エンドレス・ワルツ (河出文庫 い 9-1 BUNGEI Collection)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 46
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309405094

感想・レビュー・書評

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  • ヤク中になっちゃった共依存的でデカダンな男と女の顛末。男は理屈をこね回してはDVしたりすがったりしたあげく一足お先に世を去る。そして女も。
    実はこれ、鈴木いづみと阿部薫という実在の男女の1970年代から80年代半ばくらいまでをかなり忠実になぞったらしい。デカダンに生きながらも、結婚したり子どもが生まれたり、ちょっと小説としては珍しい展開だなと思ったのも現実がベースだったのならうなずける。
    ちょっと前に中沢けいの『海を感じる時』を読み始め、思わず重かったために止まっているんだけど、1970年代後半から80年代前半くらいの意識高い女の人って従来の枠を飛び出ようとするその力み具合が何だか痛々しく思えるときがあるの。男と対等になるために自分を粗末にしているような。この小説の「私」こと鈴木いづみにもそんな印象を感じた。

  • 主人公である女とその夫のことをwikipediaで調べさえすれば,読む必要もない。
    グラマーで美人,エキセントリックで(googleでいくらでもその姿を見ることが出来る),知性も備えている,ゆえに20代に男たちからチヤホヤされていた女が,夫となったヤク中のサックス吹きが薬のやりすぎで死に,自分の色香が衰える頃,子を残して自死するそれだけの話。全く救いも教訓もない。

    結末が分かっていれば,クライマックスであるDVの足の指を切るシーンさえ興ざめなだけ。

  • もしかしたら、20歳前後に読んだら、評価は5つだったかも知れない。鈴木いづみさんについては名前とどんな感じの人かっていうのは知っていた。なぜなら、20歳頃調べたことがあるからだ。
    20歳前後の頃はこういう雰囲気に憧れのようなものや好意を抱いていた時期もある。
    今38歳で読むと、DVの夫と共依存になっている夫婦の話しになる。しんどい話しだ。
    小説から漂う重苦しくもせつない雰囲気はうまく描かれていると思う。小説内の鈴木いづみさんに共鳴して、読後感は重苦しいのと、その重苦しさが記憶に残る。
    しかし、全くこの小説のような夫婦のような生き方はしたくないものだ。私とは全然違う世界であり、今の私には共感が全く出来ない。

  • 実在した夫婦、
    36歳で首吊り自殺をした作家・鈴木いづみと、
    29歳で服毒自殺をしたフリージャズサックス奏者・阿部薫
    の物語。

    とにかく、激しかった。その一言。
    こういう愛のかたちもあるのか…と、ひたすら呆然としてしまうような。。。

    読みながら、『ツインソウル』という言葉を思い出した。=魂の双子。
    引き寄せあったのは必然であり運命なのだけど、あまりにも激しく引き寄せあってしまった結果、お互いを壊すことしか出来なかった。
    こういうふたりはきっと、何度別れを選ぼうと、また一緒に居る道を選んでしまうんだろう、、、と思いました。

    ここまでの相手に巡り会ってみたいけど、巡り会うのは怖い。
    よく、『結婚するなら二番目に好きな人がいい』というけれど、その理由も少し分かるような気がする。。。

  • 創作も含めつつぽいので、頭から信じ込むのはどうかと思いますが、単純に読み物として面白い。
    巻末の協力欄に灰野敬二の名あり。
    阿部薫好きじゃなくても楽しく読めます。おそらく暗い気持ちと衝動がうごめきます。

    • ぎしさん
      阿部薫と鈴木いづみ。劇的。
      創作を多少含んでいるにせよ、未だに彼らは光を放っている。
      冷え冷えとしているのに、暖かい。
      阿部薫と鈴木いづみ。劇的。
      創作を多少含んでいるにせよ、未だに彼らは光を放っている。
      冷え冷えとしているのに、暖かい。
      2009/08/27
  • ぐるぐるひっかき回された。なんか狂気がかっこいいもんだと思っていた。

  • 映画も見たけども、これはこういうフィクションで神話で伝説で第三者イメージとしてみなくてはイケナイし、映画の方は鈴木いづみが嫌いといっていた若松監督だし、この本はキレイに作られていてその点は素敵。ただ、自己紹介の場面がちょっと読んでてはずかしかった。昔の少女漫画みてぇ。

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著者プロフィール

1950年、愛知県生まれ。作家。著書『エンドレス・ワルツ』『琥珀の町』『抱かれる』(いずれも河出書房新社)、『ホテル・ザンビア』(作品社)ほか。

「1994年 『自殺者たち 一日一死』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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