テレヴィジョン・シティ 下 (河出文庫 な 7-18 BUNGEI Collection)
- 河出書房新社 (1996年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309404806
感想・レビュー・書評
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2012.5.24.thu
【経路】
本会でNさんに借りて。
【感想】
・世界観にどっぷりハマる。なかなか帰って来れない、そんな小説。
・隔離されて白いスーツで過ごしてる、来し方行く末を知らない近未来人が、映画「アイランド」(じぶんの遺伝子でドナーを育てる施設)みたいだし、狭い世界での少年の倒錯さは漫画「輝夜姫」(これもドナー話)っぽくて話の展開を怪しんで読んでたんだけど、やっぱりドナー話だった。いや、それが中心ではけど!ただのエレメント!
・非身体的で精神的な同化を〈クロス〉としているけど、これは深いと思う。所謂 衆道に近しいと勘ぐらないにしても、「身体的に繋がってこそ分かるひとつになり切れない孤独」を超越したものだよなぁ。
・アーチィがイーイーと同化しての最後の終わり方が綺麗。もうふたりの世界は交わらないけど文字は残るんだね。
【うんうん】
・「キラいになるのは、すごく難しいことなんだ。なぜなら、自分のことも否定しなければならないからさ。そんなのは負担だろう。」
・誰かをキラうというのは、同時に自分の一分を失くすことでもある。
・事実は不変だが、真実は不安定で、いつでも平気で嘘と入れ代わる。
【内容メモ】
■もうひとつの出口
・手紙、ダストシュウト
・ゾーン・レッド
・手紙落
・金網、重力、仔犬
・捨てるものがない、ボディかスピリットどちらが先か
・ロスマリン精油
・シルルの狼狽
・追い出される前に
■仔犬を連れた人
・ジロから呼び出し、ファイルボウト
・ロスマリン、使?
・ロケットシミュレエション
・イーイーの不調
・ヴィオラ薄
・シルルから呼び出し
・ジロ、乾杯しよう
・シルル、ドォム、ヴィオラの原液、工場
・怒らない
・サッシャ
■碧い海の響き
・書くことがない嘘の手紙
・事実は不変、真実は変動する
・マーレ、人口砂漠、工場へ行く告白
・セット、レシピエントのドナー、エンゲージ
・イーイーの不調
・ライドランナー
・色彩の忘れ、イーイーと同化、クロス
・イーイーの呻き、「シルル」、ショック、海へ
・浄化、侵入者、一時的な混乱
・シルルの助け
・ジロ、蒸留塔
・RACH45がServiceするのは自分が愉しむため
・ママンのあの音
・消えた砂漠、クロスしただろう
・目が
・手紙を声に
・最後に何が残ると思う?
■南国の島
・手紙。Serviceでのショットもクロスも好き。
・ゾーン・ブルゥへ
・氷結、転倒、離脱
・ママ、リング、エレベーター
・見る方法
・取り返そうとしたのはイーイーじゃない?
・リング、ロケット、キィ
・イミテエション
・冷たい何か、ポケット
・泣いている、宿舎へ
・手紙、リング、追記
・カナリアン・ヴュウへ
・救援機に乗らなかったアーチイ
・謎掛け
・ことばは消えても文字は残る、それがぼくの望みだ
・すべてが彼だけのためにあるのだった
■あとがき 暗号、解くにおよばず
【暗号】
フランス語→日本語
a→0 b→1…z→25
W→. X→? Y→!
E→´
解くことに意義は無い。
ことばは消えても「文字」は残る、ということが大事!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
静かで、心地いい。個人的なイメージソングはスピッツの「インディゴ地平線」
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ちょっと長すぎる。もっとコンパクトにまとめてもよい。謎がそのままで終ってしまいちょっと消化不良。
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終末的な擬社会+階層都市+ループ こんだけでも私のツボに真ん中だな…
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ディストピア。「ことばは消えても文字は残る……」長野さんの描いた多くの少年たちの中でもイーイーが一番好き。
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自分の理解能力不足もあって、色々疑問が残り、もやもやしたが、美しいが切ない世界観は好きだった。イーイーが特に好き。
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再………読。読む毎に見落としを拾う度に、切なさが深く。うー。
ループは元の位置へのループなのか、消えたモノはそのままなのか。ひとりぼっちは切ないよぅ。
でもアナナスは、本来の姿じゃないほうが好感が持てます。久々の再読もぐいぐい来ましたよー。