学校ともだち (河出文庫 な 7-15 BUNGEI Collection)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (167ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309404707

感想・レビュー・書評

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  • 書簡体小説、ならぬ”学級日誌体小説”
    長野先生って、わりとこういう…斬新なことやってるよな
    でもそれもやっぱり少年たちが書いてるって設定なのが長野まゆみだよな~~

  • 面白かったです。
    少年たちの日々と世界が、学級日誌を通して描かれています。
    学校ともだちとの生活のなかで悩みながらも成長していく少年たちが眩しい。
    そして言葉の端々から浮かび上がってくる、破壊されつつある世界。紫外線の影響で夏期は外出規制があり、普段の外出もままならない。5年後には『選抜』という制度もある…。食料などにも問題があるようです。仄かなディストピア感、好きです。
    担任のオヅ先生が素晴らしいです。厳しくも優しい、理想的な先生だなぁ。

    「きょう解決できないことがあっても、あしたはうまくゆくかもしれません。そう考えるようにいたしましょう」

  • 小学生くらいの男の子たちの学級日誌。子供たちが良くも悪くもとても素直で、真っ直ぐ育っていて、また、指導する先生も的確なコメントなので、パーフェクトに眩しい。しかし読み進めていると、どうもこの世界の環境は強紫外線や酸性雨などに晒され、何かと問題と制限の多い厳しい世界だと分るが、そんな危うい中でも子供たちは成長して行くのだと印象深いものになっている。

  • 1年間の学級日誌を通して、成長していく少年たちの姿を追うことができるお話。それぞれが抱える悩みや、わだかまりも前向きに話し合いで解決していこうとする姿には勇気付けられる。
    トィとシュウイチにはこれから仲良くなっていってほしいなぁ。

    ……そんな日常とは裏腹に学校の外の環境は悪化する一方…。謎のシェルタア・シティやこれから行われるであろう食物の配給制度。紫外線が原因で病気になる子供が増えていたりなんてしていて、すごく怖い…。
    (そういえば、あんまり関係ないけれどこの頃の長野まゆみさんの著書である『天球議会』や『テレヴィジョン・シティ』も食べ物は配給制だったような…)
    初期の頃の作品に見られる、こういった環境問題を交えたお話を読むと、決してこれは物語の世界の話だけじゃないんだなぁ…なんて考えさせられます。他にも、オヅ先生の欄を読むと公平と多数決の話なども勉強になりました。

    追記
    ペーパー・ウエイトが何かわからなかったので調べてみたら“文鎮”のことでした。画像検索するとオシャレなペーパー・ウエイトの写真がいっぱい出てきて素敵です。

  • 子供達の心の交流、という物語だけでも十分面白いのに、さらにそこに近未来的な問題をつけるのが長野先生さすがだなと思わせる。

  • 舞台は、近未来の終わりゆく世界。
    オヅ先生は、学級日誌を書くことを提案する。
    生徒であるトィ、ノッブ、チロ、ノンノン、チハヤは、交換日記みたいに日々の出来事を綴る。項目は、「きょうの出来事」「学習」「反省」「担任の欄」である。

    日誌を通して、生徒達の関係と物語の世界観を覗くことができる。
    パズルのピースを1つ1つ嵌めていくように、全容が表現されていく。
    それを紐解くのが楽しい。
    また、学級日誌形式というのも懐かしさがこみ上げる。

  • これまた久々に読みました。
    このお話、短くて簡単なのに、長野まゆみすごい!!!といつも思います。
    世界観やら物語の形式やら、この短さでまとまっていて・・・
    出来れば続きが読みたいくらい。
    長野作品に出てくる先生の言葉づかい(丁寧語)がとても好きで
    いつも憧れてしまう。
    もう学校には程遠い世界にいるけれど、この先生の言葉は
    大人の私にもとても有効です。

  • 大好きな本です。
    学級日誌という形式でも、各キャラの正確がよく分かります。
    長野さんの作品のほとんどにいえますが、未来が舞台なのに、どこか懐かしい雰囲気が漂います。

  • 【あらすじ】
    第六学級B組でのあたらしい学年を記念して、オヅ先生の提案で始められた学級日誌。
    終わりゆく世界のなかで夢み、成長する少年たち。
    たがいに傷つけあい、いやしあう学校ともだちの一年間を、彼ら自身のことばで綴る珠玉作。

  • 学級日誌形式がおもしろくもあり、もどかしくもある小説。(笑)
    文章の書き方にもちゃんと個性が出ていてホントに少年たちが書いたような臨場感があります。
    http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-32.html

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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