方朔、宋代の市舶司趙汝カツ、チベットのソンツェン?ガンポに降嫁する公主、タラス河畔の戦いで捕虜となった杜環…実在の人物に想をえた奇想をたのしみ、不条理なル?ツァン国をさまよう隊商、そして宋末元初と現代日本を行き来する、耀変の何度も割れる器のきらびやかなイメージが目をひく。

  • 初刊単行本の造本がスンバラすいですが中身ももちろん素晴らしい

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著者プロフィール

1933年生まれ.
1956年,北海道大学文学部中国文学科卒業.
北海道大学文学部助教授.
主 著:
砂漠に埋もれた文字—パスパ文字のはなし (塙書房,1971)
海燕(長編小説) (潮出版社,1973)
中国人の思考様式—小説の世界から (講談社,1974)
カニバリズム論 (潮出版社,1975)
悪魔のいない文学—中国の小説と絵画 (朝日新聞社,1977)


「1979年 『辺境の風景 日本と中国の国境意識』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中野美代子の作品

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