世界幻想名作集 (河出文庫 し 1-25)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 179
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309404882

作品紹介・あらすじ

名アンソロジスト渋沢龍彦が選んだ十篇の幻想文学の代表作。幻想文学の本場ドイツから『砂男』『ウンディーネ』他。幽霊好きのイギリスから『フランケンシュタイン』他。フランスからはリラダンとアポリネールの作品。ロシアから『鼻』他。アメリカから『黒猫』を収録する。他に、古代中世の美術からシュルレアリスムへと続く系譜を紹介した「幻想美術の流れ」を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 欧米の幻想文学の短編集。澁澤氏は編集のみです。
    要約だけのものも多いけれど雰囲気は楽しめました。
    読んだことのある作品も結構ありましたが翻訳者が違うと受け取る雰囲気もやや違うのでそれはそれで面白かったです。

  • ※収録作品
    「ウンディーネ」フーケ/紀田順一郎
    「フランケンシュタイン」シェリー夫人/澁澤龍彦
    「砂男」ホフマン/種村季弘
    「スペードの女王」プーシキン/河野多恵子
    「鼻」ゴーゴリ/後藤明生
    「黒猫」ポー/田中小実昌
    「ジキル博士とハイド氏」スティーヴンソン/大庭みな子
    「ヴィルジニーとポール」リラダン/中井英夫
    「オノレ・シュブラックの失踪」アポリネール/高橋たか子
    「変身」カフカ/種村季弘

  • フランケンシュタイン、鼻、黒猫、ジキル博士とハイド氏、変身は知ってたり読んだことがあったり。

    『砂男』はオッフェンバックのオペラ『ホフマン物語』のオランピアの幕の元ネタはこれか、と途中で気付いた。一番好きな幕です。
    『スペードの女王』もチャイコフスキーのオペラで有名だけど、初めて読んだwオペラのほうも見てみようっと。

    リラダンの『ヴィルジニーとポール』の中井英夫による訳は、素晴らしいと感じた。
    原文を知らないのでちょっと無責任な発言になるかもしれないけど、翻訳の不自然さがなくて読みやすく、かつ詩的で、夜空にうかぶ銀色の月の光みたいに、ページが眩く輝いているような気さえする。

    一部の作品を除いて要約である点と、解説が少な目なのが残念。
    だけど、導入としてはいいと思う。興味をもった作品については全文にあたってみたい。

  • 古典的西欧幻想文学アンソロジー、
    但し、完訳でないものも含まれています。
    面白かったのは田中小実昌・訳のポオ「黒猫」。
    ……まったりしていて怖くない(笑)。

  • ホフマンの「砂男」。買いです。
    リラダンを中井英夫が訳している作品もある。買いです。


  • 【090816】頭隠して尻隠さず


    :::::::::::::::::::::::::


    幼い頃、本堂に供えられた鬼灯を母からもらい、笛をつくろうと何度かこころみた。
    かさかさになった朱を帯びた“がく”とそのなかに隠されたはちきれんばかりのみずみずしい実は子供心を揺らした。
    本堂の縁に腰掛けて足をぶらぶらさせながら“がく”をぱりぱり一枚ずつはがす。
    朱く熟れた実をとりだして皮が破れないようにやさしく時間をかけて揉みほぐす。
    いずれその表面に小さな種子が透けて見えるようになる。
    それからだ。やさしく。慎重に。傷つけぬように。
    もう充分と思ってもまだ。しかし適度を過ぎぬよう。
    種子を静かに取り出す。気をつけて。気をつけて。朱に染まった美しい球体を壊さぬよう。
    手塩にかけたいとおしい美しい中空の丸い笛。
    掌にのせて陽にかざす。まるで太陽を手にしたようだ。
    ゆっくりと太陽を口に含む。野生の植物の苦味、青臭さ、香り。
    この舌で鳴ってくれるだろうか?
    心地よい声をきかせてくれることを願い静かに歯をあてた。

  • 各国の幻想小説を要約して集めた作品。全てが短く収まっているので読み易いです。此れを読んでみてから、全文にあたると、ストーリが分かり易くて読み易くなるのではないかと思われます。翻訳物って読みにくいのが多いですし。特に「黒猫」が面白かったです。

  • 変身とか黒猫とかジキルとか、後半は知ってる話が多かったんだけれど、前半部分のウンディーネの話やらフランケンシュタインの話やらは引用なんかで部分的にしか読んだことがなかったので、面白かったです。

  • 10篇の幻想文学。要約してある話もありますが、本物読んだ事無い私には十分面白かったです。外国文学は訳の関係か、取っ付き難いですもんね。これで知ったかぶりできるぞ。笑  最後の幻想美術の流れも勉強になります。<BR>うん。全体の感想としては、「勉強になります。」

  • 人間の闇を基にしたようなストーリーが多いです。
    リアリティが抜群。
    黒猫が特にこっわいです。
    あと、オノレ・シュブラックの失踪の不気味な面白さ!

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著者プロフィール

1928年、東京に生まれる。東京大学フランス文学科を卒業後、マルキ・ド・サドの著作を日本に紹介。また「石の夢」「A・キルヒャーと遊戯機械の発明」「姉の力」などのエッセイで、キルヒャーの不可思議な世界にいち早く注目。その数多くの著作は『澁澤龍彦集成』『澁澤龍彦コレクション』(河出文庫)を中心にまとめられている。1987年没。

「2023年 『キルヒャーの世界図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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